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in-kinterさんの装甲悪鬼村正の長文感想

ユーザー
in-kinter
ゲーム
装甲悪鬼村正
ブランド
NitroPlus
得点
66
参照数
886

一言コメント

どうも過多な説明とひねくれた言い回しで核心を暈かしている気が……遂にこの作品の本質を捉えきれなかった……

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

序~中盤にかけては、「ラストは統とか光とか父親とか家族関係辺りの話が肝になってくるのかなぁ」とか思ってましたがぜんぜん違いましたね。ラストに持ってきたのは結局始めからぐだぐだと結論を先延ばしにしてきた善悪相殺。
中途半端な場面で中途半端に統をストーリーに絡めた所為で、争いは争いを生む的な統の理念が一時行方不明になってしまってました。孤児光の「わをもってとーとしとす」が統の理念と同一のものってことなんでしょう(ラスト統のすの字も出てこなかったんで断定は出来ませんが)、しかし統の理念復活が唐突すぎる気がして少し違和感が残る。ストーリー途中にも統は出てきてましたが、「景明の殺した母」と「光の憎む母」の2つの面ばかりが押されてて、上記の理念とは結びついてきませんでした。

これに限らず、キャラ出しては中途半端に使い捨てるってのが多かった気がします。要するに勿体無い。雷蝶・柳生常闇斎・ウォルフ教授ら辺はもっとラストルートに絡めて欲しかった(特に雷蝶、とてもキャラとして魅力的でしたし、もっと活躍できたでしょうに)。

独特を通り越して異質な雰囲気を醸し出しているテキストも嫌いではないのですが、戦闘シーンにおいては若干説明過多な気も。これは一から十まで説明しないと気がすまないライターの性格も影響してるのでしょうか。

大作という言葉にふさわしい作品ですが(超をつけてもいいくらい)、名作と呼べるかは、果たして、って感じ。