鳥籠のようなこの街では、猫と、ヒトと、不思議たちが混在している―――。海上都市を舞台に綴られる、何でもない人々の日常のお話。あっと驚くような展開も、怒涛の伏線回収もないけれどとても素敵な物語。読み終えた後雲来籠子に行ってみたくなる、そんな極上の雰囲気ゲーです。
不思議が不思議として在る街――雲来籠子(ワンロイロンズ)、通称<籠の街>。
海沿いのこの地は、かつて一度、災厄に滅びた。
疲弊した街の復興を担ったのは、浮船を住まいとし、
世界中に組織網を持つ、浮動(フードン)と呼ばれる者たち。
機動力に長け、商売上手でタフな彼らは、
この海上の遊園地跡地に、またたくまに一大異人街を築き上げた。
巡る水路、
金魚提灯を提げた浮動の小舟たち、
廻りつづける古びた観覧車、
街をとりかこむ十二の支柱と天蓋、
中央に聳える梯子楼、
そして、「天使仔猫(てんしにゃんこ)」の噂。
二十一世紀末。
おだやかな凪の時間を、たいせつなひとと、ともに――。
(以上サークルHPより抜粋)
海上都市「雲来籠子」を舞台にした連作物語。プレイ時間は1話につき20分程度。
女性向けサークルの作品ですが、女性向けではない……と思います。少なくとも本作をプレイした限りでは、女性向け要素はありませんでした。
本作「天使仔猫譚0」には本編2本、エイプリルフール企画の1本、計3本のお話が収録されています。
値段が安かったから(確か500円以下)という理由で購入した本作、値段が値段だからとさして期待はしていなかったのですが……。
そんな理由で購入してすいませんと製作者の方々に謝りたくなるくらい素晴らしいものでした。
何が素晴らしいかって、その世界観。言葉ではうまく言い表せないのですが、この世界観が大好き。ああもう大好き。
女の子も可愛らしくて魅力的で、他のキャラクターもいい味を出していて……。
雰囲気ゲーが好きな人にはぜひお勧めしたい作品。HPの物語紹介を見て興味が湧いたのなら購入しても損はないはずです。
是非プレイしてみてください!値段以上に満足できると思いますよ。
いやー久しぶりにいい雰囲気ゲーに出会えました。これからもこのシリーズには注目していきたいですね。
以下、各話について
・鳥籠子屋、非日常の客‐もしかしたら、非日常が日常になるかもしれないお話‐
主人公は砂糖だけど甘くない、砂糖(しゅがあ)ちゃん。最初はルビの多い文章で大丈夫かしら?と心配しましたが、そんなものは杞憂に終わりました。
絵描きの青年が出てくるところから徐々に話に引き込まれ、終盤にはこの世界の虜に…。
主人公の砂糖ちゃんももちろんですが、マスターや立ち絵のない老爺など脇役がいい味を出しています。
絵描きが日常になるかどうかまではこの話だけでは分かりませんでしたが、ぜひ絵描き視点での話も読んでみたいですね。
それにしても天使仔猫とは一体何なのでしょう?これから明かされるのかもしれませんが、別に明かされなくてもいい気もします。
・bye,bye,"V"ector Flag‐ちょっとだけ大人になった、そんな少しだけ特別な日のお話‐
舞台は鳥籠子屋から学房船へ。お話も子どもたちのちょっと特別な一日を描いています。
とある出来事により判明した、かぎ屋の存在と少しだけ芽生えた恋心。
もうね、このはっきりと明かされないけれどちょっと甘酸っぱいエピソードがたまりません。
この子供らしい友情みたいな恋みたいな関係はいいですね。この2人のその後も見てみたいですが、このままの関係を維持してくれたらいいな。
私事ですが、もしもこの学校が実在するのなら通ってみたい。好きなことだけやってればいいなんて最高。
・EXTRA‐欠けたものはなんだろう‐
ちょっと意味深な天使仔猫のお話。これがその後のお話にも関わってくるのでしょうか。
兎にも角にも続編が非常に楽しみです。
・少女、仔猫、らじお‐わたしは、あなたのみる幻想に、忍び込めているのかしら……?‐
エイプリルフール企画で製作されたお話。私はDLし損ねたのですが、まさかエイプリルフール企画が実現するなんて思いもよりませんでした。
本作に限らず同人ではそれがたまにあるので侮れませんね。(確か厨恋もそうだったと記憶しています)
主人公は天使仔猫の螺児音(らじお)ちゃん。
この話では天使仔猫が登場しますが…檸檬と可可茶(ここあ)が可愛い。とにかく可愛い。本当に魅力的なキャラクターが多いです。
ストーリーに関しては、「ヌシ様」とは何なのか?コトコはどうしてその名をらじおにしか呼ばせないのか?気になることが一杯です。
エイプリルフールの時にプレイしなくて良かったかも。
続きが気になって気になってしょうがなくなったかもしれませんから。