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ipotさんのあの、素晴らしい をもう一度の長文感想

ユーザー
ipot
ゲーム
あの、素晴らしい をもう一度
ブランド
自転車創業
得点
95
参照数
504

一言コメント

知らないこと、それはとても幸せなこと。目を背けないこと、それはとても難しいこと。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

#再プレイして点数UPしました。
間違いは無かったことにできて、都合の悪いことは忘れられて、行く手には望んだ結末が待っている。
誰もがそういう世界を提示されたら嬉々として受け入れると思います。
この物語の主人公は、自分からそういう世界を作り上げてしまいます。

幾度にも渡る繰り返しの中で、彼は可逆であるという
とてつもなく不自然な世界の齟齬に気づきやがて真実を知ります。
自分がこの世界を作り上げたこと、それは大きな過ちであったことを。
「人は間違ったらやり直すべきだ、だが繰り返すべきじゃない」

主人公は真実に目を背けず、自ら世界を壊します。
それはおそらく愛するリトのためではなく、
ただ自分自身が納得したいため、過ちを自分自身で償いたいため。

最後に主人公は何も知らないリトの仮初の笑顔では無く、
何もかも受け入れてくれたリトの悲しい笑顔を見て息を引き取ります。

自分のしでかした過ちを正すために勝手に死んでいった主人公に
何故ここまで心を打たれるかというとやはり彼が目を背けなかった、その一点に尽きるでしょう。
以下雑感というか読み取れなかったところ。

主人公がANOS(のかけら)を手に入れることができたのは
心のどこかで過ちだと気づいていたが故のイレギュラーなのでしょうか?
ANOSがあると世界の真実に気づいてしまう可能性が出てくるので、
世界をおおまかに支配している欲望がそういう事を許すとは考えにくいのですが
しかしリトとの旅をハッピーエンドに終わらせるためにはANOSはほとんど必須ですよね…。
という事はライとリトの旅がずっと続くことがフスルトにとって理想的だったのかな?

後、OP曲のあの、素晴らしい をもう一度は何度も聞いてると名曲に聞こえてくるから不思議です。
最初はどう聞いても電波っぽく聞こえてしまったものですが。