厨二病の諸君、泣いて喜べ
ニトロプラスの周年記念作品。エログロハードボイルド。これぞニトロ。
18禁の媒体にふさわしい内容。
ヒーローものの通例として、ヒーローは敵を殺さない。いくらフィクションとはいえ、それが世に出る作品である以上、著しく背徳的な内容は描けない。それが不特定多数の目に触れることを考えれば、当然のこと。けれど、そのセオリーを正面から打ち破るのが装甲悪鬼村正なのだ。
ヒーローがヒーローたり得るために殺人をよしとする。相手を殺す。そこに躊躇いは微塵もない。ここで終わればただのスプラッターなのだけど、村正はそんなチープな作品では断じてない。主人公が相手の命を奪うということに対してきちんと責任を背負っている。そこに村正の神髄がある。
「これは英雄の物語ではない」
宣伝惹句の一文こそが、この作品のすべてを象徴している。
戦闘シーンでの口上がカッコ良すぎてヤバい。UBWに負けず劣らず厨二病してるけど、そこが良い。カッコいい。
奈良原作品ということで地の文は一般文芸なみに硬派。高村薫レベルで硬い。渋い。カッコいい。
刀剣への愛情が深すぎて戦闘シーンの描写が、めちゃくちゃ解像度高い。
ギャグのシーンは、くすっと小さく笑える程度。でも、それでいい。