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janjanさんの乙女が紡ぐ恋のキャンバスの長文感想

ユーザー
janjan
ゲーム
乙女が紡ぐ恋のキャンバス
ブランド
ensemble
得点
85
参照数
847

一言コメント

伏兵、隠れた良作

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

女装とくれば「おとボク」や「るいとも」「恋盾」。そして絵画が絡むとなると「Canvas」シリーズが思い浮かぶかもしれません。本作品は両方の要素をミックスさせています。一般的には失敗フラグですが、この作品はなかなか面白いです。体験版を見て「これは」と思った方はプレイすることをオススメします。

絵はばっちぐーです。文句ありません。体験版やサンプルを見て気に入ったら問題ないと思います。

シナリオについてはシリアスに進みまくろうとしつつもシリアスになりきれず。萌えるやろー、円満やろーという流れで収まるという形ががいい意味でできており。読み進めていて疲れない、ほどよい長さで纏まっています。ガリガリシナリオを読み進めたい。矛盾とか複線回収とかががが。という方には向いてないかもしれません。まあ萌えゲとして見るなら若干キリッとしてテンプレから外れかかっていますが、概ね王道と見ていいです。

音楽は普通です。違和感を感じることも物足りなさを感じることもありません。ただキャストさんが主人公をはじめとして役に合っていると私は感じました。萌えゲとしては合格点。すばらしいと思います。

システムも特段悪い点はありません。見た目も含めてADVとしてツボを抑えたつくりになっています。

どのキャラクターのシナリオでも主人公の絵(芸術)に対するこだわり、もしくは関わりがでてきており。それに絡めて物語が展開、収束するという流れは見事です。キャラクターに対する萌えも絵だけでなく物語を進めていって積み重なるものがありました。長さもほどよい長さです。興味を持った方にオススメします。

最後に、主人公が女装をする意味があまり無かった気がしますが、桐谷華さんのボイスはなかなかはまっていたと思います。まあ男の子(娘)というよりはメイン(主人公的な意味合いで)ヒロインだった気もしますが。