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ice-nineさんのEVE new generationの長文感想

ユーザー
ice-nine
ゲーム
EVE new generation
ブランド
角川書店
得点
75
参照数
623

一言コメント

EVEの二次創作、あえていうならこじこじ探偵日記パート1って感じですかね・・・

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

あの感動をもう一度、という儚い希望を抱いて騙されること数度。
そのたびにもうEVEは買わない・・・っ買うものかっ
と思っていました。
が、気づいてみれば発売当日には手元になぜかこのソフトが・・・。
いったいなんどこれを繰り返すのか・・・。
そう思いつつ期待半分諦め半分な面持ちでプレイしました。
ちなみにその期待半分は何処から来ているかと言うと、今回のシナリオを担当するライター、逆に諦め半分な部分はいうまでもなくこれまでの続編の出来からです。

 とりあえずプレイしてみて個人的に良いと思った点は、これまでの続編と違って
潔くエルディアから離れたこと、それと変な後付け設定をしなかったことです。
これまでの続編では無理にエルディアと話をつなげようとしたり、変な後付け設定
をしてグダグダになった感がしてましたので。
ちなみに今作では今までの続編にあったそういった‘改悪点’をなかったことにしているみたいですね。いわゆる黒歴史化ですか?

 あとは、マルチサイトシステム。
これもうまく活用できていたように思います。
初代EVEもこのシステムをうまく活用していましたが、今作もまたこのシステムを、初代とは違ったベクトルでうまく活用しています。この辺もいままでの続編では見られなかった点だと思います。
しかし、この作品はそれが行き過ぎて、マルチサイトという1つのシステムに依存しすぎといった感がありますが。


 とりあえず良かったと思える点を先に上げてみましたが、
じゃあ実際EVE続編として楽しめたかという事を考えてみれば、
やっぱりというべきか残念というべきか答えは否でした。

 
 まずなんといってもシナリオ自体に心惹かれるものがありませんでした。
お話自体がこじんまりとしていることと、
青年期において陥りそうな思想を事件の前面に押し出している為
初代EVEにあったような此方の好奇心を擽るような展開もなければ
ゾクゾクとした緊迫感もありません。
事件の黒幕についてもお察しくださいという感じですしね。
クリアしたあとのカタルシスなんてものも皆無でした。
ただ唯一あったのはマルチサイトシステムに頼っただけの
いうならばギミックためのギミック。
確かにいままでとは違いマルチサイトシステムを効果的に使ってはいます。
しかし、そのギミック自体が効果的に物語において生かされているとは
とても思えませんでした。
逆に私は、物語のためにギミックをつくったのではなく、
ギミックのために物語を作ったのではないかと疑ってしまいました。
そのギミックがなんなのかといえば、今作の担当ライターを知っている方なら容易に想像つくかもしれません。

 あくまで仕掛けありきで物語が進んでいく為、キャラクターについても
魅力を感じることはできませんでした。
これは主人公である二人についても同様です。
余談ですが特に氷室恭子の扱いは酷すぎましたね。
終盤に意味もなくチラッとでてくるだけで、
その必要性は全く皆無といっていいでしょう。
初代においてあれだけ名脇役キャラとして光っていた
本部長もまったくいいところなし。

 
 ぐだぐだと駄文を書いてきましたが
結論として、いままでのEVE続編物と同じく今作も
初代には遠く及ばないものでしかありませんでした。
しかし、いままでの続編と違って今作をEVEの続編として考えるのではなく、
むしろ外伝、小次郎とまりなが関わった内の事件の1つとして
みるならそこそこ楽しめるのではないかと思えます。
今作は今までの続編と違ってエルディアとの関わりは全くないですし。

・・・というかそもそもこれってEVEとして出す必要あったんですかね。
むしろ別物として出した方が評価は良くなったのかもしれません。

個人的には素直にミステリート2を待ってればよかったかと後悔していますが・・・。




最後にひとつ
・・・殺戮奇術の匂宮兄妹はこうして作られたのかw