ErogameScape -エロゲー批評空間-

k-qさんのChuSingura46+1 -忠臣蔵46+1-の長文感想

ユーザー
k-q
ゲーム
ChuSingura46+1 -忠臣蔵46+1-
ブランド
インレ
得点
80
参照数
622

一言コメント

まさに蛇足。途中までならどのように終わらせても90点をつけられた作品。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

ここの点数につられての購入だったが、途中まではまさに評価に違わぬという印象だった。
三章までの展開で綺麗に纏めてくれれば細かい不満はありながら90点をつけても良いぐらいに満足できた。

しかし、それ以降が我慢ならない。
四章に入ると歴史考証のような話に突入していくが、そもそもこの物語は本来の歴史に様々な改変が加えられている。
侍が女になっているあり得ないifの世界で、突然歴史の真実だとか言われてもこの物語に何の関係があるのかと疑問でならない。

歴史上の忠臣蔵の登場人物達とて現実ではただの人間。
この物語のキャラクターのように出来た人間ばかりだったはずもない。
それを承知の上で魅力的な『物語』上のキャラクターを描いているというのに、そこに後から歴史上の人物像を刷り合わせたところで重なるわけがない。
女だらけのエセ忠臣蔵世界で歴史の真実を真顔で語る女子大生の姿は滑稽にしか思えなかった。

また、実際にその人柄を傍で長く見て一度は最愛の関係になったはずの大石内蔵助に対し、現代から来た部外者の伝聞話だけで疑念を抱くというのはどうなのか。
あんだけ恋だ愛だと暑苦しかったくせに、たったそれだけで揺らぐのかと。
将軍が犬で自慰行為をしてるくらいふざけたif世界なのだから、歴史がどうであれこの世界の大石内蔵助は違うくらいの啖呵をきってほしかった。

仮にあの歴史考証じみた裏の忠臣蔵を、あの世界に住む誰かが語っているのであれば、自分はこうは思わなかった。
少しだけ舞台を広げ、主人公を赤穂藩とは関わりのない別のどこかで活動させて違う視点を与える。
そんな物語であったなら、歴史考証話にも価値は出てくるし、結末ももっと違ったものにできたのではないだろうか。