サスペンスが苦手でも、これならまあまあ楽しめるのでは
このブランドの作品は2つ目。以前プレイしたものはEDの種類が多いなぁと思っていたがこれもそうだった。
作品の舞台に序盤でばっちり引き込んでくれるので、プレイし始めると次へ次へと進められる作品だった。EDの種類が多いぶん1つずつは短めなので、それもこれに拍車をかけているように思う。知紗リスペクトなのかなんかこう数学っぽいです。この屋敷という舞台と人間関係が仮定で全てのEDを挙げてみろという問題があるとして、何回か反復しつつ丁寧に場合分けを重ねていけばこんなEDのパターンが思いつくのかなと感じた。
主役というか一番の立役者は、陸音と空音、それと沙羅でしょうか。このEDが初めて作品の全体像を明らかにしてくれるので、後は消化試合じみてくるというレビューは分からないでもない。私としても陸音と空音のEDが最も楽しめた部分のように思う。これには今述べたような理由だけでなく、CV:鈴谷まや さんの演技が大きかったかなと感じた。序盤は双子として、その後は教会での出来事をきっかけに色々話してくれるようになった陸音、双子としてではなく反発する意思を見せるようになった空音、でも徐々に顔をほころばせていく空音、それを眺める陸音、主人公を通して分かり合えた二人、色んな感情が演じられていたように思った。
もう1つ良かったなと思うのは、陸音のEDと空音のEDの2つに別れていないこと。もしどちらかを選べと、陸音を選べば空音は屋敷に残されたまま、空音を選べば選ばれなかったことに陸音が劣等感を覚えて立場逆転とかになったら、なんと苦しい気持ちでプレイしなければいけないのだろうかと思う。最後にHシーンの分岐はあるけれども結末は同じ。甘ちゃんかもしれないが、二人に幸せになってほしかったんだと思う。主人公の考えを借りるとすれば、100という幸せを一方に100渡したりとか半分ずつ分け合えとかではなく、二人に100ずつの幸せを感じてほしかったんだと思う。だからこれで良かった。