この異質で雰囲気あるエロは特筆すべきものだと思います
燃え?そんなの興味ないと眼鏡を光らせたら、暗黒微笑なナレットさんが近づいてきてキザクラさんに足を踏まれた…
ちょーしにのってくそれびゅーかいてまじすいませんごめんなさい。
だって仕方ないじゃないか。おちんちん以外は非力な僕がこの批評空間で生き残るには、この術しかなかったんだ。
「嘘ね。貴方おちんちんも非力よね」とナレットさんに言われた。
彼女には嘘は通じず、秘蔵のお宝本もすぐ見つかってしまう。LOの所在がまだバレてないのは幸いだけど。
そして見つけられたお宝本の代わりに、ナレットさん直筆のエッチな日記が置いてあった。
それは、月明かりの下、静寂に包まれた豪華な屋敷に二人だけの吐息が聞こえ、深く理解し合った同士の言葉少ない週末の情事。
肉感的なナレットの肢体が晒され、大胆な構図と逐一変化し続ける表情とカメラワークによって、一層魅惑的になる彼女。
その行為はSMプレイも含んでおり、恋人同士というにはやや変質的だが、迷いなく没頭する姿には深い絆が見える。
SMやアナルというものは、身体よりむしろ精神的な比重が大きく、読み手の中のイデア、心象が喚起されれば充足感を得られるもの。
直接描写を避けて豊かな想像に委ねたこの情事は、一部引用したドビュッシーの音楽と、何処か相似めいたものを感じるのだ。
…H効果音が触手っぽくて鞭打ちっぽくて異様に激しいのには、まあ耳を瞑ろう。
前作までと異なり和姦中心らしい本作だが、1シーンだけ他の男に抱かれるナレット。
それを他のレビュアーさんから聞いて、ノーマークだったのに馳せ参じた下衆野郎にとって、それは不思議な体験だった。
雇い主に呼ばれた先で見せられる、目隠しされて乱れるナレットの姿。
しかし主人公スティラは顔色ひとつ変えず、行為に疲れて眠る彼女を、いつも望まれるように優しく撫で続ける。
途中目覚めてもスティラと気付かぬまま、その優しさに甘え、愛の言葉を求めるナレット。それに答えるスティラ。
存在が貶められようと、大切なものは決して失わない。しかし一番求めるものは得られない。何なのだろう、この光景は。
スティラ視点で書いた嘘じゃない方の日記を読まなくても、物語を終える事はできる。ナレットは不機嫌になるだろうけど。
だが心身とも繋がろうと望む二人の情事を見なければ、もし楽しい日常描写が増えたとしても、二人の未来を今ほど気にはしなかっただろう。
まあエロ以外でも、虐襲3のギャリコを彷彿させる絵本風SDには、少しズルい気もするけどまったくかなわんなぁ。
その二人の未来を阻む最大の障壁は、南の皇国から貴族の護衛としてやってきた眼鏡騎士と和風刀娘。
眼鏡を光らせすぎる男やもめな朴念仁、散歩に食事にマイペースな割りにナレットの暗黒厨二病に律儀に付き合う刀の化身。
彼等との平和な交流は正直食い足りなかったが、話が大きく動いて戦いが始まると、俄然密度の濃い交流となる。
というか終盤は彼等の視点を中心に話が進み、冒頭から散りばめられた謎のピースがどんどん噛み合ってくる。
このダブル主人公&ヒロインな構成に中途半端さを感じた方もいたようだが、私個人としては特別気にならなかった。
理由の一つは、今までの描写でスティラとナレットの絆の深さに納得していた事。
一つは、暗殺者という闇に紛れて戦うスタイルを効果的に見せるには、感知し得ない敵として現れる方が良いと思った事。
一つは、ナレット達の側に求めるべき秘密があり、視点変更がなければ冗長さか鈍感さのいずれかを感じただろう事。
そういう訳で、空気読めない発言でキザクラさんに足を踏まれる、我々の業界ではご褒美な日々を素直に楽しみました。
いや二人にエロがないのは不満が残るところだが、まだそれ以前の問題な気もするから、まあそれは良しとしよう。
そして、最後の戦闘後のシーン見て思った。ベタでも、強敵と書いて友と呼ぶ関係いいよね…
エピローグで気になった事。多分かなりネタバレです。
戦闘中にスティラを支援しようとナレットが覚醒。彼の本心を読めるようになった。つまり魔女の呪いは解けたという解釈でいいのかな。
予定通りナレットの馬車で脱出したという事は、あの足と傷でご都合主義かもしれんが、多分予定通り解毒剤も手に入れた。
ナレットの嘘の日記があれほど章数に達したという事は、白教会の追っ手を退けて「ただいま」「おかえり」という安寧を手に入れた。
つまりはハッピーエンドだ!
あれだけ手を汚した人間が幸せになる事への是非はあるが、決して自ら望んだ行為ではなかった。故に騎士殿達も脱出に手を貸したのだ。
もしバッドエンドなら、「これからずっと一緒だよ」というスティラの台詞は嘘で、解毒できずに倒れ、最後の安寧は孤独なナレットの妄想…。
いや、いやいや。ここまで力技で綺麗にまとめた作者が、そんな鬼畜な所業をしないと信じたいです。
サブキャラや小ネタについて語ると、切りがないのでこの辺りで。
同人らしく一般的なエロゲの文法から離れて好きにやってますが、エロにもストーリーにも演出を凝らした良作だと思います。
世界観に繋がりのある以前の作品をプレイした方には不満もあるようですが、私的には単体で見て問題ないかと。
ああ、いつか評判の良いヴィザルの日記をプレイするのが楽しみだ。改めて雨傘日傘事務所を紹介してくれた方に感謝を。
最後にナレットらしい厨二病全開な各エロシーン名だけ書いておきます。
オナニー鑑賞、四つん這いディープスロート、お散歩プレイ、アナル射精瞬間、は特にエロかったよ!
①楽園を模したる庭園に美しき堕天使の羞恥と歩む
②淫猥と怠惰・天上の愉悦を綴る闇色堕天使が日誌
③伝説の給仕衣装・堕ちたる楽園に天子羽を織る
④白金の闇色堕天使が淫唇は被虐の白に溶けて
⑤囚われの堕天使が奏でたる羽音の儚くも美しき
⑥静寂の氷回廊に闇色堕天使が肌の白を繋ぎたる
⑦堕天の証を刻む銀環の白羽天使が美麗に清めん
⑧淫獄の宴に美しき囚姫の聖なるを捧ぐ:華散編