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hurryUPさんの君が望む永遠の長文感想

ユーザー
hurryUP
ゲーム
君が望む永遠
ブランド
âge(age)
得点
100
参照数
1628

一言コメント

(GiveUp) ずっと忘れない・・・永遠に この世界に転げ落ちたきっかけになった自分そしてメーカーageにとっても起死回生、魂の作品 あえて思うヘタレで自分はいいと

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

 実はこの作品はメインヒロインの遙、水月そして遙の妹の茜までしかクリアしていません
そしてレビューは絶対しないつもりでしたが、そろそろこの世界から離れようと思い記念に書いてみます

※基本感想文、チラシの裏に書くような日記になっているので基本見苦くなっています
もの好きな人以外はそのままブラバを















◎ageの戦略その1

 体験版を発売一ヶ月前に配布することにより、孝之の気持ちを少しでも体験できるように配慮したまさにリアル?体験版

 2001年の夏の日 コンシューマーのゲームを買ったときに店頭である体験版を受け取った
それが「君が望む永遠」という作品の出会いだった

ご存知の通りういういしい遙とのやり取りの末、お互いの気持ちを確かめ心身と共に結ばれた恋人関係の絶頂期におきた交通事故
救急隊員の無線の声が虚しく響くそして・・・OP曲のRumbling Heartsまさに完璧とも言える計算された演出

なんだこれー、とageのHPを覗きにいったら案の定盛り上がっていました
(※当時まだageの公式HPには掲示板がありユーザーの交流ができました)
かくいう自分も掲示板自体に書き込むも初めてで遙はどうなったんだ!て一緒に盛り上がっていました

ageのプロデューサー曰く

「遙を待つ孝之の気持ちをユーザーにも味わってもらう為に
一章まるまるといえる体験版を一ヶ月前にあえて配布して勝負した」

見事リアルタイムで体験したユーザーはageの戦略にはまったというわけです・・・
当時君望発売前のageはお世辞にも儲かっているとはいえない弱小メーカーでまさにこれが外れたら終わりという賭けにでたわけで第一段階は大成功でした

◎ageの戦略その2

「以前の作品選択肢は逃げの要素をあえて排除していたが今回はあえて逃げの選択肢を用意した、
つまりメインヒロインの遙、水月以外の選択肢を選ぶことは逃げである」

茜を選ぶことは、状況を良く知る遙の妹である環境に逃げること
喫茶組のヒロインを選ぶことは、過去も現在も孝之のことを知らない環境に逃げること
病院組のヒロインを選ぶことは、過去は知らないが現在の孝之の状況を知る環境に逃げること
そして病院組のあの緑の悪魔は、過去も現在も孝之の状況を知っている環境"他人"に逃げる最大の罰

意味合いとしては茜もマナマナも同じですが”親族”と”他人”を比べるならどちらか?
気軽に逃げるなら負い目を感じる親族より他人になるのだろう


自分は茜の妊娠、昏睡EDを見たときに怒りを覚えてなんでこんな結末をつくったんだ!て感じたものです

しかしこの結末は「自身(ユーザー)」が自ら選んだ結果なんですよ
ユーザーに媚びない姿勢は本当にすばらしいと思うが当時初エロゲーだった初心者にはきつかった

今ではヒロイン全員処女で主人公(ユーザー)にラブラブ、サブキャラと結ばれるどころか色目を使うことすら許されない
サブヒロインですら主人公に気持ちが向いてないと許されないて萌えゲーが量産されていますが実に痛快な作品だと思う

この作品ではさらにエロゲーではタブーとされる、選ばれなかったヒロインが描かれている
選ばれなかったヒロインが寧ろ輝く、水月ルートが真・遙ルートと呼ばれる所以である。


君が~シリーズは3部作だったんですが、本当にプレイしたかったですageさん!
君望製作した当時の気持ちを思い出して是非作ってください


ageというメーカーは、常にユーザーに挑戦状を叩きつけるメーカーだと思う

つまりは遙や水月以外のヒロインは微妙、駄作とかいう評価はある意味メーカーの意図にはまりくみとっていると言える


三角関係の主人公は孝之にもれず常にヘタレと評されます
当時遙、水月をクリアして涙ぼろぼろでスタッフロールがかすんで脱力感でageのHPに覗きにいったら

「孝之、うざい」
「なにぐずぐず悩んでいるんだ 保身の為にしか思えないヘタレ」

という書き込みにあふれていました。
当時、自分は全くヘタレて考えはなく え?なんで?と目が点になった記憶が残っています

こういうのは悩んだらこの世界では駄目なんですね・・・
3年間遙のいない絶望感に落ちた主人公を支えた水月、自分のせいで事故にあったと思い込んだ負い目もあり慕ってくれる遙

これを悩まずにあっさり選べるのは不誠実でこれをヘタレというなら自分はヘタレでいいと今でも思っています。
とはいえageの戦略1にあった一ヶ月間結末を知れなかった感覚は大きかったと思う

いつも俯瞰的に物語を読む自分ですが、この作品だけは違った
この作品の反省のおかげで以後俯瞰的に読むようになった自分がいます

そして遙、水月、茜以外クリアしていません
Fanディスクも追加完全版もプレイしていません

自分の中で君望という作品は遙の数年後の一枚の写真に凝縮されているから
あの写真が 君が「遙」が望んだ永遠であると

ただアニメや小説などの媒体で水月ルートが描かれています。
個人的には孝之は3年間支えた水月を選ぶのが正だと思うし自分が孝之なら水月を選んでいます。



最後に今年になって納得というか少し救われた2作品に出逢えたので記します

ホワイトアルバム2~小春ルートより
「誰かに誠実にあろうとすると、誰かにとって不誠実になることがある」

この大空に、翼をひろげて~亜紗 & 依瑠ルートより
 「そういうものってね、きっと無いから。もしかしたらあるかもしれないけど・・・多分、選べないものだから」

丸戸さんと七鳥未さんには感謝です。

さて見苦しい感想文に最後まで付き合っていただいてありがとうございました