惜しいゲーム
主軸が実妹を探すことにあるので実妹以外のルートをどうやって描写していくかがこのゲームの肝だった。
攻略順に感想を記載。
あやかルートでは関係性がクラスメイトだったので一番どう収めるかが難しかったと思う。最後で主人公があやかの家族に対する思いに嫉妬してる時点でこのルートのbadエンド感が否めない。エンディングが流れ始めた時にえ?これで終わり?と思ってしまった。血が繋がっていなくても家族は家族、ということで作り手が表現したいことはできているのかもしれない。実妹探しもルート内では完結せず腑に落ちない終わり方となった。
千毬ルートでは最後のほうで千毬の家族が見つかり、主人公との関係性も今後家族になっていくことが示唆され新しい関係性を築いていくという形で終わった。このルートも作り手が表現したいことができていると感じた。実妹に関することは特に解決してはいないが個人的にはきれいにまとまっていると思う。
美幸ルートでは実妹ということもあり内容もほかのルートよりは充実していた。親善大使コンテストでの告白や美幸が実妹だとわかってからの葛藤、タイムカプセルの手紙など山場となるシーンが盛り込まれてて読んでて楽しかった。個人的に命題だと感じている妹と恋人の線引きも少し描かれていて満足のいく内容だった。ただこのルートで真幸の事も織り込んでしまえばもっといいシナリオになったのではないかと感じる。真幸ルートでは場面の移り変わりが適当だった。主人公がミータと真幸の両方に好意を抱いてどちらとも行為をしたくせにうだうだ悩んでいる描写がとても不快だった。ほかにも理解できない主人公の言動や行動など一番最後に出るルートだから一番力を入れなければならないのに不可解なことが多く、ヒロインが二人いるということも相まって一番だめなルートだと感じた。アフターストーリーでも特にこのルートで起こった出来事に対して詳しく言及することもなく全体を通してよく分からない出来となっている。ミータを真幸が操っていることにすればもう少し話がまとまったのかもしれない。そうしなかったことにより腑に落ちない部分が多くなったと感じる。最終的には真幸は快復、ミータも無事ということで一応ハッピーエンドの体は成しているが途中で起こった出来事に対してもあまり詳しく描写されていないため消化不良。作り手が何を表現したいのかこのルートだけ唯一理解できなかった。
絆、家族等感動できる要素があるため、主人公の性格を直してルート毎にシナリオを練り直したら確実にいい作品になっていた。フルプライスで売っていたので、少し話の辻褄は合わなくなるかもしれないがミータと真幸のルートを分けていてもよかった。美幸ルートの出来が良かったので85点。