面白い。しかし、その後に『が』を付けずにはいられない。 色々と惜しすぎる名作になり損ねた佳作。
■シナリオ
正史ルート以外の適当さ(しかも正史に入るのは難しい)という点では大いに不満が残るものの、アテリアルあたりに比べればかなりまともなシナリオだったように思う。
残念な点はエイダの扱い。
あの扱いをするなら、せめて個別エンドくらいあってくれても……。
■戦闘
ある意味良い感じに大雑把な出来。
このゲームの長さで細やかな戦略ゲー紛いのことをやらされれば投げる人が出たのではないだろうか。
戦闘バランスの面では色々と突っ込みたい点があるが、【難しい】をやっていないのでそのあたりについては省略。
■UI
痒いところに手が届かない、チクイチストレスを溜めさせてくれるUI。
軍団化や転移門などがなければ、UIだけで投げ出していたかもしれない。
欲しかった機能としては、ユニットの並び替え及びソート。
それに加えて出撃選択の優先順位。 (→ver1.02で修正)
街画面に入った際の滞在ユニット一覧(入る前に表示されれば尚良し)。
移動時の移動できるユニット以外の非表示。(→ver1.02で修正)
などなどなど。
UIが快適だったなら、ゲームの印象もだいぶ変わっていたと思う。
■国取り物としてのゲーム性
最悪の一言。
これなら下手に自由度なんて出さずにもう少しシナリオを強化してガチガチに固めてくれた方が面白かった。
詰め将棋をやっている気分になるゲーム性。
手順を外れるとシナリオが極薄になり、打ち切りエンドというのはいくらなんでも酷すぎる。
自由に攻められるようにするなら、正史ルートを削ってでも色々なパターンのエンディングが欲しかった。
■キャラクター
複数ライターのためか、イベントごとにキャラクター像がたびたびぶれるのが気に掛かった。
作品が終わった今でも、ヴァイスハルトとリセルの性格がイマイチよく分からない。
ギャグシーンでの突飛さとかそういう話ではなく、こういう展開ではこういう反応するだろうなという予想が立たないあたりでキャラクターが掴み難かった。
■声
アル。その一言に尽きる。
個別オンオフを用意してくれた点で、マイナスは極小。
■エロ
陵辱系(もっとも、やるのはあくまで主人公だが)をここまでしっかり入れているとは思わなかった。
シーン数の偏りがあまりにも酷い点は気にかかったが、全体的に見れば悪くない。
エイダのシーン数があまりにも少なく、陵辱も不自然なまでになかったのは大人の事情だろうか。
■周回
イベントの省略はして欲しかった。序盤部分のダイジェスト化くらいそう手間ではないのでは……。
それと、クローンユニットとレベル引継ぎは別枠にして欲しかった。
■以下その他の良い点
・豊富な固有ユニット数
・レベルアップによって建物の見た目が変わるなど、細やかな作りこみが嬉しい街作り
・その街で行われる、建造物何でも破壊可の戦闘
・破壊可能物オンオフの切り替え機能(全体切り替えがあれば尚良かった)
・モンスター配合の豊富さ
・軍団化の簡単さ、及びタブによる不可視化
・魔導戦艦のユニット化
・魔導巧殻を四対揃えられる(一応、の一言が付くが)
・他国モードの実装
■まとめ
エロゲーメーカーが作った点を考えれば、驚くべきレベルの大作。コンシューマー作品と比べても見劣りはしない。
しかし、その一方で細かい点が煮詰めきれておらず、ゲームにのめり込むことができなかったのが惜しい。
これ以上を要求するのは酷だとは分かっているけれど高い点数は付けられない、という人も多いのではないだろうか。
次回作、というのは無理だとしても、いずれこの経験を活かしてより洗練されたゲームを出して欲しい。
■追記
これだけ色々言ってはいるが、実は自分は神採りよりこっちのほうが好き
神採りにつけた点数は80点
■追記の追記
あーだこーだ言いながら何故か周回してしまう不思議
戦闘が軽快なので、周回が苦にならないのは意外と大きなメリット
プラス三点で84→87
■追記の追記の追記
修正パッチ1.02が来ました
オールコンプ後に初めからあって欲しい機能を搭載したパッチが来ても何だかなという感はありますが、『移動時の移動できるユニット以外の非表示』あたりは自分の望んだ通りの嬉しい改善パッチでしたのでプラス一点で87→88にしておきます