ボリューム少なすぎィ
コンセプトには光るものを感じるが完成度は微妙ないつものコンパちゃん……と言いたいところだが今回は明らかに手抜きして適当に仕上げてるので不愉快だった。
・システム
UIは普通のRPG。カーソル位置記憶の有無を設定できる。
なぜか演出スキップボタンがR2に割り当てられているので慣れるまでは使い辛かった。○ボタンでスキップさせろ。
周回特典あり。2周目以降はほぼすべての要素を引き継ぐ。
・ダンジョン
森、砂漠、洞窟、神殿の4パターン使い回し+地下道。個性はない。
グラフィックはPS2レベル。まあコンパに美麗なポリゴンを期待してる人はいないと思うが……
シンボルエンカウントなので雑魚避けは楽だった。
・戦闘
上層中層下層に区切られたフィールドで戦う独特なシステム。
物理攻撃は敵と同じ階層に移動しないと届かず、魔法攻撃はすべての階層から攻撃できます。はい、魔法1択ゲーです。あと、永続バフとデバフがクソ強い。
いやまあ、物理も特化すればそれなりに強いんですよ? でもキャラ毎に使用できる物理属性が固定されてるので弱点突きにくいんですよ。6人しかキャラいないのにどうして斬打貫射の4属性も作ったんですか?
もう1つ特徴的なのが捕食システム。
このゲームでは捕食スキルで敵を攻撃すると一定確率で相手を即死させ、その敵が持つ因子核というアイテムを取得することができます。
この因子核から新しいスキルを習得して味方を強化していくのがこのゲームの基本的な進め方になります。
捕食成功率は敵の残りHPと弱点を攻撃した回数で増減するので、魔法で弱点突いたらさっさと捕食で即死させていくのが1番楽です。というか後半の敵は固すぎて捕食メインにしないとやってられん。
全員が同じスキルを覚えるのでキャラ毎の役割というのはあんまり感じられませんでしたね。装備も武器以外は使い回しできるので、素ステが多少違う程度。
ただ、この捕食システムには大きな欠点があって、捕食した本人以外は因子核を取得できないんです。つまり全員が別々に捕食していく必要がある。クッソめんどい……
・狂化ゲージと妹の竜化
狂化ゲージはエンディングの分岐に関係するゲージです。これが高いとバッドエンド。パーティの全滅や選択肢によって増加します。
妹というのは拠点にいるサブキャラたちのことなんですが、この子たちは戦闘回数やダンジョンでの移動距離に応じて精神状態が悪化していき、最終的には狂って失踪してしまいます。
失踪を防ぐためには小まめに拠点に戻って、竜の肉を与えることで精神状態を改善させないといけません。
ですが、竜の肉を与えると今度は妹たちの「竜化ゲージ」が上昇していき、ゲージがMAXになると妹は竜になってしまいます。
竜化ゲージは減少させることができないので、妹を生存させるためにはできるだけ竜の肉を与えない=精神状態をできるだけ悪化させない=総探索時間を極力削ったゲーム進行が要求されます。
特に中盤以降のダンジョンは凄まじく広大でボスまでの道のりが長く、ショートカットは最深部のみとかいう嫌がらせ仕様なので、くまなく探索しているとほぼ確実に妹が失踪します。かといって途中で引き返せばまた入り口からやり直しになり、結果的に妹の竜化が促進される。この辺のスリルはそれなりに面白いと思いました。
・シナリオ
ゴミです。
とはいえ文章が取り立てて酷いというわけではないので、3章ぐらいまでなら「これからどうなるんだ?」ってワクワクできると思います。
中盤あたりから「あれ?」ってなってきます。
とにかくボリュームが薄すぎる。サクサク進むなんてもんじゃない。絶望的なまでにテキストの量が足りてない。
序盤で顔見せしていた数多くの敵キャラは主人公とほとんど絡むことも戦うこともなく知らぬ間にフェードアウトしていきます。内面描写も薄すぎて何がしたかったのかよくわからなかった。
ぶっちゃけルビーアイ以外全員いなかったことにしてもプレイヤーは気付かないと思う。1番シナリオに絡むルビーアイも動機つけが取って付けた感ありありでご都合主義だしうーんって感じ。
奉皇庁だのエビルレイヴンだの設定だけは立派だけどその設定をうまく活用できているとは言い難い。そもそもどの要素もほとんど話に絡まないので……
それと、シャルロッタに「実はこうだったのよ」って語らせるだけで伏線消化するのやめろ。へーそうなんだで終わっちまうじゃねえか。
結末も正直微妙。世界を形作る悲劇のシステムに抗う物語だと思ってたのに、とりあえずの延命策をして終わりってどうよ?
そりゃこの先数千年は大丈夫だろうけど、それって根本的な解決になってませんよね?
じゃあキャラゲー・ギャルゲー的にはどうなんだというと、それもあまり褒められたレベルではないです。これまでのコンパ作品と比べても手抜きが酷い。
ヒロインは5人で各キャラのイベントは7つ。分量的に不満はありませんが、各キャラのCGが1枚だけで個別エンドにCGもついてないって駄目すぎる。
一応トゥルー・ノーマル・バッドの3ルートがあるものの、どれもラストダンジョンで分岐するだけ(一応バッドルートだと合間合間にイベントが追加される)なので何周もする意味は薄いです。
後半の尻すぼみっぷりや在庫処分みたいなサブキャラの扱い等、未完成のものをとりあえずの形にして出したような印象を受けました。
これ買うぐらいなら同じコンパ製でもアガレスト買った方がいいです。アガレストは戦闘が死ぬほど面倒でテンポ最悪ですが、テキスト量もCG枚数もこのゲームの数倍ありますし、何よりシナリオが尻切れトンボではありませんから。