“君の姿は僕に似ている。同じ世界を見てる君がいる事で、最後に心無くす事もなく、僕を好きでいられる。僕は君に生かされてる”
クリアしたので雑感を箇条書きで。
直接ではないけど、公式サイトから想像し得る範囲内での、抽象的なネタバレは有り。
あんまりプレイに差し支えはないと思いますが、気になる人はブラウザバック推奨。
・とりわけ真新しい物はなく、目を見張るような要素もなかった。既存のネタを再構成して程よくまとめあげている。よくも悪くも、ジャンルはノーマルなアドベンチャーゲームとして「大ヒット」させるという目標で企画された印象。
・主人公とヒロインは過去に悲惨な経験をし、それが原因で現在の性格がかなり歪んでいる。それを踏まえて。
共通ルートでは主人公が学園にきたところから始まり、一癖も二癖もあるヒロインたちと出会う。なんでもない日常を過ごしながらも、時折何かを臭わせる台詞があったりエピソードが入ったりするが、大体ギャグパートに終始する。その中で、主人公はこのヒロインはこういう人間なのかということを知っていく(その、このヒロインはこういう人間なのかということを主人公が知っていく、ということをプレイヤーは画面を通じて知っていく)。
・ルートに入ると総じて、2人はとりあえず男女交際をするという形に落ち着く。そのまま上手く進むかと思いきや、実はヒロインにはこんな過去が~~。主人公はヒロインを救うことを決意する。紆余曲折を経て一定の目処がつき、ヒロインは救われる。エンディング。
どのルートも過去に何があったか、それによって今現在どういう人間になってしまったのかが違うだけで、概ねこのような形だった。非常にありがちでよく出来たエロゲ的展開。
・主人公の過去について。
主人公もヒロインに負けず劣らず壮絶な過去を経験し、おかしい人間になってしまったんだけど、その壮絶な過去の片鱗をゲームプレイヤーに見せる/魅せる方法が、全員のヒロインを攻略しないと大まかな全容が掴めないというものになっている。
例えば。あるヒロインルートでは主人公が実はそのヒロインと昔何かしらの人間関係があったということだけが語られている、そのヒロインルート以外で、2人の人間関係は一切語られない(つまり、プレイヤーだけが知っている/知り得る)。でもまた別のヒロインルートでは、昔主人公の身近にいたとある人物が、主人公と当時は全く関わりのない人物と少なからず交流があり、主人公は、ヒロインとの(現在における)やり取りの中で自分の過去に身近だった人物が、攻略ヒロインの過去と関わっていることを知る、といった具合に。
そういう意味で、フルコンプリート推奨。
・各自ヒロインごとにテーマが設けられている(公式のシナリオ概要、“――その少女は、生まれてきたことが~”を含める下5行分)が、総括すればこの手のゲームで今まで幾度となく描かれてきただろう、ヒロインの救済……この一言に尽きる。一見すると、いかにもいわゆるシナリオゲーですみたいなシナリオ概要だけれども、プレイすれば分かる。物は言いようだなーとしか(苦笑)。
何を以って、という定義付けなんてものはさて置き、はっきり言えばただのキャラゲーだ。
・絵に渡辺明夫(アニメ『化物語』のキャラクターデザイン等を担当。別名義ぽよよんろっくとしてはエロゲ原画も)とフミオ(過去に同メーカーの『うた』シリーズや、Keyの『智代アフター』等の原画を担当)。最近、ぽよよんろっくと渡辺明夫の使い分けが曖昧になってきてるよね。
音楽にElements Garden。ボーカル曲に飛蘭、eufonius、橋本みゆき、茶太、佐藤ひろ美、NANAといった豪華な布陣。
言うまでもなくクオリティーは折り紙つきなので、あとはお好みでどうぞ。
・批評空間の感想を見たら、多くの人が未回収の伏線やルートごとに出来が違いを指摘していて、驚いた。なるほど、問題はそこなんだ……。
・ぶっちゃけそんなのはどーでもいいんだ。むしろ手堅く作りすぎているところが引っかかる。あまりにも優等生すぎて。これもゲームコンセプトの狙いのうちなのだとしたら、続編(グリザイアの迷宮、グリザイアの楽園?)もプレイしなければいけないのかなと思うんだけれども、特にそういうわけでないのならばこれ以上シリーズをプレイする気はないし、見届ける必要もないと思っている。
当初はキャラクターごとの雑感を書こうかと思って気合を入れてプレイしていたんだけれども、あまりにもあまりすぎて書く気がなくなってしまった。
・総じて、よく出来ているだけのゲームだと思います。
メーカー10周年記念作品として、完成度は高く仕上がっていたと褒めるべきでしょう。