闘えちびすけ!たとえ戦う理由を見失っても、大切な人を失おうとも。Hero、born to die!!!
※プレイ時間はストーリーモードで進めた場合です。
自分で育成したハムスタァでバトルに勝利するのも本作の醍醐味だとは思いますが、ストーリーモードでもバトルアニメ、バトル中の会話はありますので雰囲気は楽しめます。
(以上ヘタレの言い訳)
ハムスタァの名前はちびすけ言ってますがこれは私がつけたもので、ゲーム開始時に入力を求められます。
ハムスタァでは味気ないので以下ちびすけで表記しています。
ハムスタァを戦わせるスタァライク、そしてそのハムスタァを心を通わせる星工がいる世界。
父親に酒代としてちびすけをスタァライクに売られた主人公・節子は、ちびすけを生き残らせるために戦うことを決意するのです。
ほのぼのハムスター育成ゲームなどではなく、バトル開始前に毎回注意事項が入るところからお察し。
ハムスタァ(あえてこういう表現をしておきます)が首チョンパされたり、エロゲでもないのにモザイクが必要な事態になったりとてもえげつないことになっています。
しかしそのえぐさも本作の魅力です。
なんといってもシナリオが熱い!
己の信じる正義と正義のぶつかり合い、裏切り、絶望、王道な展開でありながら先が気になり一気に読み進めてしまう魅力がありました。
それを支えているのはギャグとえげつなさのバランスでありましょう。
特に5話の悪趣味度はトップクラスで、予想していたとはいえここまでやるかと。
そして6話ラストで完全に心がポッキリと折られました。
いやぁえげつない趣味が悪い、しかしクリックする手は止められない……なんというジレンマ。
バトルシーンを盛り上げてくれる挿入曲もキャラごとに異なるという力の入れ具合。
特に特公・公太郎(どこからか苦情がきそうな名前ですね)のテーマソングは耳に残る、妙な味わいがありました。
一方で成り行きとはいえ戦うことを選ばざるを得なかった節子とちびすけの成長も見所です。
節子は序盤では父親には抵抗できない弱々しい少女として描かれていますが、話が進むにつれて戦いを求め父親に言い返すまでの強さが身につき始めます。
しかし節子はあくまでも「普通の少女」なんですよね。
星工としての才能はあって、父子家庭で育った普通の少女なのです。
だからこそ己の心境の変化に戸惑い苦悩します。
強くなればなるほど逆にかつて自分たちが味わった恐怖を与える存在になってしまう、果たしてちびすけを戦わせるのは自分のエゴではないのか?
3話以降の大義名分がなくなった後の展開は見ものです。
自分を助けてくれた節子に全てを委ねると決意したちびすけもまた、戦いの中で色々なものを失い絶望し、それでも歩みを止めることはありません。
彼らは苦悩しながらも様々な人とのかかわり合いの中で真の強さを求めていきます。
そうした心理描写が丁寧にしっかりと書かれているため、本作は1人と1匹の成長ものとしての一面も持ち合わせています。
また物語を彩る登場人物も濃いキャラが多く盛り上げてくれます。
この世界にはろくな人間がいません。
酒代のために娘のハムスターを売り払い、節子が戦うことを選ぶきっかけを与えてしまう父親を始めうわぁ……こいつは屑だなと思うキャラが多数。
作品の良心とも思えるキャラもどこか欠けがあり、しかしそういう清濁併せ持ったキャラが魅力的なのです。
スタァライクの司会者である中司・メイヤー・千春のバトル前の口上は必見。個人的に本作の魅力の一つではないかと思うのです。
「握りしめた電磁警棒は一閃にしてホシを逮捕・拘束・審判・処刑!公太郎税金無駄使いしない!」
しかし、さすがに第1声があれな神様にはドン引きしてしまいますが。
余談ですが本作一番のクズはヒロポンじゃないかと思います。
ネタゲーかとおもいきや、熱いバトルものであり成長ものでもありました。
熱くて、えげつない展開盛りだくさんで一気にプレイしてしまいました。
特に陸話での持ち上げて落とす、その構成の外道っぷりは久しぶりに心がポッキリ折られました。
一番星とは、そこを目指した先になにがあるのか、そしてジョーカーの正体とは……。
第2部への期待が否が応にも高まります。