主人公とヒロインが不幸すぎる哀しい物語。でもお互いの絆と、心理描写がすごくて、本当に名作です。
物語のネタバレ感想全快なので、未プレイ閲覧注意
無責任な親によって悲惨な人生を歩むことになる二人の幼馴染の話。
彼らにとって真の幸福な時間は幼き日のわずかな時間しかありませんでした。
学の父親が母子を見捨てず、しっかり責任を果たしていたら。
理沙の父親が娘に欲情せず、または母親がしっかり止めていれば。
きっとこんなに不幸な物語にはならなかったでしょう。
親の無責任かつ身勝手な振る舞いが、子供にどんな悲惨な運命を強いることになるか、深く考えさせられる作品でした。
母親の死を避けられたかどうかが、この物語の分岐の最大の点であり、これを避けられなかったのは、理沙を引き留めてしまった理沙の父の罪なのだと感じます。
理沙がもう少しはやく到着していれば主人公も母殺しをすることを防げたはずですし、二人の未来ももう少し変わったものになっていたでしょう。
主人公の学は多重人格者なだけではなく、一つの事にかけて天才的だが、他の事に対しては酷く不器用という統合失調症です。そしてヒロインの理沙は、幼い頃から大人にとってのいい子を演じる為に嘘で塗り固めた人生を選択することになり、そのせいで身も心も大きな傷を作ってしまいます。
お互いお互いを好きですが、幸せには絶対に慣れない関係だとも言えます。
幼少期にとても幸せな思い出だけが二人にとっての宝物なのでしょう。
小説版では理沙だけが取り残されてしまいますが、個人的には二人の幸せを共有し合い人生を共にするなら、本作バッドエンドの「これはある意味最高のハッピーエンドなんじゃないかな?」のバッドエンドが二人にとって幸せな最期だったのかもしれませんね。
本編では、生きることを選択し、逃亡生活に至りますが、その後の二人の人生はひたすら贖罪と辛い現実に向き合っていくお話です。本人たちの犯した罪ではあったものの、その罪の根底にあるのは二人の親です。
この親の罪を背負い、学を失ったまま生きていかなければならない理沙は本当に地獄の世界に生きることになってしまうでしょう。
本編の流れとして、二人の罪の重さが深すぎて、とてもやるせない気持ちになります。
どうか来世では、お互い親に恵まれ、幸せな幼馴染として結ばれる未来になればいいなと思います。
今後幼馴染のイチャラブゲーをやるときに二人の事に思いを馳せ、より幸福な世界を感じようと思いました。
ちなみに二重人格設定と、CVグリリバのせいで、某国産RPGの主人公と重なってしまいました。
あっちに比べるとこっちもかなり重たい話ではありますが、母殺しの展開とかをみても、かなり似てる部分があるなと感じました。
狙ってやったのかどうかはわかりませんが、個人的にはシナリオでも感動しましたが、オマージュっぽくてニヤニヤしながらプレイできました。
それでは二人の未来(来世)に幸あれ。