真面目に恋に向き合うのって、本当は凄く大変なこと。
◆シナリオ感想
失恋から始まる物語。
恋愛ADVというジャンルにおいて今作は非常に珍しい。
プロローグの段階で主人公(元木 司)に想い人(藍田 奈美)がおり、付き合い振られる(主人公から振る)所から話は展開される。
一つの恋に真剣に向き合ったが故か、次の恋へとスグに切り替えることなど出来ない。
かといってやりたいことも特になく、ダラダラと何となく過ごす毎日。
失恋してからの無気力な日々を想像させつつ、その場面を全面カットした点は喜ばしいところ。
(傷ついた心を癒すのに「時間」は必要だと思うが、読み手が退屈な日常を飛ばした点は非常に嬉しいの意味)
約一年の月日が経過し、今なお過去の恋に心引き摺る主人公。
そんな日々の生活で関わる友達やヒロインと共に成長していく青春群像劇。
物語の魅せ方は悪くないし、各々の成長過程や細やかな心情が丁寧に描かれているのも理解出来る。
しかし、個人的には話のテンポがもっと良ければというのが正直な感想。
・奏√
友達としての関係を壊したくない。
今の関係を大切にしたい。
遠まわしな(傍から見ると積極的な)奏からのアプローチに鈍感なフリをして、先に進まずその場で足踏み続ける主人公。
奏自身は臆病な性格で、こちらも関係が変わってしまうのが怖くて、似た者同士でお似合いのカップルなのに、
一向に進まない二人の関係に酷くヤキモキとさせられた。
司のことが好きで好きで好きで堪らない。
子供の頃から想い続けている一途なまでの恋心が眩しくて描かれている為、先輩と付き合っていた期間がどれだけ辛かったか。
また他の√でヒロインと付き合い始める姿を見る度、歯がゆい気持ちを味わわされた。
メールで送られるポエム。
それに隠された秘密(縦読み)に思わず握りこぶし。(奏可愛いぞこんちくしょー)
ラジオでDJ(麻衣子)が応援してくれるのも良い演出だったw
・飛鳥√
恋することで幸せになれるのならば…
嘘が嫌いな彼女が、主人公へとついた嘘。
付き合い始めは、恋ではなく幸せへの憧れだった。
主人公と付き合う日々を送る内に、嘘は本当へと変化する。
好き合う過程が一番丁寧に描かれた話。
母親からの交際反対に真正面から向き合い、お互いの心の内を明かす親娘。
大切な人(母)と好きな人(司)がいれば、不幸な境遇でも幸せになれるんや。
幸せを掴み取った飛鳥は、やっぱり強い娘。
前向きで常に一生懸命な彼女が、主人公に対して励ましの声をかけていたのは、
優しい性格だからだけでなく、他人の不幸が許せないという吐露に人間味を感じた。
「自分のこと好きにならんと、幸せになれへんのやで。」
聞いてて耳の痛い、それでいて説得力のある言葉である。
・蓬√
主人公と同じ、失恋の痛みを抱えた存在。
同じ痛みを知っているからこそ、お互いは良き理解者になれる。
傷の舐め合いとしての交際が長く続くはずもなく。
恋愛とは遠い関係の自分たちに気づいた主人公が別れを切り出す。
蓬が一人、旅に出て立ち直る場面に全く共感を得られなかった為、
この√は好きではない。
題材として、非処女ヒロインを扱う点に不快さは感じなかった。(物珍しさは感じたけどw)
・七美
過去の恋を引き摺る主人公が、先輩そっくりな容姿の彼女に惹かれるのは自明の理。
積極的に餌付けし関係を深めていったわけだが、
突然の別れ(死別)と明かされたその理由に呆然。
病弱なのにサバイバル生活送るのは無茶だろとツッコミ入れそうにはなったけど、そこはそれ。
消える前の蝋燭は理論ってことで無理矢理納得した。
先輩と別れ、七美を失い、生きる意味を見い出せないまま時は経つ。
不幸な主人公は、夜な夜な見る夢(七美)に逃げそうになるが、彼女に気づかされる。
司の周りには、助けてくれる(想ってくれている)人たちが沢山いることをー。
先輩(奈美)との元鞘√があるものと思っていたが、予想を裏切られた。(悪いとは言っていない)
タイトルが複数の意味を含んでいる点は秀逸。
StartRain(始まりの雨)
StartLain(スタートライン)
StarTrain(星の列車)
◆キャラ別感想
・元木 司(もとき つかさ)
主人公。
・藍田 奈美(あいだ なみ)
2つ年上の先輩。
・遠日 奏(えんび かなで)
幼馴染(幼稚園の頃から)。ツンデレ(3:7)。
料理が得意。神社の娘。少女漫画が大好き
・夢原 飛鳥(ゆめはら あすか)
貧乏。片親(母)。
朝は新聞配達。夜はラーメン屋でアルバイト。
珍しき関西弁で、みるボイスが見事にマッチ。
・神崎 蓬(かんざき よもぎ)
非処女。巨乳。成績優秀の優等生。
図書委員長。
・羽田 七美(はた ななみ)
病弱。先輩(奈美)そっくりな容姿。
結局先輩と容姿が似ているのは何故だったのか…。
・白雪 麻衣子(しらゆき まいこ)
おバカでキチ●イだけど、良い友人。
作中、他人の色が見えると述べられていたが、その感情の機微はまさしく。
応援する立ち位置だからこそ輝くキャラ。
◆絵
古臭さは感じるものの、場面毎に合ったイベントCGは、なかなか上手いこと描かれていたかと。
◆エロ
恋愛の行き着く先にエロがある。
初々しいHがほとんどで、学生っぽさがあって良い。
エロさはないけどな。
◆システム
修正パッチを当てないとアイキャッチ(黒板)飛ばせなかったり、
蓬の声だけが調整効かなかったりで不便な為、当てるの推奨。
私はクリアした後に当てたよ(後悔)。
Windows8.1で起動不可。
Vistaで起動可能。