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itomakotoさんのひこうき雲の向こう側の長文感想

ユーザー
itomakoto
ゲーム
ひこうき雲の向こう側
ブランド
FLAT
得点
85
参照数
642

一言コメント

H時の主人公の言動がAV男優みたいで気持ち悪い。しかし評判通り、瑛莉trueはとても感動した。あれはずるいわ

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

各ヒロインといざHだ!となり色々プレイ中トークが入るわけですが、童貞君のくせにやたらセリフが芝居かかってて気持ち悪い。菊穴がひくついてるぜとかラヴ汁があふれてくるぜとかやたら語尾に「~ぜ」って付くのが多くて気になったのとその一つ一つの発言が普通いわねーよ^^;ってツッコミたくなるような発言がとても多かった。
この手の発言はHする全キャラに対してあります。
主人公の言動のキモさとCGの崩れがなかなかに多いのでエロ面ではまったく役に立たず。
あとこの主人公、恋愛がわからないを盾に好きだと認めないくせに付き合う前から女の子にHなことしすぎですね。そこはちょっと見ててイラっとした。

しっかし、ここでの評判があまりにもよかったので各ヒロインを推奨順にクリアしてみて最後の瑛莉trueのエピローグを見てちょっと鳥肌立った。

妹ルート。美奈はいらなかった。まずおまけっぽい綾ルートからクリアしたが、オチで美奈が「彼氏作りたいなー」→主人公「え!?」で暗転して終わりは美奈ルート本戦へのいい伏線でよかった。が、肝心の美奈にまったく魅力を感じられなかったのが問題。量産型ドジっこポケポケ妹なためなんかもう見飽きた感があるのと、親友の綾ちゃんのほうがいいキャラしていたためこっちメインにして欲しかったと思ってしまったため。綾ルートに入りHになるときにあれだけ美奈のこと好き好き言ってた主人公が取ってつけたようにこの子が好きになってたんだ!はかなりクソだと思いましたが、綾ちゃんがいい子すぎたのでそこは相殺。

いろはルート。可愛さだけで言えばこの子が一番可愛かった。他のキャラに比べるとイジメや親の虐待などちょっと暗めの話も結構絡んできますが、それをされてるいろは自体が芯が強い子のためまったく深刻にならない(ご都合展開でもなく)持ち前の小動物的な可愛さを全編に渡って発揮してくれるため、終始ニヤニヤできたルートでした。

そして瑛莉ルート。ED後のエピローグを見て感動して鳥肌立ちました。最後の選択肢後、Trueに入ると瑛莉のことを好きだと完全に認めた主人公が瑛莉をオトすぜ!とがんばり始めるんですが、そこからEDに行くまではなんか普通なラブコメだったなー程度の感想だったのですが、エンドロール終了後にエロゲ特有の後日談がくるわけですが、この演出とストーリーはずるすぎだろうと。ラフ画によるそれぞれのその後の場面(ラフ画の雰囲気がとてもよい)短い中に各キャラの成長や未来がとても素晴らしく綺麗に語られるところ。主人公と瑛莉の子供や潤君の子供、その二人が結婚し主人公達に孫が出来たり。そしてなんと言っても主人公と瑛莉の老後の流れ。
最近のエロゲでそもそもここまでしっかり主人公とヒロインの未来を描ききった作品はなかったのではないでしょうか。結婚して50年、最後の最後で初めて瑛莉口にして言った「好きだ」という言葉。ずっと本編中に何気なく出ていたアンティーク物の望遠鏡に隠されていた瑛莉のたった一言のラヴレター。この二つの流れを見終わったあとあまりの感動になんか胸が切なくなった。伏線をあまり伏線を思わせないライターの方の物語の書き方にしつこいようですが、本当感動しました。全てを見終わってあぁ・・・これで物語が終わったんだなーと寂寥感と共に程よい気持ちよさを感じさせてくれる作品でした。

そして3人のルートが終わるとエクストラで会長ルートがおまけで見れるのですが、このルートの〆もまたよかった。会長の告白を主人公が受け入れ、その後瑛莉がこちら(プレイヤー)に語りかけるシーンはほんと観測部に私も入れてくれーって言いたくなりました。

瑛莉がかなり自己中で不快な言動も多いためそこが合わないという方も多いと思いますが、全て通してやってみるとシナリオが素晴らしく評判に違わない作品だったと思います。
パッチ当てても誤字やプレイ中に関係ないカットがちょくちょく挟まれたり、ロードがめんどくさいなどシステム面に問題は多かったですがここまで一気にやれたエロゲは久しぶりでした。