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hurryUPさんのそして明日の世界より――の長文感想

ユーザー
hurryUP
ゲーム
そして明日の世界より――
ブランド
etude
得点
78
参照数
657

一言コメント

各ヒロインの攻略が必要とされるエロゲーという媒体が弱点となった作品

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

シナリオ:22/30 テーマは「こなかな」と同じで、それの完成系。キラークイーンの「Not or All」はnomalで描かれてます。
音楽:12/15 ボーカル曲は特に印象に残りませんでしたが、楽曲は澄んだ音がとても心地よく雰囲気ゲーと言われるのがわかります。
原画:15/15 キャラ絵も癖がなく私的に好み(髪の量うんぬんは、ゲームで髪の毛の色が青とか言ってるの同じ気がします・・・)
背景も綺麗でキャラの演出もきいてます。
キャラ:7/10 私的には主人公は親しみやすかったですね、ヒロインの魅力が特に感じれませんでした。
エロ:7/10 シナリオゲーにしてはエロは濃かったです、青葉とかいい感じでした。
システム:7/10 フルスクリーン時にゲームEDするのが面倒でしたし毎回窓モードで起動されますね。
世界観:8/10 終末設定はいかされてたと感じますが、人間の負の感情を島の住人に押し付けるのは好感もてませんでした。


 攻略順は、朝陽→夕陽→青葉→御波→normal→afterです。
各個別ルートがなにかと不評でしたが、物語としてはどのヒロインも良かったと思います。
ただあくまでも、個別ルートを単品でみた場合。
 「キラークイーン」で感じ、今作で改めて感じたのですが、設定に対してその使い方が矛盾してるように感じます。
ライターの主張自体は「こなかな」以来ぶれないのですが、
個別ルートとnormalの整合性がとれてないのが、私的にはきになります。
(この作品はシナリオで勝負するシナリオゲーと思うから)
 顕著なのが夕陽ルートなのですが、どのヒロインも主人公に対する好感度がMAXです。
この設定から夕陽ルートで主人公と離れる不安、葛藤を描いてお互いの必要性を上手くまとめています。
そしてnormalルートで好感度MAXの設定から住民から救う過程を描いてます。
 ここで問題に感じるのが、個別の夕陽はあれほど離れる事に不安を抱いたのに、
何故normalではあっさりシェルターに行くことを容認できているのでしょうか?
(朝陽ルートでも想い出を持っていってくれればいいとは言ってますが・・・)
その逆を考えても疑問に感じます。
 おそらくはLike or Loveの違いなのでしょうが、それを感じれませんでした。
結局各ヒロインが主人公を好きになる決定的なきっかけの日常イベントがないんですよね。
(隕石の落下がきっかけといえばそうですが、その点で設定は上手く使ってると)
夕陽では主人公が夕陽を襲うイベントをルート限定にすれば済むことだし、
normalルートに至る選択肢をもう少し工夫すれば解消できたのではないかなと思いますね。
(normalルートに入るのにどのヒロインよりにすればよいかのベストな選択肢はあったかもしれませんが)
 多分この辺はすっと読み流していれば、気にはならかったのでしょう。
おかげでnormalの主人公に対する悪意を島の住人におしつけたイメージであまり良く感じられませんでした。
 エロゲーという媒体でださなければ、normal→afterで〆れたのでしょうが、それだとエロゲーとしては許容されないでしょう。

 個人的には個別では朝陽ルートが一番好きかなあ、健速さんの過去の作品も含めて一番〆が上手くいってると感じます。