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imotaさんの白黒催眠の長文感想

ユーザー
imota
ゲーム
白黒催眠
ブランド
エロトランス
得点
70
参照数
2101

一言コメント

ライターが固定化されつつあるMCエロゲ界にHere Comes A New Challenger! デビュー作故に色々言いたい事もあるが、とりあえずお姉ちゃんルートはエロくてよろしゅう御座いました。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

今更ではあるが、抜きゲにおいてシナリオというのは大切である。
絵だけで抜くならCG集でも良く、文章でキャラへの感情移入を増幅させ、興奮を引き立ててこそのエロゲなのだ。

しかし随分とライターの裾野の広がった寝取られ界隈に比べ、催眠界隈はタコやイカ以外の海洋生物が見当たらぬ。
これほど二次元ドリームなジャンルもないというのに、世に言う大催眠時代は来る気配がない。
だから、我慢できずに催眠オナニーへと浮気した俺を、誰が責められようか。


催眠オナニーとは、音声作品の一ジャンルである。
術者からの一方的な指示故に不完全な催眠ではあるが、被験者の協力でドライオーガズムにすら達する事も可能だという。

まあぶっちゃけ自分で自分を上手く騙すんですな。
自分はまだ修行中の身なので身体が勝手にビクンビクンしちゃう程度だが、時折せり上がる快楽の片鱗は見えそうな感じだ。
っと自分語りはやめよう。

このジャンルも玉石混交ではあるが、真面目に催眠術を勉強した方が多く、その実践に日夜励んでおる。
本作で催眠エロゲデビューを果たした、エロトランスのサイミー氏もそのひとりだ。
同じ催眠でもジャンルの壁はあるので私も様子見してたのだが、この前ついパケ版を見つけてか、身体が勝手に…ふぅ


という訳で本作のレビューだ。

催眠も露出などと同じようにリアル系かスーパー系に別れるが、本作は催眠実験の流れを受け継ぐ前者の立場だ。
そして『M.C. -trois-』『ミナミからの手紙』のように、純愛と凌辱にルートが分岐する。

その志は素晴らしいのだが、やはり一番の不満はボリュームの少なさだ。
CG枚数は値段相応だが、エロ突入後のシナリオが短い。1500円で相応のCG枚数にすれば納得ってくらいの長さ。
音声催眠と比較して、エロゲに求められるテキスト量はとても多いのだ。

あとこれは個人の好みだが、背景に匿名掲示板な内輪ネタが見えるのは好きじゃない。
あの類は、外部に出すと寒いネタになりがちなのだ。出すならば隠し味でニヤリとさせる程度の方が良いかと。

ついてにネガ評価を先に出しちゃうと、キャラ造形も大人しかったかな。
行き遅れ保険医さんは良かったが、彼女がいないとボケとツッコミな会話の潤滑油が足りなくなってしまう。
個人的には萌え萌えしないのは好ましいがやはり平坦で、抜きゲの短い描写で感情移入まで導くのは難しいと思う。
心理学を利用してクラス内の苦境を変化させるのは面白かったけどね。

厳しい言い方をしてしまったが、序盤でヒロインへの感情移入をさせないと折角の白催眠ルートも生きないだろう。
両親からの一方的な愛情を嫌悪して生きる気力を失った幼馴染、自らを催眠で嫌悪させる事で前へと進ませようとする主人公。
死んだ父親との記憶を失い憎悪してトラウマに苛まれる実姉、彼女に精神退行催眠する事で回復を促す主人公。

白催眠ルートは本当にエロなしで、最後に一発キメるんだろゲヘヘという私の下心も漂白されてしまったよ。
まあ黒催眠ルートでエロエロしてくれりゃいいや、と思いきや幼馴染4・姉3シーンで終わってしまった。

幼馴染へは、性的な仕込みで立ち絵のみからもう少し段階を踏まえている。俺は慎重な男だからな。
ただ両思いでほぼ付き合っている状態から、催眠で操り裏切る背徳感ならば、それに特化した『和姦催眠』に軍配が上がる。


ここまでの文章を読んで「何でこれが70点なんだよ」とお思いかもしれない。
それはひとえに姉・黒催眠ルートがツボだったからだ。

興味本位で姉に催眠を掛けて、いつくか質問をしてるうちに「姉に恋人がいた」事実を初めてしってしまう。
しかも、催眠で誤認状態の姉は「真治、会いたかったよぅ…」と弟には見せない顔で甘えて抱きついてくる。

そう、これだよ!身内の秘密を覗く背徳感、性的な目で見るようになってしまう瞬間!

この場で欲望に任せるのは後々危険だと踏みとどまる俺。俺は慎重な男だ。
姉に催眠される事の快楽を植えつけて、次への布石とし、暗示を繰り返す事でより深く、深く催眠状態へともっていく。
いくらブラコンとはいえ、姉さんは自分に欲情している訳ではないのだから。

そうして、姉が16歳で真治さんに処女を捧げた事、経験人数、オナニー頻度といった秘密をどんどん暴いていく。

そうして仕込みを済ませ、「弟」の僕は「お出かけ」して「真治」な僕として家を訪ねる。
久しぶりの再会に姉は勢いよく抱きつき、おもむろにキスを、長い長いキスをしてくる。もちろん今は甘えた口調だ。
そして催眠でキス=発情とし、楽しむ俺。今回は時間がないので軽い手コキでフィニッシュだ。

次は姉をお人形さんにしてオナニー鑑賞だ。
ご主人様である俺に頭を撫でられるのは気持ちいい、そうでしょう? ほら、感度も速度も倍になる。そうそうそう!
そして寸止め状態にした上で、ご主人様を見えないように誤認させる。独りになりもう我慢できないと激しくオナニーする姉。
ふぅ…

ここまで俺も我慢したが、ようやく最後までいくぜ。しかも真治になってデートだぜ。
俺は慎重な男だから時間停止の催眠を繰り返して徐々にコトを進めるぜ。口を性感帯にして指とちんこでメロメロにするぜ。
そうして、ついに姉さんを相手に童貞喪失をする。感度上昇で絡みつく膣内、失神するまでに喘ぐ姉。

こちらも短い事は短いのだが、密度があって、近親相姦・催眠・寝取られの合併症持ちの下衆野郎には最高だった。


正直なところ、デビュー作から欲張らずに姉一本に絞れば、良作へと化けたと思う。
姉を大学生でなく同じ学園生にすれば、日常イベントにも対応できただろう。
というか、会話のバリエーションを考えると、現状でもその方が良かったかもしれない。いや大学生は好きなんですけどね。

色々言いたい放題だけど、折角のニューチャレンジャーだからまたエロゲを作ってほしい。
割に合わないと辞めるのを見るのは僕がいやなんだ。だから催眠好きなユーザーさんも協力しておくれよ。