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hureiaruto01さんの鬼がくる。~姉がひん死でピンチです~の長文感想

ユーザー
hureiaruto01
ゲーム
鬼がくる。~姉がひん死でピンチです~
ブランド
えにしそふと
得点
80
参照数
980

一言コメント

得点は虚姫(トゥルー?)を除いた点数です。加えると点数が大幅に下がる(理由は長文で)   久々に中身が面白かったと言える作品に出会えた。 知ってる人からすれば全然違うとお叱りを受けるが、ギャグなヨスガノソラと思って欲しい。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

この感想ではゲームの内容にしか触れませんが、3人しかルート無い割にはかなり短いので、よく言うとさっくり楽しめる作品です。
つまりはそういうことです。

ただ、最近フルプラでも短いゲーム増えてきてるのでこのゲームを取り上げてなんだと言いにくいのは現状なんですよねぇ…。


さて、感想
ヒロインは姉、凛々(幼馴染)、虚姫(神様)の3人と、サブ(エロが一回あるだけ)の巨乳

ルートロックがあり、姉と凛々をクリアすると虚姫ルートに進むことが出来る

凛々→姉の順番でクリアした時は、最近では稀に見る良作に出会えたと思えたが…。

虚姫…(以下“姫“)ルートの評判が良さげだが個人的には設定崩壊で、最低のつまらないありきたりルートだったとしか表現しようがない。



【このゲームをやる上でで一番重要なことは姉の存在だ。】

口を開けば主人公のことしか喋らず、凛々(幼馴染)と会話をすれば言いがかりと悪口を(主に胸がないこと何十回と)聴くことになる。

正直、時代に合ってないし、キチガイという表現が嘘は偽りなくピッタリなヒロインとなっている。
 ただ、彼女の愛はホンモノである。

姉が合わないならこのゲームをやることは不可能です。体験版で確認すべきです。


さて、共通ルートの内容をサラッと書いておくと

姉が謎の病気で死にかける。
→姉、主人公に死ぬ前にエッチをお願いして結ばれる

→主人公が神社で神に出会い、とりあえずの延命をしてもらう

→信仰が弱いので、神様パワーが少ないの有りがち展開

→汚れ(今作では人に取り憑いた悪意)を浄化したり、その他イベントをこなしながら信仰心を集める。
(その間にサブの巨乳と肉体関係。理由は自分でやれ)

→パワーを集めて神様が姉を完治
ついでに、桜を咲かせて花見だ!


共通ルートが終わり「無能ブラコンウザ姉」、「ガチストーカー幼馴染」のどちらかを選ぶことになる


このゲームが面白かったのはここからだ。



改めて主人公たちの設定や取り巻く状況について

1.主人公

超ヘタレ、目付きが悪く周りから勘違いされてる、姉が無能なため家事万能、友達が二人、“家族“は姉だけ、祖父母が亡くなり現在は怪しいバイトだけでやりくり。

育ちに難あり


2.姉

ブラコン、超ブラコン。
ポンコツ、何も出ない。弟は自分が大好きで何よりも優先してくれて、面倒みてくれてあたり前。
主人公に近づく女は敵。
主人公にまとわりつき、噛んだり舐めたり好き(ただし、ほぼ初期の方だけ)
病弱だった。

