良くも悪くも徹底しておとぎばなし
主人公が記憶喪失で多くの謎がある状態から始まるという、ある種ありきたりな設定ながら、物語の舞台である施設の歪さが序盤からうまいこと提示されていて、とにかく先が気になった作品だった。
絵やBGMも題材と非常に相性がよく、世界観の構築は素晴らしかったと思う。
一方で。荊や主人公の部屋の謎のモニターなどのファンタジー要素が、あれは夢の世界の出来事だったで解決されたのに対して、ラストの施設からの脱出で、完全にファンタジー展開になった時は少し首をかしげてしまったけど……
実際、全くそれまでファンタジー要素なんて出てくる気配もなかった作品が、終盤に何の脈絡もなくファンタジー要素が出てきてそれで話が解決してしまったら多分ブチぎれる。
けれどこの作品は、それまでが散々おとぎばなしだったのだから、こんな解決方法もまあアリか?となったのもまた事実。つまりはそれほど世界観が秀逸だったのかな、とも思う。
自分が思う物語のイメージとかけ離れていなかったので、さほど気にならなかったのが個人的に高評価の理由。
ただ個別√は正直あんまりすっきりしない感じで終わるものが多かったように思うし(そこがよくもあるのだけど)、施設の設定もいろいろ無理があったようにも思う。
特にイケノ。お前施設の裏側何も知らなったはさすがに無理があるだろ!
もちろん夢の世界、あったかもしれない世界で起きたことを知るのは当然無理だろうけど。
あれだけ患者のことを考えることが出来る「いい人」が、施設の職員の杜撰な後始末にも全く気付かなかったというのは無能にもほどがあるし、そんなチグハグな印象を受けてイケノだけは好きになれなった。
FDであるアンコールをプレイすれば感想も変わるだろうか?不安だ。
あとシステム周りは結構不満で、特にバックログが使い辛かったな。
あとあとラプンツェル√だけ文体違い過ぎて違和感半端なかったです。