はるくるに比べて若干終盤期待外れの出来に。物語の組み立て方もうまいし科学理論を物語にうめこむのもうまいのだが、今回は物語の締め方が悪かったと思った。
はるまで くるる に続けてプレイ。
個人的には、今回は前作にくらべてSFっぽさは減って、代わりにバトルがメインになっちゃったかなって作品でした。
あと、今回はハーレムを捨てて、メインヒロイン至上主義路線できたので、終わった後もこれでよかったのか? っという微妙な感じになってしまったなぁという感想です。
シナリオとしては、まず一週目は強制バッド。2週目からルート固定でそれぞれのヒロインを攻略していく形になるのですが、姫佳、りねシナリオあたりは読んでて非常に引き込まれました。
ユウリ、紫穂シナリオも重力や量子力学、超ひも理論などが出てきて、楽しめました。
ただ、今回ははるくるに比べて結構いいところとよくない部分はっきりしてる感じで、素直に楽しめてかというと微妙な部分もありました。
いい点と悪い点については以下の通り
よかった点
・キャラクター造形が可愛い
・前半の物語の緊張感、次第に判明していく謎
・キャラクターの過去と心情描写が書かれており、愛着がわきやすい
・前半のキャラクター設定に則った、シナリオ構成が非常にうまく、とくに主人公達の秘密がわかるまでの描写はなかなか驚きの連続でした。
・敵キャラクターの恐怖感や気持ち悪さが引き立っており、絶望感が半端なかった。
悪かった点
・好みに別れると思うが、人によっては非常にうざかったり、不快感のあるキャラクターがいたこと 例:姫佳(嫉妬キャラ)、舜(過剰な下ネタ男キャラ)など。
・バトル要素が強くなってしまったため、バトル部分のシナリオの結構な割合がとられており、前作に比べ恋愛要素やSF要素が減っている事。
・後半の主人公や他のキャラクターが特に勢いだけで、好きだからとか、愛を叫んで解決という場面が多すぎて、締め方が非常にお粗末かつ、好きだからという理由に説得性が欠けること。(体がテーマの一つだからセックスすることで好きが深まったのかもしれないが、やっぱり色々な部分の解決法が強引すぎた)
・世界観やテーマの間の乖離が大きすぎて、逆に陳腐な世界観になってしまったこと。
・終盤の展開を書き切っておらず、なんとなく読み切り終了感が出てしまったこと。
など前作よりもいいと感じた部分ももちろんあるが、同時に悪かったと感じる部分も多かった。
特に終盤の展開については、別次元の宇宙にわたる話になるが、次元を渡ることがフィナーレとなっており、別宇宙での物語の再開はエピローグ的な扱いで、ホモサピエンスとマンイーターがどう関わっていくかという部分が語られずに終わってしまう。
(主人公メンバーの中で唯一のホモサピエンスである姫佳はお兄ちゃんラブでお兄ちゃんに絶対的な信用を置いてるため、お兄ちゃん中心のマンイーターコミュニティに入っていてもストレスを感じないが、ホモサピエンス全体との共存の道に対する解にはなっていない)
少なくても、別の宇宙にいってから、主人公たちは姉の脅威を排除したり、ホモサピエンスとマンイーターの共存を模索するシナリオを用意してプレイヤーにも納得のいく展開で終わらせなければならなかった。
しかし実際のエンディングは、なぜか姉が普通にいい教師をやっていて、傭兵の人は、職を変えたり、妹が普通に長期休みの度に遊びに来ていて、すでに皆と知り合っているという、因果律の変わった世界で終わっており、どんな障害が残ってるかとかの部分は曖昧な状態で終わっている。
前述したとおり、妹は兄が大好きで、兄に信用されていて、兄に守られているため、共存できるのであって(トラが人間の女の子と恋をして守るのと同じ構図)一般的なホモサピエンスと共存できるかはまた別問題である。
そういう問題がある以上、脅威対象であるマンイーターを滅ぼそうという問題はずっと残り続けてしまうだろう。
この作品がすっきり終わらなかった理由は、その問題をあいまいにしたまま終了してしまったことであり、すべてすっきり書き切って終わった はるまで くるる との大きな相違点だと思われる。
特に紫穂が「当麻進の行動により、マンイーターが生き残るかどうか関わる」と明言されており、主人公が別の宇宙でどんな立ち回りをするんだろうとワクワクしていた人もいただろう。
そういう部分をやらずにあっさり紫穂との出会いで終わってしまったことが、最大の読了感の悪さに繋がっている。
また、今回のSF描写も前回に比べれば表現自体はハードSFになったが、SF的な展開は最後の方のみで、どっちかというと異能力バトル物に近い構成になっている。
これはトラウマの対象の姉とやり合う事で主人公が能力的に成長していくことをテーマにしているので、いいのだが文章描写の多くの部分をこのバトルに持っていかれてしまう。特に終盤の姉との最終決戦では、これがクライマックスとなっており、SFよりも、バトルのほうがメインであるという感じだ。
そういう意味ではSF的なシナリオとしては、はるまで くるる のほうが大分よかったという印象をもっている。
キャラクターについては、今回皆可愛く、特にお気に入りのキャラクターは姫佳とりね先輩あたりかな。
二人とも、主人公との思い入れが深く、妹はさらに嫉妬深いという部分も個人的には◎ 重たい愛のあるヒロインって結構好きなんですよね。
主人公も姫佳のこと非常に大事にしており、舜に対しても妹の冗談を許さないことから、姫佳大好きなんだろうなぁっていうのが伝わってくるし、主人公は馬鹿だけど、姫佳の推理力と相まって、良いパートナーになっていたと思う。
一応年下設定だからロリッ子なのだろうが、主人公と年齢差が気になる。マンイーターじゃないけど、精神年齢は高そうだから、普通にマンイーターに紛れていてもわからなさそう。
今回個人的には前半楽しく、後半だれるという印象でした。
たしかに重力についての話や、超ひも理論の話や宇宙の話は好きで、読んでても楽しかったのですが、いかんせんつなげ方が無理やりすぎる感じがしてしまい、素直に楽しめなかったって言うのが残念かな。
でも、キャラも皆可愛く、とくに前半のりねシナリオの終盤までは本当に楽しめたのでよかったです。
次回作のあきくる(仮)については、もうシナリオも描き終わっており、声優の収録も大部分が終了しているようなことが書かれているで、今年中には出そうですので楽しみにしてます。
量子力学ラブコメらしいので、量子力学が好きな自分には大期待です。