育ちに難あり。


3.凛々

幼馴染、医者の娘で姉の病気を診てた家。
ストーカー。観察してるだけと主張


4.虚姫

神様、大食い
命の恩人



では、個別ルートについて


1、凛々(幼馴染)ルート

割と文句ない内容。
ストーリーと幼馴染の思いが見事の一言


幼馴染は主人公が好きで、ストーカーしちゃってた。
主人公は主人公で、好意に気付いている(主人公の鈍感は説明めんどい)が、踏み込ませない距離感を保っていた。

ある日、主人公に練習したお弁当を作ってあげた。
そこそこ上手く出来たが、姉がいつもの様に邪魔をする。

姉「料理下手だねぇ。こんなメスマズじゃお嫁にいけないよ?かわいそうだねぇ。」
幼馴染「その言いぐさはひどくないですか!?」」
姉「えーでもホントのことだもん」

こんな感じのいつもの姉と幼馴染の喧嘩が繰り返される日々。

主人公は、少しづつ幼馴染への気持ちが燻りだすが、進むかのように見えて、近づかせても決定的な何かからは避ける主人公



幼馴染、教室での姉の様子が気になり見に行くことに
そこには、誰とも会話せず、何をする訳でもなくポツンと佇む姉がいた。

いつもハイテンションで、明るく騒がしい彼女はいない。

彼女の世界はハル君(主人公)で構成されており、比喩でもなく主人公が中心なのだ。
だから、主人公が関わらない自分の教室では存在しない様な状況。

そこに今更ながら違和感を感じる幼馴染。
自分は全てを捨てて主人公だけを見る姉に勝てるのか、割って入れるのか…

とりあえず、主人公はあの姉の状況をどれだけ把握してるのか確認してみることに。

幼馴染、明くる日の放課後屋上で話があると主人公を呼び出す。

主人公、告白されるのではとドキドキ。

しかし、告白はされるのだが、最初に話しだした内容は理解できない、姉が教室で一人(なんてレベルではないが)という事実
そして、それに対して驚きはするが満更でもない自分。
つまり、姉が自分(だけ)を見てくれている事に満足も感じてる。

歪だと指摘され、ついでに幼馴染から好きだと告白される。

ここに姉が乱入

姉「コソコソと私を除け者にして小賢しいことをする時点で、お姉ちゃんという存在に、負けを認めてるの、偉大さにひれ伏している。」

姉「幼馴染とか時代遅れの存在が、姉という切れない関係に勝てる訳がない。結婚だとかそんな下らないものに左右されるのが可哀想」

姉「そのうちに妄想をこじらせて、子どもを妊娠したとか騒ぎそうで怖いよ!」(※1後述)


姉「あなたがどれだけ頑張ろうと主人公とは既に肉体関係があり、今更あなたが頑張ろうと無駄」
と暴露と煽りをしてしまう。

肉体関係の事実を知り、逃げる幼馴染。


勝ち誇る姉と、複雑な主人公


幼馴染、考える。
考える考える。
そして覚悟を決める。


幼馴染、主人公の家に訪問。
姉は邪険にする、負け犬が来たぞと。

幼馴染が、とあるモノを出す。
(何を出したかはゲーム本編)

発狂する姉
幼馴染の覚悟と行動に驚くと同時に幼馴染の本気を理解する主人公

とにかくキレて会話にならない姉

幼馴染を殺そうかと思うが、主人公に嫌われたくないので思いとどまる。


そして、幼馴染の行動から、発言から、幼馴染は決して自分を捨てないこと、
自分を愛してくれること、家庭の暖かさを教えてくれることを理解して、想いを受け入れ付き合いだす主人公。

姉は、幼馴染と主人公が仲良くなるのが面白くない。



(中略)重要部分はご自分で



普通のゲームだとこれで終わるところだが…

幼馴染は、姉がしつこいこと、姉にとって主人公がどれだけ大切か、姉の存在を理解している

そのため、姉と幼馴染と主人公の三人で関係を持つ。
「恋人(一番)は私だよ」
姉は狂ってるので、主人公との距離を保たせるのは不可能だから、自分が妥協することで関係を構築する。

幼馴染は、主人公を手に入れるために一般的な関係を捨て、姉と主人公の関係を受け入れるという器を見せてエンド。



幼馴染の主人公への想いとその行動(覚悟)は見事

普通の萌えゲーでこれらの行動は違和感というか無理がある
しかし、登場人物の特異性を語られてるので割と納得のエンド。


敢えて文句を言うなら、幼馴染が何故主人公を好きなのかそこが知りたかった。




2、姉ルート

パロとメタが多くてキツい。
しかし、内容は姉の想いが伝わってきて幼馴染ルートとは違う満足がありました。



姉、どうすれば主人公と仲良く出来るか足りない頭で考える。

子供が出来たことにすれば自分を見てくれるかも!(上記※1で、幼馴染がするんじゃないかと罵倒した手段を取る)

しかし、姉はいい歳にも関わらず病気の関係で生理が来ておらず妊娠するわけが無いことが判明する。


(中略)この感想で言いたいことには関係ないのでご自分で


何だかんだあって、主人公は姉と付き合い出すことを受け入れる。

姉からキスを求め、姉からデートをお願いし、姉からエッチを求める。

主人公と付き合うという人生の絶頂期を迎えて楽しいときを過ごしていた姉。

ある時から身体に違和感を感じ始め倒れてしまう。

医者によると完治した病気が再発しており、次に発作が起きると命がなくなると言われる。

主人公、神様に八つ当たり。
「病気は完治したのでは?何故だ?」

神様「あの時点では治っていた。しかし…」
「姉の病気は厳密には病気ではない。魂の欠落がもたらす危機である。」
「普通の人は、親から愛を受け育ちそれにより愛が満たされて問題がない。しかし、事実上のネグレクトで育てられ親から愛を受けたことがない姉は、主人公からの愛を認識することでぎりぎり生きていた。」


