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ikebukurooさんの天ノ少女《PREMIUM EDITION》の長文感想

ユーザー
ikebukuroo
ゲーム
天ノ少女《PREMIUM EDITION》
ブランド
Innocent Grey
得点
100
参照数
245

一言コメント

神。1番好き。エロゲー史上最高傑作です。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

───「やぁ、探偵さん。
捜して欲しいんだ──私を。
本当の、ね。」

『殻ノ少女』シリーズ3作目。連作の最後、最高傑作。
冬子の死後強まる念によって依然としてパラノイアを抱えたままの主人公。
様々な原因、因子を断つことによって現実に折り合いを付ける。
段々とパラノイアと向き合い、前を向いて生きていく。
残された者のやるべき事。悲しみを抱えながら生きていくしかないんだよ。
冬子が残してくれた娘である色羽の存在を通して、冬子との記憶を後ろ向きな思い出ではなく、前向きな思い出に変換できたのではないか。
その冬子の面影に、写鏡のような色羽を重ねて…。

trueの最後は3作分のパラノイアが一気に解放されて放心した。
また、ダンテ・アリギエーリ『神曲』をモチーフに、黒矢尚織が「エデンの少女」を書いていたが、冬子が色羽に生まれ変わっていく様子を書いたとも読み取れた。
まさに『神曲』の内容とリンクする内容だったので、人の心を透かし見るような尚織のことだから冬子からそういう気持ちを読み取ったのか。

innocent grey史上、エロゲー史上、最高傑作でした。
次回作にも期待しています。