批評空間の方々や、ニュー速VIPブログで取り上げられていたツイートでこの作品を表現していた「ミステリー(調)」という言葉と、それを見て私が想起した「ミステリー(調)」は、どうやら相当乖離しているらしい、ということがわかった。
とてもつまらない作品でした。ヒロインたちの境遇や、わりと非道な展開等があったから、自分に合わなかったというわけではなく、また、誤字脱字やバグが有ったから作品の評価が低いというわけでもなく、単純に、先を読み進めていきたいと思わせる何かがテキスト、ストーリー、キャラクターに一切なかったということです。ライター自身の頭の中では、相当練られた上でライティングしているんでしょうけれども、それを表現する手法や、アウトプットの手際はお世辞にも私は褒められないといったところです。
で、表題についてですが、私はいわゆる海外の古典ミステリーのオールタイムベストにいつも名を連ねるような作品を何個か読んだことがありますし、日本人作家のミステリー小説もぼちぼち読んだことがあり、またミステリー映画も数個見たことがある、という状況なんですが、その私がこの作品をプレイして、「よく出来たミステリー作品だ」とはとても思えなかったです。結果論ですが、まず「そういうことだったのか!」という、所謂作品内の伏線や、どんでん返しが起こった時の衝撃が一度もありませんでした。私が「こいつは傑作だ!」と今でも思っているミステリーには、そういう驚きが必ずあるんですけれども――まあ当たり前といえば当たり前ですが――少なくともこの作品にはそれがなかった。私は、批評空間や、ニュー速VIPブログで取り上げられていたツイート――つまりTwitter界隈――において、この作品の「伏線」「どんでん返し」「ミステリー」という観点で評価している人が大層多かった故にプレイし始めたんですけれども、彼らが想定している「ミステリー」と、上記のような作品体験がある私の考える「ミステリー」では、そもそも観念が違うのだな、ということを強く感じました。こればかりは、自分の周りの人が同じように作品体験をしているわけではないので、当然齟齬が発生し得ると思ってはいるんですけれども、自分の責任の範囲内で、裏目に出たな、といったところです。
今後、このライターの作品をプレイすることはないと思います。実に残念でした。