補足のために主人公の過去を書いておく

主人公の両親は自分の都合しか考えない人間であった。

主人公は、親から愛されていると信じていてどんな命令も従い、親が楽するため家事などの作業を進んでしていた。

しかし、姉が病気になり両親が喧嘩をして離婚。
要らない主人公と姉は祖父母が引き取ることに。

主人公は、自分を愛してくれる人は姉しかいないことを理解して姉に媚びだす。

姉は弟含み家族が嫌いだったが、親が居なくなり自分に懐き出した主人公を見て、自分は愛されていること理解した。

弟には自分しか居ないので、こいつは自分のことを捨てない。
だから、姉は特別なのだ。甘やかされて当然だと。
姉のグータラ生活はここから始まる。

主人公は、親しい人(主に姉)から嫌われたくない。
ある程度のお願いは聞き、面倒見も良い。

すべては、愛されているために。
誰かを愛したことは無い、両親みたいに捨てられるのが怖い。
嫌われたくないので、姉から求められたら答える。


神様「お主が姉に素直に好意を示したら治る」

そんなこと(自分が愛されるために行動してること)はあり得ない。
そんなこと(姉を愛すること)で治るわけがないと逃げ出す。

やれやれと嘆息する神様。


(中略)


姉のターン。

如何に主人公が大好きであるか。
思いの丈を学園の屋上から拡声器を使って話す。

画面いっぱいになっても終わらない彼女の告白。

そして迎えるエンディング。





このゲームの面白かったところは、歪んだ主人公をどうするか、そして歪んだ姉との関係。

1、
まず、主人公を手に入れるためには姉をどうにかしなければならない。
姉を受け入れる覚悟がなければ主人公と結ばれることは出来ないのだ。

序盤にサブキャラでエロ有りの巨乳ルートをなんて一瞬でも考えたのは愚かだった。
そんな覚悟が出来る人がそう居る訳がない。(そこまでの価値も主人公にないし)

少なくとも巨乳には不可能なことであった。だから、彼女はルートが存在しないのだ。(予算とか言うな)


幼馴染は、姉をも一緒に受け入れた。
姉も諦めてないけど受け入れた。


2、主人公

既に述べているが、主人公は愛されたい。
自分からは動かない。

姉ルートでは、演説でやっと動いた。

幼馴染ルートでは、とあるネタバレで幼馴染の覚悟を理解した。
幼馴染は自分を愛してくれた。

それだけの覚悟を示したから初めて主人公は動けたのだ。



つまり、この物語の根幹たる姉弟の歪さをどの様に解決するかが主となっている。


この二つのルートを終わった時点では、パロやメタなどのある程度の不満はあっても、かなり面白く内容にブレなく満足いける作品であった。




そして、何のために存在し、何のためのルートロックかよくわからない姫ルート。


これはどうでもいいのでホントに軽く。


何故か理由もなく姫に惚れ告白する主人公。
告白する姫。

まず、意味がわからない。
主人公が如何に大変な人間かをルートロックまでして語っておきながら、姫に告白をする雑い展開。

姉も姫に文句も言わず(勿論後で言うが)諦めるクソ展開。

ゲーム序盤から散々、主人公への愛を主張し、主人公が自分を見てくれないことへの不満を語り、姉ルートでもそれをして、幼馴染では表向きの問題点(シリアス)として君臨した姉。
それが、適当な理由により諦める驚き。

この時点でやる気は著しく低下した。

姉の方の感情は“無理矢理“納得できなくも無いが明らかに無理矢理すぎ
主人公の感情に至っては、相手が神様(誰からも好かれる)という理由ぐらいしかない。

2つのルートはなんだったのかという、最低な導入。

そして、姫が消滅するありきたりでしょうもない話をダラダラとする。

姉「消滅なんて流行らないよ。今時の中身のないイチャイチャルートで十分じゃん。」
と語るもそのつまんない話をやり消滅する姫。

そして、エピローグで理由もなく復活エンド。

なんの面白みもなく、ただありきたりなストーリー。






姫ルートの存在を無視して、
内容に文句なく、楽しく、納得いける物語であった。

ホントに久しぶりに人にオススメ出来る物語だった。
姉がキチガイのため万人受けは有りえないですね。