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humukiさんの”Hello, world.” メディ倫対応版の長文感想

ユーザー
humuki
ゲーム
”Hello, world.” メディ倫対応版
ブランド
NitroPlus
得点
89
参照数
805

一言コメント

近未来SFです。主人公がロボ。何気ない会話も全て、人工知能の思考プロセスを説明しながら繰り出される為、会話の内容はテキスト量と比して極めて薄いです。その雰囲気を楽しめないと、数時間で投げてしまうでしょう。世界を窮地に陥れる陰謀、それに立ち向かう感情を持ち始めたばかりのロボット、そんな緊迫しつつも暖かみのある話が好みなら高得点だと思います。あと長いし差分が少ないので、最初にお気に入りのヒロイン攻略した方が良いと思います。奈都美か薫が推奨ですかね。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

マルチエンディングですが、基本的なストーリーは一緒で、差分程度の差しかないのが痛いです。

奈都美ルートが主筋で作られた為か、他のヒロインを攻略している時も、大事件が奈都美
身辺で起こって、そこから話が展開していくので、少々マルチEDとしては完成度が低い様に思います。主人公がロボットだと分かるのも、すぐに受け入れるのも奈都美の役目になっています。

せめて好感度によっては、誕生会で主人公にキスをするのが、奈都美以外になる位の調整は欲しかった所です。

1奈都美
2薫
3ちえり
4みか(遥)
5先生

の順でクリアしましたが、1,2はほぼ同じ展開。奈都美が主軸ストーリーでも薫が近い存在なのであまり違和感がないです。ただ、同じ展開なのに少しテキストが違うためスキップ出来ないのでctrlの世話になりました。

ちえりに関しては、不思議属性の親父ギャグが非常に厳しく、ヒロインとしてよりは、事件の背後関係の説明のための視点という位置づけでしか無いように思いました。

みかと先生のルートでは、和樹が一緒にムネオに拉致られるなどの変化があり、薫と幼なじみのシーンも追加。ハーレム希望の人にはショックかもしれません。最後の変化で遥EDに分岐できる様ですが、バッドエンドの様な印象です。

基本的にメインヒロイン5人でノーマルとトゥルーEDが有りますが、ノーマルEDは全部バッドエンド並の後味の悪さです。ヒロイン一人だけを助ける様に動き、世界は大災害に見舞われて日常は崩壊します。

そしてトゥルーEDは、全ヒロイン共通のお話です。エピローグの語りが各ヒロインの言葉に変わるだけなので、一度見たらコンプする労力は勿体ないです。

色々ケチを付けましたが、ちえり以外で気に入ったヒロインを一人選び、人工知能の思考プロセスを見る(一体誰の視点なのか未だに分かりません)雰囲気を楽しみながら、一人クリア(後に追加選択肢でトゥルーEDを見る)するまでは、かなり楽しめると思います。

推奨は奈都美か薫でしょうかね。

そんなわけで秀作一歩手前という所です。