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k-太さんのとなりに彼女のいる幸せ ~Two Farce~の長文感想

ユーザー
k-太
ゲーム
となりに彼女のいる幸せ ~Two Farce~
ブランド
プレカノ
得点
60
参照数
1606

一言コメント

うーん、もったいない

長文感想

悪感情はあまり抱かなかった、けれど勿体ない至らない点も多い作品。
折角夏を舞台に、殆どお外に出ず、好きあった二人だけで完結した世界にいるんだから、
もっとドロッドロのグッチャグチャな汗だくSEXで退廃的にお過ごしになって欲しかった…
爽やかな初々しい恋愛と別に両立できない訳じゃないんだから、そっちはそっち、こっちはこっち!

○音・声
声は特に不満なし、ちょっと小悪魔っぽい演技がわざとらしいかな?
BGMはいかにも廉価作品のBGMって感じでかなりチープ。
舞台は部室、たまに自室だけっていう閉鎖的な感じと夏まっさかり感を活かすなら
いっそ環境音だけでも良かったかも。ただ郷愁とか退廃とかと結びつくような作品内容とも
違うからあまり効果的じゃなかった可能性もあるけど。

○ゲーム性・システム
オートでカーソルが消えるのはあまり好きじゃない。
画面内でクリックしても復帰場所が固定されるのも好ましくない。細かいけど。
選択肢があったような記憶がなくもないけどあれなんだったんだろう。
ゲーム性という意味では皆無で、オートで音声スキップなしでも2時間あれば終わるボリューム。

○絵
とても良い。豊満かつスッキリした肢体が良く描けてるし表情もいい。
だけに、これほどまでに薄味エロの作品に使われてしまうには惜しい。

○シナリオ・テキスト
もうエロゲの教科書には書いてあると思ってた。「10クリックでイってはならぬ」と。
流石に伝説の3クリック皇よりは長持ちするものの、挿入即イキに近いスピード感はがっかり。
しかも連荘なし。淡白すぎやろ、そんな変なリアリティ要らんねん、抜かず3発当たり前の
世界で勝負せなあかんのよ周り見てみぃ、と。

廉価タイトルは何で勝負するかというと、まぁやっぱりエロで勝負すべきだと考えます。
勿論廉価には色々リソース上の制約もキツいのは確か。シングルヒロインで、全体の尺も
多くは取れないという形式ではやれることに限りはある。
しかしそれはシチュエーションを限定・特化し、単独ヒロインの深堀が出来るという長所でもあるのです。
凌辱をやるにしても、純愛をやるにしても、その強みを最も活かせるのはエロをネッチリやることです。
純愛であれば思いが深まっていく様子をエロさが深まっていくことで表現出来る。抜きゲーであれ、
と強要するのでなく、折角18斤のステージで戦えるのだから、最強の武器を活かさずでは勿体ないということ。
シーン数自体はそこまで少なくなくて、CG量も差分もまぁまぁ廉価なりに揃ってるのになぁ。

しかも、かといってシナリオで特に面白味のある展開があるとかそういうこともなく、
大変に起伏のないまま進行してさらっと終了していくという。そこがいいのだという意見もあるのかも
しれないけど、僕としては色々半端なまま終わっただけだなぁと手厳し目の感想になった。

○キャラ
・主人公
戦犯で早漏。もう少しもたせて候。
まぁ文芸部としての活動を何となく地の文で流さず、キチンと成果物として出してる所は
出来の良し悪しを問わず好感の持てる所。それなりに行動力もあり、オスとして率直な欲求を
見せるシーンも多いのにどうしてベッドではその体たらくなんだ! そんなんじゃネトリ間男の
マジカルチンポでもってかれるぞ! 実際NTR主人公役としての素養は相当あり、この作品自体が
NTR編に続くプロローグ、と言われてもなんか納得しちゃうな今思うと。

・知彩
この娘のキャラ付けも、ちょっと惜しい感じ。
からかい上手な小悪魔美少女後輩とのつかずはなれず微妙なやり取りを楽しむ、ことを期待してたんだけど
殊の外ちょろいというかあっさり好意を表明して翻弄もせずに、すんなりと彼氏彼女に収まっちゃった。
全体を通して言えるのは淡白で起伏がないこと。ボディにはあるけどキャラとしての、ね。
小悪魔っぽい後輩っ娘とイチャラブ!のために生み出されたキャラで、彼女がそうなるに至った背景
とか力学というものが全く見えない。ちょっと要求が難しいかもだけど、それをして初めて活きたキャラ
って奴になるんで、エロの力を借りたくないならココを頑張らないと。


批判は並べたけど、それほど悪い作品という印象ではないです。
スタッフさんにはもうちょい頑張るべき場所を見直して次作を作って欲しい、出たら買うでしょう。
ただやはりこれはエロゲーとして販売されているので、90点が並び絶賛されるような作品か?という自問に
NOと答えた結果このような評価となりました。