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ikebukurooさんのFLOWERS -Le volume sur printemps-(春篇)の長文感想

ユーザー
ikebukuroo
ゲーム
FLOWERS -Le volume sur printemps-(春篇)
ブランド
Innocent Grey
得点
80
参照数
7

一言コメント

もはや文学作品。ポエティックなギャルゲー。素晴らしい

長文感想

蘇芳の夏目漱石『坑夫』に対する解釈が最初のうちは「成長しない主人公」として捉えていた。
しかし、蘇芳自身の様々な成長を経て「これから成長する選択をできた主人公」として捉え直していた点が良かった。蘇芳のトラウマから来る臆病な性格や成長できない歯痒さを『坑夫』の主人公と重ね合わせていたのではないだろうか。心情のメタファーを詩的な表現や婉曲して伝えるのが上手いと感じた。ここまでポエティックなギャルゲーはなかなか無いと言えるだろう。