最初から好感度の高いヒロインばかりのハーレム状態。そのご都合主義設定を描く上でのある種の難しさがよく分かる作品。
ヒロインが最初から主人公を好き
この解りやすい設定をエロゲーで使用する場合
良く作用する部分もあれば当然、悪く作用する部分もあります
意外と気楽な設定のようで、案外扱いが難しいのですが
それをヒロイン全員に対しして行ったこの作品ですが
この作品については間違いなく設定が悪いように作用してしまったと言えるかと
これが抜きゲーだったならばそれほど問題にならなかったと思います
といいますか、この設定は抜きゲーに非常に向いているタイプです
細かい事を言わずにエロになだれ込めるわけですからね
ただ、恋愛を描くとなるととたんに扱いは難しくなります
それは後ほど語るとして、こういったヒロインのアピールポイントは
序盤から主人公に好意を寄せているが故の踏み込んだ行動
行動に見え隠れするさりげない好意のかたちが武器です
さらに、主人公に告白しておらず、しかし好意を抱いている
上手く行動を起こせずやきもきして、自室などで身もだえてる
個人的に多くの萌えゲー作品では一番好きなるシーンです
実際この作品はそこに目をつけ、照れ×デレとしてアピールしたのだと思います
個人的に、その部分についてはある程度の成功を収めていると思います
ヒロインはミヤスリサ氏の絵のかわいさも相まって非常に愛らしく
序盤に行われる照れ×デレシーンはなかなか良い効果を発揮しています
しかし、ここで気になる部分が、1シーン単位で切り抜けばいいのですが
つなぎとなる日常シーンは非常につまらないモノとなっています
良くある極端な都会と比較した極端な田舎賛歌、正直どうでもいいです
せっかく主人公に好意を示すヒロイン同士向き合っているのですから
ヒロイン同士の腹の探り合いなり、牽制なりを見せて欲しかったです
さて、話を戻しまして主人公に全員が好意を抱いていという設定で
恋愛モノを描く上で起きてしまう欠点についてです
難しい話ではありません、話の起伏を作るのが困難なのです
恋愛を描くと、ヒロインが主人公に好意をよせるようになる段階
告白をして恋人同士になる段階、この2回で起伏が起きます
要は2段階の変身を残しているわけです、恐ろしい事です
対する好感度MAXヒロインは1段階目の変身が存在しません
そして、最初から積極的に好意を示す行動を起こしているなら
よほど上手く描写しない限り付き合う前と後で差がありません
結果非常に起伏が弱く、常に同じテンションの物語を読む事になります
個別に入ってもシナリオは登場するヒロインが攻略対象に減って
エッチが出来るようになっただけという、盛り下がる展開に
中にはさらに糖度を増やしてプレイヤーを糖尿病に追い込んで事なきを得る
という作品もいくつかありますが、これはそれに当たりませんでした
さて、実はヒロインの心境の変化による展開が望めない状態で
シナリオにある程度起伏を持たせる簡単な方法があります
外的要因による障害を作成する事です、おすすめはしませんが……
外的要因の多くはファンタジー要素だったりする事が多いです
なんだかとんでもない困難な外側からの圧力で恋愛成就が困難になる
やりすぎると飽きが来てしまいますが、有効な手段です
しかし、これは悲しきかな普通の恋愛モノ、ファンタジーはありません
ならば、日常シーンで困難を作ればいい、それが悲劇の始まりでした
結果的に出てきたのは、山場どころかギャグにもならない茶番劇でした
正直、そんな山場入らないからさっさと付き合ってイチャラブを増やせと
こっちの気も知らず延々と、外的要因と主人公の鈍さで引き延ばす展開に
その駄目さの集大成がヒロインとしてメイン格の筈の瑞希でした
終盤の山場も酷かったです、正直山場になっていません
無駄にモノわかりの良い登場人物達が、盛り上がる隙を見せません
「田舎から出る」「思った通りすればいいと思うよ」
こんな展開ばかり……もっと、こう、迷いとかとまどいとか……さ
語る機会がなかったですがヒロイン達は非常に物わかりがよいので
主人公とヒロインがくっつくと他のヒロインはあっさり納得します
もう少し軽い修羅場なり、嫉妬なり、あきらめないなりあった方が
こういった作品のヒロインとして魅力が出たのではないかなと思ったり
そんな感じで私がこういった最初からハーレム状態に懸念する
物語に起伏が無く、主人公が鈍感過多駄目キャラになる
という流れを地でいってくれました、なんてことしてくれる
良かった部分は
告白シーンなど一部のシーンでヒロインが魅力的書けているところ
ヒロイン自身は可愛いと思えるレベルのキャラだったところ
エロが有る程度濃いレベルであったところでしょうか
一応お気に入りのヒロインはいて凛ですかね、シナリオも一番マシ
悪かった点は多すぎるのでパス
正直ハーレム交えてエロ重視の5800円ぐらいの廉価作品にした法が良かったのでは