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isumiさんの鷽替真と月夜の×××の長文感想

ユーザー
isumi
ゲーム
鷽替真と月夜の×××
ブランド
ななしのや
得点
88
参照数
3385

一言コメント

なにこれひどい

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

いいぞもっとやれー

とりあえず、ダウンロード版とパッケージ版の値段の差にびっくりです。
1000円以上開きがあるのは初めて見ました。
私はダウンロード版の方を買いましたが、作者様を応援するという意味ではパッケージの方がいいのかもしれませんね。
でも、2000円はちょっと厳しいな。


異常者に誘拐された過去を持つ主人公が、同じく異常者に誘拐されてその時にある約束をした少女と出会い、告白されるところから始まるお話。
心に傷を持つ者同士の恋愛物語です。
いえ、間違ってはおりませんよ?ええそうですとも。
ちなみに本名プレイ推奨らしいです。
その理由は1章の最後で明かされますが、まぁ本名プレイの方が楽しめるよ~といった程度でしょうか。
本名プレイの方が驚きは増しますが、同じく本名入力があった「忘れものと落し物」ほどではありませんでした。
というか、主人公の名前=プレイヤーの本名となるわけで……私には厳しいものがあります。
一応無理やり読み方を変えれば男性の名前と読めないこともありませんが(小学生のころ実際にそう呼び間違えられたこともありますが)、最後の方まで違和感が拭えませんでしたね。
それに自分と同じ名前の主人公がりあじゅーなのがいやはや何とも……。
さて、前置きはここまでにして早速感想に行きたいと思います。



・1章
異常者に誘拐されてそこで悲惨な経験をした主人公。その主人公の前にかつて約束をした少女・真が現れ、告白されます。
彼女もまた異常者・忌野朋近に誘拐された通称ヒノチルドレンです。
そんな心に傷を持つ2人の恋物語が、愉快な仲間を交え時にシリアスに時に楽しく繰り広げられます。
特筆すべきは奇人変人しかいないキャラクター。
顔文字少女の真、主人公の元恋人の違、真のライバル剣十郎(♂)、ただの賑やかしかと思いきやのラムニー☆チムニー(魔女っ子)、などなど。
一番好きなのはアカリちゃんですね。
母親は切り裂き魔、父親はテロリスト、兄は薬中のファンシー少女です。(さて、その真相は如何に)
色々突っ込みどころのあるキャラばっかりですが(剣十郎の家の「切り捨て御免」とか)、そこを受け入れることができれば楽しめると思います。
また、意味のない選択肢にも楽しませてもらいました。あのおかしなハッピーEDは意味不すぎる。
で、上記のことを楽しみつつ、主人公の心の傷の深さと真の包容力にグッときながら読み進めておりましたところ……。

ん?
はて…えええ?
なんじゃこりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~~~~~!?

いやいやいや、まさに「超☆展☆開」です。
そうとしか言いようがありません。
そしてここで本名入力が生きてくるわけですが、これはゲームが多少楽しくするためのオマケみたいなものでしょうかね。
序盤であんなにしつこく本名か聞いてきたので驚くような仕掛けがあると思っていましたが、期待したほどではありませんでした。


・2章
衝撃的な結末を迎えた1章からの続き。視点は違に。
あんな出来事の後なので、コミカルなやり取りもどことなく滑っている感がありますね。
そんなこんなで色々ありまして、とある出来事をきっかけに物語は動き出します。
動き出すのですが………。

いや、お前誰やねん?

立ち絵見た瞬間吹いたわ。思わず二度見したわ。
いくらなんでも変わりすぎだろ……。
えーっとシリアスなのにぶち壊してくれるキャラがいます、あの格好のせいで…。
ありゃどう見ても落ち…。あの恰好でヤンデレ(病んでる)とか、新しすぎるだろ。
まぁシリアスはシリアスですし、とあるキャラのものっそい意外な過去が明かされたり、意外な真相が明かされたり引き込まれるように進んでいきますがね。
(お気に入りのキャラが退場した時はええっ!?と思いましたが。ま、あのやり取りで死亡フラグ立っていたしねぇ…)
可憐さんの過去は、これ一本でゲームが作れると思います。というかぜひ作ってください。
そして……その発想はなかったわ。
真相はミスリードに引っ掛かったというより、まさかっ!?という感じでした。完全に安全圏にいた人物が……。
後でよく考えると伏線っぽいものがあったのですが、いやはや盲点でした。
後味はあまり良くないけど一件落着♪犯人わかってよかったね~。

と思いきや……。
やりやがった……。
伏線回収がお見事としか言いようがないです。
2章をプレイ後に1章をやるとその見事さに驚きます。
まさかアレにちゃんと意味があって、さらにアレがあのような意味をもっていたとは…。
詳しく書くとネタばれになってしまうので書きませんが、すっごいテンションが上がりました!



いやはや最後にやられました。
アレさえなければB級サスペンスもの(ちょっと恋愛もあるよ)でしたが、最後で大幅に点数アップ。
よくよく考えると突っ込みどころがありますし(そもそも最期にあんな行動できるわけねーよとか)、最後が続編があるかのような終わり方なのは気になります。
せっかくCGが豊富のにCG鑑賞がないのも残念。
が、良くも悪くも同人でしかできないゲームというところは評価したいです。何よりこれを一人で制作されたのは称賛するべきところ。
上記のことや、セーブしたところから再開すると入力した名前が消えてしまうバグなどで-2点しましたが、最後は禁飼育以来の盛り上がりっぷりでした。
ラノベチックな展開が平気で変なゲームがお好きな方にはプレイしてみてはいかがでしょうか。
癖があるのでまずは体験版をプレイしてみてからの購入をお勧めします。
名古屋在住もしくは名古屋出身の方はより一層楽しめると思いますよ~。
名古屋出身としてはこれだけでテンションが上がりましたね~。名古屋港水族館懐かしいなぁ…今度帰省したら行こうかな。

以下、ネタばれ感想(重大なネタばれあり)





















選択肢の3つ目、ゆびきりってそういう意味だったのね。1章の終盤を読み返してみると、おお~と思える部分があって2度美味しいです。
ピンチでペンチが役に立つとは…惜しむらくはラムニー本人が早々に退場したことでしょうか。
主人公は結局1章で退場したままなのね。2章にも見せ場があるといえばあるけど、もっと驚きの展開があると思っていたわ。
忌野と違の対決、真の行方…全てうやむやのままなのでしょうか。でも続編は、蛇足だよなぁ。これをうまくまとめたら90点クラスだったのに。
忌野は悪役なんだけどどこか憎めない複雑なキャラでした。やってることは最低最悪、それにアカリちゃんの件もあるので本来ならば憎むべき相手なんですが、ああも純粋に狂っていると…うーむ。
簡単に言うと純粋な狂人と、作られた狂人のお話でした。結局作られた狂人が人の輪の中で生きられないのは、仕方がないのか。
タイトルにも意味があったことに驚きました。

違がかわいすぎる。
入れたければ告白しろって…斬新すぎる告白ですね。しかも初めてとか。
こういう告白エロゲに需要ありませんか。ありませんね。

このゲームプレイしてCDシリーズを思い浮かべました。B級テイストのノリや超展開過ぎるのに面白いというところが似ています。