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hurryUPさんのキラ☆キラの長文感想

ユーザー
hurryUP
ゲーム
キラ☆キラ
ブランド
OVERDRIVE
得点
82
参照数
1835

一言コメント

「過去と他人は変えられない、変えられるのは未来と自分」多分そんなお話。でも学生時代に無茶やったこと、真剣に取り組んだことってキラキラと輝いて本当に眩しい物ですよね。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

シナリオ:27/30 テーマは少し前にやった「絶対幸せ宣言っ!」に似てますかね、 テーマ性が前面に出てない分かなり読みやすくなってます。
音楽:15/15 バンド物だけあって音楽は文句ないですね、もう少しゲーム中にボーカル曲流れてもいいと思いますが十分でしょう。
原画:10/15 立ち絵が皆同じポーズ、輪郭もハンコ絵て感じですが、割と背景にキャラがとけ込んでるイベント画は好きです。
キャラ:10/10 主人公は達観しててクールですが、主張する点は譲らない結構好感もてました。
エロ:5/10 どのキャラも少し短いですね、エロの時主人公の性格が変わるのはお約束なんでしょうか。
システム:10/10 特に従来のゲームと変わらず問題なし、スキップも速くてよかったです。
世界観:5/10 バンドに拘るのかと思ったけど、各ヒロインのおかれた状況の解決、結局変わるきっかけなのでしょう。

 攻略順は紗理奈→千絵→きらりでした、この攻略順でよかったと思います。
一章は文化祭に出し物に向けてのバンドの結成と練習風景をコメディ調に楽しく描いてます。
二章で夏の思い出にツアーに出発、ヒロインによって行き先変わりますがここまでほぼ共通ルート。
(とはいえ行き先で各ヒロインの恋愛感情が発展するから、矛盾は生じにくいですね。)
三章で各ヒロインが抱える家庭問題を解決して行く様を描いてます。
 しかし各地ツアーに行く時のそれぞれの地域特徴が描かれてますが、ゲームだから結構オーバーです。
そこに住んでない人はニヤリと、地元人間はそんなん違うよーとか思いますかね。
 後各ヒロインがそれぞれ家庭の問題を抱えて若干鬱がありますが、概ね爽やかに解決してます。
若干最後まで結末を描くのを省いてますが、蛇足にならない程度で私的には良かった思います。

紗理奈ルート:
 作中にダスティンホフマンの「卒業」の話題がでたように、残される相手も配慮したルート。
普通の幸せの形ではないにしても一緒にいたい、皆が幸せにという想いが描かれてます。
私的にはやっぱり恋愛というか結婚や出産は皆に祝福されるのが一番です。

千絵ルート:
 ある意味、紗理奈とは対照的なルート。
一方を選んだ事により、他の一方が傷つくこともある事を描いてます。
これをヒロイン同士でやらなくて家族でやったのは新鮮でしたが、
選ばれなかったヒロインを描くのはやっぱウケが悪いからでしょうかね?

きらりルート:
 4章まであるやはりメインヒロイン扱いのルートですが、ヒロインにある仕掛けがあります。
 きらり自身演じてると語ったり、千絵ルートでの会話である程度想像できました。
カナリアやグリグリとかやってればある程度の展開は予想の範囲内ですが、やっぱ鬱が嫌いな人は無理かも。
ルート1は主人公ルートですね、プロローグで元カノに指摘された「心が無い」というのをあるイベントでとりもどします。
隠しヒロイン的な存在もいてここで使ってくるのかと驚きました。
ルート2は瀬戸口さんの描く狂気が見えかかったルート、結局きらりの皆が幸せという想いはかなえられませんでしたがそれなりにまとまってます。

 私的にゲーム中の文章や台詞を使ってレビューするのは自分にあってないと思いますが、
かなり印象に残った台詞があったので紹介しつつ感想を述べます。

「音楽は演奏者が一方的に何かを与えるものではなく、
そんなに感動するということは聴いてる者の胸にも対応する気持ちがあったこと。」

 言い得て妙ですね、音楽だけでなくいろんな作品でもその人の環境、年齢、精神状態によっても印象が変わると思います。
これは人間関係におきかえると他人に影響を与えることはできますが、今ある状況を変えるのは結局自分次第とも感じます。
 
 前作のエーデルワイスはGROOVERのグリグリのイメージを引きずってましたが、今回である程度脱却できたのではないでしょうか?
また瀬戸口さん自体のイメージも爽やかな青春群像劇も描けるんだなと。
シェイクスピアや太宰治が狂気や悲劇を描くので有名ですが、実は「真夏の夜の夢」や「お伽草紙」などの喜劇も描いてます。
 次はもっとはっちゃけたコメディを期待したりも。

※雑感として

 音楽の事が好きでかいてるのか判らなかったんですが、このきらりルート1でライブは好きなんだろうと感じます。
ライブは自分も何度もいったことあるのですが、本当にあの熱気には驚かされます。
やはり皆との一体感が醍醐味ですね、このゲームで興味もたれたかたはここのライブにでも参加してみてはどうでしょうか?

※追記
 d2bのアルバム「LOVE」が届いて聴いてみたのですが、フル化(2番)で歌詞が神になった件。
travelersとか凄いなあとか感じますね。
 ぬるい幸せになんか手を振ろうですか・・・