ErogameScape -エロゲー批評空間-

imotaさんの君がいた図書室の長文感想

ユーザー
imota
ゲーム
君がいた図書室
ブランド
ディーゼルマイン
得点
70
参照数
2774

一言コメント

世の中には二種類の人間がいる。眼鏡っ娘が取られる事に絶望する人間と、メガネが取られる事に絶望する人間だ。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

やあ、僕はimota。小学生の頃からレンズ越しの人生な、生粋の眼鏡男子さ。
もはや眼鏡は顔の一部、シンイチとミギー、いやガユス君みたいに肉体は単なる眼鏡置き台かもしれない。

そしてスタンド使い同士のように、眼鏡な僕がメガネな作品に惹かれるのは自然な事さ。
このコンビの作品は手堅さが売りだと思ってたけど、今では絶滅危惧種な眼鏡っ娘をヒロイン抜擢するなんて、随分とダイの大冒険だ。
きっと寝取られと眼鏡っ娘という相反するマイナー属性を組み合わせる事で、メドローアな威力を狙ったに違いない。

ヒロインは、他人の関係から始まるためか口調がそっけなく、こちらがヒャド系担当かと思いきや、内心テンパりまくり。
(何話したかよく覚えてない…)(どうしよう…きっと本好きの変な子だって思われた…)(でもこんなに分かってくれるの、きっと先輩しかいない)
と内向的な人間らしい臆病さと、妙な積極性を自己主張の控えめな胸に秘め、本当は待つタイプなのに健気に頑張ってくれます。

しかし、主人公は一週目の我々同様に彼女の内心を知る事は出来ないので、これまた色恋に縁のない人間らしく右往左往しまくり。
静かな図書室で最初の声かけ、同じ本好きでもSFとミステリーという畑違い、一緒に本探し、古本巡り、モテない男の夢バレンタイン。
気は良いのに気の利いた事が言えず、盛り上がるべき絶好球なイベントでも凡打、その等身大なヘタレぶりには何か親しみが。

「こ、この古本屋は…!先輩、今日はアタリの日かもしれません!あの幻の初版が、あの貴重な初期作品が、あの(ry」
「せ、先輩、これ私の気持ちです…!」「(義理でも)初チョコありがとう!」「司書の先生からもらって嬉しそうでしたね」「い、いやあのその」
「…すいません、大きくなくて」「きれいでいいと思うよ」「…胸が小さい事は否定しないんですね」「……」
「私、本当は待つタイプなのに、どうしていつも私からなんですか!ホワイトデーは精子を三倍返しいただきます!(騎上位でヌップヌップ)」

こういうやりとりを見てるとニヤニヤが止まらない俺きめぇ。
ここはバシっと決めろよ!と言うは易しだが、実際に卒業間際で知り合った可愛い眼鏡っ娘に適応しろ!と行うは難しではないだろうか。
正直、差異の少ないNTRルート×3よりも、このままバカップル誕生まで1ルート割いた方が、良かった気もします。


NTRルートは、図書室通いを続けつつヒロインを守るor気付かず奪われるルート。
図書室通いは続けるがヒロインとは会わず、イケメン後輩とヒロインに似た誰かの情事を覗き続けるルート。
まったく図書室とヒロインに縁がなくなり、卒業直前に寝取られ暴露な復讐をされるルート。

最後のルートは他に組み入れるか、単純に即BADENDにして、純愛ルートを充実する事で、よりメリハリがついた気もします。
もしくは残るNTRルート×2の充実を図り、ヒロインの尻軽ぶりを軽減する事もできた気がします。

いや、このヒロインが特別尻軽という訳ではないが、元が真面目な眼鏡っ娘だけに、より堕ちる説得力が求められるのかと。
まあ元々が恋に恋している風でもあったので、優柔不断な学外受験先輩より、優しそうなイケメン後輩に靡くのは分かります。
だが「俺、メガネかけた子、好きじゃないんです」などとのたまうイケメン、てめーは駄目だ。

アトリエさくらの時はたかぴこ原画復帰に我を忘れていたが、堕ちていく象徴が非眼鏡化っていうのはどういう訳だ、クソッ!
いつのまにか彼女は…な展開におっきしたおにんにんが、いつのまにか眼鏡は…な誰だお前状態じゃ、抜けるもんも抜けないんだよ!
主人公、お前もいつまでヘタレて覗いてるんだ!うちゅうのほうそくをみだすイケメンなぞさっさとぶん殴って眼鏡再装着させろや!

いや、主人公は寝取られ的には頑張ってたか。いつかのでは途中逃げるヘタレだったが、今作は顔が見えない分ギリギリ踏みとどまってるし。
ヒロインも眼鏡取られないように頑張ったりもしてたが、できれば全シーンで眼鏡ON/OFF選択有りくらいにはしてほしかったですね。
折角の地味ヒロイン抜擢なら、そのまま突き通してほしかった。まあイケメンを敵として認識できたのは寝取られ的にはありがたいですが。

イケメンは、狼だが本編中は見事に羊を被り続けたので、本番まで紳士的にちゃんと段階を踏んでくれます。
ただ、ルートごとの差異やインパクトがあっても良かったかも。具体的には「アナル処女もらうよ」と指で弄った後の描写とか描写とか。
というか何であのシーンが裸眼で後略なのか、わけがわからないよ。おかげで手コキで眼鏡にぶっかけが一番抜ける事態に。


色々とネガティヴな事を書いたけど、前半の初々しいやりとりで眼鏡っ娘に萌えたので、前作までよりもお世話になりました。
選択肢での逃げ道が少ないカップル寝取られも良いけど、こうした微妙な距離感、危険と隣り合わせな状態というのも乙でござるよ。
この作品も評価が分かれそうな感じなので、他の方の感想を楽しみにしつつ、月末戦線へ行ってきます。