続編もさすがという他ない
朽木冬子の行方とその結末を見届ける2作目
前作は不意打ちで心を抉りに来たり、謎解きやルートの入りもライターの脳内当てクイズみたいなところがあったが今作ではきちんと考えればわかるようになっている。
テーマとして描かれてる偏執は今作も見事に描いてくれたという他ない。
そして今作の特徴は同一人物ラッシュであろう。
真崎と理人、冬見と理子(皐月)のように実は同一人物だったのさ!がとても多い。しかし、全てを知ってから見ると理子と皐月の時とで小夜の態度が違っていたりととても納得できるもの且つ自然に、それでいてさりげなく入れられる伏線で読み手に伏線だと悟らせないようにする技術はとても良い。
最近は読み手に予想させるために敢えて伏線だと教えるようにワザとらしい入れ方をする作品が多い中で本来の意味で伏線を用いている作品であったように思う。
茅原雪子はまさか本当に殺しているとは思わなかった。そして今作でも前作のトジ子のように死んでしまうキャラがいる。嵩宮めぐりだ。死亡シーンはトジ子の時と同じく別人である事を祈っていた。
本当に辛かったなあ・・・
そして何といっても冬子の行方
生きてる可能性は薄いと思いつつもそれでも生きていてほしかった。
白骨死体なのも全てが手遅れになっていることの非情さを表していてそれが何よりも悲しかった。
普通の達磨死体と思わせてからの白骨死体だったので絶望も一入。
ここまで絶賛して何だが引っ張るようなものじゃない謎も残っていてそこは少し残念だった。
例を挙げると鳥居小羽の養父母の行方だとか。察しが悪いだけなのかもしれないがここはちゃんと明らかにしてほしかった。小羽が殺したとして1人で夫婦を殺せるのかという疑問もあるし、老人ホームに入ったとか蒸発したとかもあるかもしれない。
天の登場人物一覧に出てこないあたり明らかにされない謎だと思うし、そこまで引っ張るような謎でもないと思ったのでその点は残念だった。
そういう点は確かにあるものの、総じて今作も神作でした。
茅原雪子という空っぽな人間という虚、朽木冬子という魂が入っていたがその魂が抜け出た虚、それらを総じてこの作品は虚ノ少女なのだと思うし、このダブルミーニングは流石だった。
最終章の天ノ少女も楽しみにしています。