厨二系燃えゲーとして業界屈指。玲愛ルートなんてなかった。
未完成商法で業界を震撼させたlight渾身の厨二系熱血ゲームです。
商業作品としての是非を問う糾弾は、今更私が書くまでもないでしょうし
ここでは敢えて作品の内容に関してレビューしたいと思います。
まず、最初に断っておくとこのゲームは私にとって神ゲーでした。
ナチスに血に戦争という、通常エロゲーとの結びつきが無縁な雰囲気で編みあげられた世界観は
「HELLSING」のような血生臭い闘争を好きこのむ方なら、誰もがワクワクして止まない作品ではないでしょうか。
実際、私はこのゲーム、神ゲーだと思いますよ。途中まで。
さて、本作品は推奨攻略順みたいなのがあり
大体は香純→螢→マリイ→玲愛 と辿っていくと、とても血沸き肉踊る展開となります。
ここで私が評価している点は、螢&マリィルート終盤の展開です。
王道といえば王道かもしれませんが、王道であるからこそ素晴らしい激熱っぷりでした。
確かに、締めくくりは決してHAPPYじゃないかもしれない。しかしこのゲームは"戦争"を題材にしているからこそのゲームであり、
必ずしもその最後は大団円で終われるような軽い内容ではないと思っています。
そうした意味で、マリィルートは私にとって至高でした。
そこに至るまでの闘いも、伏線回収も、手放しで賞賛できるくらいのクオリティだったと思います。
だからこそ、玲愛ルートだけは納得できません。
あのとってつけたような大団円落ち。明らかにマリィルートを書いた後に作ったかのような稚拙な展開。
そして、醍醐味であろう「敵役」の描写……何もかもが台無しになっています。
ネタバレ全開でいくと、このゲーム最大のウリは敵サイドである聖槍十三騎士団の、
救いようもない、決して主人公側と相容れない強烈な「悪」という描写に尽きていました。
ハイドリヒ、メルクリウス、シュライバー、ヴィルヘルムといった面子でしょうか。
この打倒すべき、絶対の敵という役者がいたからこそ、螢やマリィルートでの戦闘は非常に映えるものだったと思うんですよ。
HELLSINGでいうと「少佐」、ダイの大冒険でいうと「大魔王バーン」のような
背景はあれど、説明不要にまでねじ曲がった敵…それは何かを代償にして戦うような、
全てのバトルものに共通しうる、究極の要素だと思います。
それがどうでしょう。玲愛ルートでは完全否定しちゃってるんですよ。今までの展開を。
読み手側なら誰もが「ああ、こいつは倒されてもしょうがねえな」とまで狂っていたあのヴィルヘルムや、
本作最大の敵として君臨していたハイドリヒ、メルクリウスでさえ、読み手を置き去りにする謎の設定で大団円にもちこまれ
特にルサルカとかなんですか、あのとってつけたような回想話は。
背景設定そのものは構想上あったかもしれませんが、主人公の繋がり云々は後付けとかどうとかってレベルじゃねーぞ!とか
そもそもイザークにあそこまで干渉力なんてあるのなら、香純、螢、マリィルートはなんだったのかとさえ思ってしまう展開の目白押しには
筆舌に尽くし難い、どうしようもない空虚感を体感しました。
はたして、玲愛ルートの存在価値はあったのでしょうか。いまの私には理解できません。
と、いうわけで私k1ntAmaの個人的主観でいいますと、
香純→螢→マリィで進めれば、もれなく震えるぞハート燃え尽きるほどヒート的な何かを感じると思います。
玲愛? 知りません。玲愛ルートなんてなかった。
システムは標準以上。とみせかけて、
ややバックログ機能やセーブが不便なところがネック。まぁ慣れれば支障なし。
絵・CG塗りは最高ですね。特にベアトリス&マリィ関連の一枚絵は綺麗でした。
演出面もムービーやらBGMやら見事です。
曲は若干クラシックのアレンジが目立ちますが、出来は素晴らしいので文句なしです。
そもそもゲームタイトルがモーツァルトの一曲からとってるのですから、
アレンジが多いのは詮なきことでしょう。
また、OP曲GregorioとEinsatzはマジで最高です。
歌ってんのが榊原ゆいってところは素直に驚きですが、
そんなこと吹き飛ばしちゃうくらいに名曲なので、是非カラオケ辺りに入れてほしいレベルですね。
ということで、総評。
玲愛ルートさえやらなければ神ゲー。ただしエロ要素いらない。
あとベアトリスと戒のシナリオは脳内補完してくれってことなんすかね?