(なんで…わたし、こんなことさせられて…お礼まで…言わされてるんだろう…)
それなりに露出ゲーをプレイしながら、4Hさんという露出特化サークルと初遭遇なのは、不勉強の至り。
勉学が一生のものであるように、エロスの探求もまた一生のものであるべきなのだろう。
露出というジャンルも改めて見ると、いくつかの区分が存在する。
一つは、視点の主体。男主人公が介在するのか、女主人公が見られるのか
一つは、自発的な露出/強制された露出
一つは、観衆の有無。更には露出行為が認識されているか否か(例えば壁や服で隠蔽された行為)
一つは、露出行為に羞恥心/性的興奮を感じているか否か(露出者/観衆それぞれに)
一つは、行為自体のリアルさ(露出というシチュエーションはえてして非現実的になり得る)
本作を上記の区分に当てはめると
視点:男主人公 露出:強制(同意あり) 観衆:男性審査員中心 羞恥心:弱い(主人公)・非常に強い(ヒロイン)
性的興奮:強い(主人公)・なし?(ヒロイン・観衆) リアルさ:現実的かつ非現実的(本番なし)
となる。
ここで目を引くのは、強制露出でありながら同意があり、ヒロイン観衆ともに性的興奮が見えにくい事である。
「優良健康生徒審査会」の名の下に、現実的かつ非現実的な光景が繰り広げられるのだ。
そして、その恥ずかしい姿を、悪ガキと副委員長という腐れ縁な間柄に見られて、見てしまう。
一日前には想像だにしなかった展開、それは思春期真っ只中の彼らにとって、あまりにも衝撃的すぎた。
多田君と芹沢さん、二人の関係はこんな感じだった。
「へーい、パス!パス!」「…男子、いい加減になさい!服をボールにするのはやめなさい!」「うっせー!」
「俺は風邪を引かないのが自慢だからな!」「そうね、多田君らしいわ、ふふ」「おう!…って何で笑ってんだ?」
そんな強気な彼女が、上半身裸で、手で胸を隠しながら、顔を真っ赤にして、「……バカ!多田君のドスケベ!」と言う。
俺は芹沢さんに手ブラでバカを言われた!俺は芹沢さんに手ブラでバカを言われたぞ!!!
おっと、ついわしも少年時代に戻ってしまったわい。
しかし、この「女子と一緒に身体検査」という、健全な男子なら一度は夢想する世界が、目の前におっぱいがいっぱい!
そう、おっぱいは一人だけでなく、縁あってお嬢様女学校の二人とも一緒に審査を受ける事となる。
一人は、おっとり巨乳の柳瀬さん。もう一人は、奥手なちっぱい日焼け娘の清水さんだ。
柳瀬さんは平均的なお嬢様っぽいが、清水さんの外見と中身のギャップが、不憫さと相まっていい・・・
何も知らぬ彼らを待ち受ける審査は
シャトルラン、触診、身体測定、集団面接、検尿、検便、写真撮影、と文字通りに審査らしい審査。
しかしその実態は、最初は男女別ながら上半身裸で下半身ブルマ、途中から下着のみ、男性医師に乳首まで揉まれ放題、
男女ペアでの胸囲測定、全裸状態で二次性徴どころか自慰経験まで聞かれる集団面接、PRタイムで更なる羞恥、
男性審査員の前で検尿検便、最後はM字開脚でオマンコくぱぁ撮影、といかがわしい事この上ない。
だが、これはあくまで国の定めた名誉ある催しであり、地区代表といえども学校の強い後押しがある。
そして、目の前の審査員はあくまで冷厳な視線を崩さず、羞恥心ゆえに躊躇すると即減点の警告が与えられる。
そんな理不尽に耐える中、彼女がふと漏らした本音、冒頭の一言こそが本作を象徴するものに思えてならない。
だがしかし、本作は女性視点の救いなき物語ではない。
悪ガキでエロガキな多田君、彼の持ち前の明るさが、この強い重圧の異空間に風穴を開けている。
「また会えたな、おっぱい」「バカ!ドスケベ!」
「「「多田君、さっきはよくもどうもありがとう。たっぷりお礼をするわ、うふふ…」」」「ま、待て!」ズブゥ!「アッー!」
「ここで言わなかったら俺は一生後悔する!一生のお願いだ!おっぱい揉ませてください!」「「……はい?」」
「…お願い、今日の事は皆には言わないで…」「分かった、絶対言わない。俺の中だけで反芻するぜ!」「このドスケベ!」
ああ、バカとかエッチとかドスケベとか言われるたびに、不思議と心が軽くなっていく。
こんな悪ガキが、昭和にはまだいたんじゃのぅ、懐かしいのぅ。
多田君は、彼女たちの羞恥がどれほどかと思いやり、しかし思春期らしく横目でついつい必死に見てしまう。
いつもは強気な芹沢さんが見せる、弱気な女の子らしい姿に、驚きと興奮と同情を、素直に感じて勃起する。
最後の最後、男の子と女の子は、男女として互いを意識して、一度だけ性的な関わりを持つ。
その行為は、セックス中心の世界から見ればささやかだろうが、あの頃の私たちにとっては世界を変える出来事だった。
審査員たちが、本心から真面目に審査していたのかは分からない。
その後、彼らが全国大会に選出されたかも分からない。
ただ、この普遍と異端が交差するボーイミーツガールが、遠い思春期の気持ちを蘇らせたのは確かなのだった。