初めて元長正木作品をやってみた
オールクリア推奨のお話です。
途中から何かがおかしくなり始めますが頑張って進めましょう。
1週目は日常パートが淡々と進みますが面倒くさいと思ってスキップするのは出来る限りやめましょう。
1週目をちゃんと読んで頭に入れておけば、2週目3週目となった時に役に立つと思います。
また、エロシーンは殆どが陵辱かSMなので耐性ない人はやらないほうがいいと思います。
耐性ないけどどうしてもやりたい、と言う人は夜中にプレイするのは避けましょう。某CGにびっくりすると思うので。俺は好きだけど。
絵は、発売が90年代後半ということも鑑みてクオリティーとか大目に見てあげましょう。
ただし背景については中々良く出来ていたと思います。
ネタバレ感想は書きません。もしこの感想を読んでプレイし、フルコンプしたなら他の方が書かれているレビューを読んで、元長柾木が書きたかったことを考えてみるといいと思います。俺もそうしました。
中々に考察が楽しい作品であると思います。
---------- キリトリ -----------
『好き好き大好き!』の名を継承しています。
『フロレアール』は『好き好き大好き!』の前にプレイしていたのだけれども、レビューは好き好き大好きの後じゃないと駄目だよなあと思いイマ二。
シナリオライターは元長柾木(8割方)とうつろあくた(残り部分)。
元長さん曰く「ど真ん中に豪速球を投げ込むつもりが、外へ逃げるスライダーになっちゃった」作品。
この場合の「ど真ん中」とは『好き好き大好き!』のことでしょう。しかし狂気に関して『フロレアール』は然程凄みを持っているわけではありません。
よって「スライダーになっちゃった」結果がこの作品の本質ということになるのだけれども、むしろこの結果はある種の予定調和だったように思えてならないですね。
1週目でプラトニックラブを。
2週目で○○○。
3週目で、「それは若草色のファンタジィ」。
批評空間で言うところの「オールクリアに価値あり」のゲーム。ぶっちゃけしないとわけが分からない。
このゲームをプレイすれば、我々プレイヤーが握るバットは元長柾木投手の投げた玉に翻弄されてしまうのは確実だと思います。実際俺はそうでした。
だからクリアした時に「あぁ、こっちは踊らされっぱなしだったな」と、そんな感想を抱かざるを得ない。
そういう点で、この『フロレアール』は凡百のゲームとは一線を画すレベルに昇華されていると言い切れる。
一貫したテーマで読ませるシナリオのレベルは高い。
発売は1999年の作品だけども、正直ノベル作品として行き着くところまで行き着いてしまった、ということは否定出来ないんじゃないかな。
物語は灯台守として働く主人公とそのお世話係であるメイドが送る日常を描いた。
しかしその実……。
他には、シナリオライターの主張が本当によく伝わってくると思った。開始5分でいきなりあれだものなあ……。
なんというか、説法されていると言っても過言ではない。
また、このゲームはエロシーンがなければ成り立たない仕組みになっている。必要不可欠な要素としてエロがあるという、要するにこのゲームを表現する際の手段として一役買っていた。
ゲーム内の主人公が「自分は○○ではない! だから自分は○○を○○する!(確かこんな感じの台詞)」と訴える場面とか、CGは主人公と犬とヒロインのみということから推測出来る、ストーリー展開を内面に求めた点等等。
それらも含めてこれは計算し尽くされた物語なんだろうなあと言う事も考慮すると、このゲームは極端だけれども非常に興味深い、という感想に尽きますね。
こう言うエロゲーって、最近ほとんどないんじゃないかな。
そんなことまで考えさせられたゲームでした。(09.10.19)