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isumiさんの嘘つきナレットの優しい暗殺者の長文感想

ユーザー
isumi
ゲーム
嘘つきナレットの優しい暗殺者
ブランド
雨傘日傘事務所
得点
75
参照数
2054

一言コメント

優しい嘘つき達の物語

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

暗殺者よ

私はお前に呪いをかけた

呪いはお前の耳から全ての真実を奪うだろう

心しろ

今日より後

お前は虚偽をのみ耳にして生きるのだ


けれどもし

お前がもしか

虚偽に満ちたお前の世界でなお

たとい一片にも真実を見つけることができたなら

そのときは


もとより真実を必要としないお前に

私を殺してくれたお前に

この呪いは私からの贈り物


魔女はしずかに いきたえた
(以上、HPのより抜粋)

アイロンウッドで絵師兼暗殺者として働いているスティラ。
彼のもとに土曜日ごとに遊びに来る幼なじみのナレット。
そして最近2人に新たな友人ができました。
メガネの鬱陶しい男やもめ・ラベンダードラゴン(以下ドレイク)と古都の麗人・キザクラさん。
それを機に2人を取り巻く環境は徐々に変化を遂げていきます。



今回はいつもと違ってバトルシーンで燃える、というよりもバラバラだったピースが徐々に絵になっていくような面白さがありました。
もちろん燃えもあるんですけど、どちらかというと動的な面白さよりも静的な面白さ……とでも言いましょうか。特にプロローグの意味がわかったときは爽快でした。
ナレットの想い、スティラの優しさ、色々なものが絡み合ってそして最後のバトルシーンに集約させていく構成は相変わらずお見事でした。
キザクラさんの問に対するナレットの答えは名台詞だと思います。
日常シーンもドレイク・キザクラさんファンにはとても楽しかったです。
霊刀から何があったんだというくらいラブラブでニヤニヤで、もうお前ら付き合っちゃえよ状態なのは見ていて楽しかったです。
しかもドレイクはそれに気づいていないのっていうのがもうね……たまりません。
バトルシーンに、日常シーンどれも楽しくて一気にプレイしてしまう魅力にあふれていました。

しかし確かに面白かったことは面白かったのですが、なにかモヤモヤというか割り切れないものが残ります。
それはスティラの強さがこっちにあまり伝わってこなかったからだと思います。いくつかのシーンで強いということは分かるのですが、ドレイクが押されるほど強いのかというと途中での実は彼は〇〇でしたー!くらいしか説明ありませんでした。
後半はドレイクが主人公でスティラが影に隠れてしまったのも、私がそう感じた原因だったかもしれません。
スティラが主人公だとすると後半の影の薄さが気にかかり、ドレイクが主人公ならば終盤の展開に不満が残り……。
スティラの学院時代のエピソードを入れるなど、最後までスティラにスポットを当て続けて欲しかったですね。
やはり最後を「主人公」がきっちり締めて欲しかったです。
また物語の転換と切欠となった出来事がそれまでの積み重ねが感じられなかったので盛り上がりにかけたり、重要そうな人物が特に重要ではなかったり全体的に駆け足気味なのが気になりました。
短いので仕方ない部分もありますが、せめてドレイクとキザクラさんとの出会いには尺をとって欲しかった。
悪役も何しに出てきたんだお前みたいな扱いでしたし。


グラフィック・演出は相変わらずのクオリティ。
……ですがキザクラさんの正面立ち絵にちょっと違和感が。横顔は可愛いんですが……。
ナレットは可愛い。ムチムチ度も控えめで多分今までのヒロインの中で一番可愛いんじゃないかと思います。ロリナレットの可愛さといったら!
ただ演出はもちろん高クオリティで特にラストのドレイクのシーンはおおっと思ったのですが、それ以外は特に印象に残りませんでした。
贅沢な話ですが慣れてしまったのかな。でも他の作品の演出はいま見てもすごいと思うし、思い入れの違いなのかもしれませんね。

声は特に違和感はなかったと思います。
キザクラさんはもちろんですし、ナレットもサンプルでは思ったより低いなーと感じましたが実際プレイしていると気にならなくて、むしろ生き生きとした感じが良かったです。
スティラも言われなければコルク先生と同一人物だとは思えませんよ。
ただバトルシーンでもドレイクの声量が控えめだなーと感じたところが一部ですがありました。
そしてラストでの表示されないセリフには演出も含めて燃えました。
それ以外にもそういう使われ方がしてあるシーンがあって、使い方が上手いなーと感じました。
是非(特に終盤は)飛ばさずに聴いてみてください!

エロシーンは……あれエロいよ!
いつもとは違い和姦で、しかもナレットが可愛いので普通にエロいです。
直腸脱も子宮脱も多分ありません。まーぐっちょんぐっちょんになりますが。
とはいえ和姦一本ではなく、他の男に抱かれたり、エロシーンはなくてもナレットが他の男とそういう事をしている描写はありますのでご注意を。
しかし今回は和姦が多かったので、寝取られゲーをプレイしている気分にさせられたのは貴重でしたね。


面白かったことは面白かったのですが、それ以上にモヤモヤっとしたものが残る作品でした。
待ち続けたせいで期待がどんどん膨らんでしまったというのも原因かと思います。
とはいえシナリオ、演出、グラフィックとどれもクオリティは折り紙つきですのでプレイして損はないはずです。ドレイク・キザクラさんコンビが好きな方はぜひ!ニヤニヤできますよ~。

以下、ネタバレ感想

















ナレット=アラト・アラトの娘で確定か?
そうするとエリシアとナレットは異母兄弟になるのかな。
ナレットは自分の母親を殺したことになるわけで。

一応ハッピーEDですが、もしかするとこの作品長い目で見るとハッピーEDではないのかも。
2人に残された時間は後半年……。
この2人を見ていて誰かに似ていると思ったら、セイルとリアンの関係でした。
出身もそうですし似ていませんか?

ドレイクがキザクラさんを陽と呼んだ時、バトルシーンにもかかわらずニヤニヤした人は私だけではないはず!
頭ナデナデとかダンスの時とかニフルヘイムでの通い妻状態だとかこの2人に何があったんだ。
霊刀ではキザクラさん=ディールの物って感じだったんですけどね~。