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isumiさんの雪神一雫の長文感想

ユーザー
isumi
ゲーム
雪神一雫
ブランド
雨傘日傘事務所
得点
75
参照数
705

一言コメント

ヴィザルの日記、黒曜鏡の魔獣と毎回熱い展開がある雨傘日傘事務所さんの最初の頃の作品。今までにプレイした2作品と比べると燃え↓、主人公のカッコよさ↓ですが、日常シーンの楽しさや演出はさすがの一言。ただ…うーん……これって幸せな結末なのかな。まぁ当人同士が幸せならそれでいいんだけどね、うん…そうだよね。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

氏子を守る氏神である主人公ととある親子のお話。
最初は賑やかな日常シーン、そして徐々に明かされる主人公の過去と因縁、そして終盤はなかなかに燃えるバトルとホロリとくるシーンで締めといった流れです。
本編は1本道ですが、クリアー後にオマケシナリオが3本追加されます。それについてはまた後ほど…。
少し古い作品ですが日常シーンの楽しさは相変わらず。
神父と主人公の掛け合いや小学生に遊ばれる主人公などクスッとさせられ、そして暖かくなるシーンがふんだんに盛り込まれています。
しかしそんな楽しい日常も、あることをきっかけとして徐々に変貌していきます。
主人公が見る謎の夢、志津絵の過去、真白の呪いなど段々と繋がっていく構成はお見事。
終盤のバトルシーンもちょっと物足りなさはあるもののなかなかに燃えます。演出のうまさも相変わらずです。
そしてしんしんと雪の降りしきる中、静かにこの物語は終わりを迎えます。最後は感動とまではいきませんでしたが、ジーンときました。
最後のCGが印象的。

それにしても真白が可愛い。無表情キャラかと思ったら結構泣くわ、照れるわ、焼きもちやくわでいい意味で裏切られました。
いい意味で裏切られたといえばもう一つ。主人公に不覚にも萌えました。
最初は「えへへ~」や「はぁ~い♪」はないわーと思っていたんですが、段々…こう何と言うか…あれ可愛いんじゃない?という気持ちに。
特に金ダライが降ってくるシーンに挿入されるCGは主人公の後ろ姿が可愛すぎてもう。
まぁ一番驚いたのはアレのアレなんですが、これはネタばれになるので割愛しておきます。
読み返してみるとなるほど!これが伏線か!!と思えるものがありましたが、見事に引っ掛かりましたね~。

エロは今までにプレイした2作品と比べると温め。お尻使いませんし…いや、何か所どぎついのはありましたが。
個人的にはエロシーンそのものより、真白とのH突入前の会話が好きです。
初H前に一緒に布団を敷く2人の初々しいやり取りに思わずニヤニヤ。
基本的に真白・志津絵とも主人公とのラブラブ和姦が中心ですが、どちらも主人公以外とのHがあるので苦手な人にはきついかも。
特に真白の凌辱シーンはああああああとなりました。
今回は娼婦と言う設定でもなく主人公との会話が中心なので、終盤でいきなり凌辱シーンが挿入されるのはきつかったです。
決して堕ちることがないのがせめてもの救いか。

グラフィックはのっぺりしていてあまりうまいとは言えませんが、発売時期を考えるとこんなものでしょう。
目パチもちゃんとあってキャラの表情もころころ変わるのは好評価。
大分前に発売された作品なのに、ちゃんとこれが実装されていたのには驚きました。
CGはむちむち度は低め。個人的にこれくらいがベストかなと思います。相変わらず枚数は豊富です。
このころから一切手抜きをしないという姿勢には大変好感が持てます。

気になったのは終盤の主人公の影の薄さ。黒曜鏡とヴィザルの主人公がチート過ぎるのかもしれませんが、ちょっと物足りなかったですね。
終盤までは主人公に好印象を抱いていたので、燃えるシーンでももうひと押しあると良かったかもと思います。
おいしいところは姉さんの総取りでしたから…。
また悪役にも魅力がありませんでしたが、これは私が他の作品と比較しすぎているからかもしれません。
悪役としてみれば十分すぎるくらいの悪役でした。
そしてこれが一番の不満点なのですが、オマケシナリオの後日談が衝撃的でした。
1つ目と2つ目はまぁいいです。特に1つ目は意外なことが分かって楽しめましたし。
(ただ、あの状況でHする主人公に少し幻滅しましたけど)
問題なのは3つ目、1つ目と2つ目を見た後に解放されるこのエピソード。
なんとなく始まりから、あれれ??と思っていたら、まさかの……。
魅力的なキャラがいるこの作品においてこの終わり方はかなり後味が悪いです。


一言感想でグチグチ書いていますが総合評価としては十分良作です。
ただ本編が割と綺麗に終わっていたのでちょっとばかし違和感を覚えただけなんです。蛇足……ではないんですが個人的に納得できません。
ああいう終わり方は嫌いではないしむしろ大好きなのですが、この作品に関して言えばあの2人だけの世界に言いようのない寂しさを感じました。
せっかく神父や志津絵さんや文則、佳代子などちょっと変人だけれども温かい人たちがいたのにあの終わり方はとても切ない。

以下、ネタばれ感想



















神父が実は女でしたというのは分かりますが、どうしてもあのHシーンには違和感が拭えませんでした…。
別に主人公が大好きなホモキャラのままでもよかったのに…よかったのに。

そういえばこのお話も黒曜鏡や他の作品とのつながりが少しあるみたいですね~。
主人公の世界がずっと雪の降り続ける世界なら、もしやあの場所なのでしょうか?