プレイヤーが選択肢を選ぶことで物語が分岐するエロゲという媒体だからこそ出来る、タイムリープSF
2人のループ者が存在するという構成。主人公が、プレイヤーが切り捨てたルートが、サクヤにとっては何度も繰り返した果てにやっと辿り着いたゴールであったということ。あまりにお話が上手すぎる。サブヒロイン√は割と薄めにつくられていて「通過点だしこんなもんだろう」くらいの感じでプレイしていたところでの、このどんでん返し。
「私なんかと一緒に町を出るんじゃ、全然満足できないから・・・・・・先輩はやり直してるんですよね」
しかもこのゲーム、些細な選択肢の連続で間接的にルートが決まるのではなく、「彼女を選ぶか」「切り捨てるか」の二択を提示してくるのがすごい。ループ物の選択肢としてかなり秀逸だと思っていて、プレイヤーに選択させるんですよね。お前がやっているのはそういうことなのだと念を押すように。これがこのサクヤシナリオで見事なまでにに効いてくる。正直サクヤさんはただのよくいるサブヒロインだと高を括っていたので、この下剋上はかなりテンションが上がってしまった。プレイヤーが選択肢を選ぶことで物語が分岐するエロゲという媒体だからこそ出来るタイムリープSFで、かなり良いゲーム体験だった。
さくレットの製作チームの前作ということで、面白いんだろうなと思ってはいたけど、予想以上だった。個人的にはこっちのが好きかも。アメイジング・グレイス(大いなる恵み)というタイトルも本当に良くて、これのおかげで最後のファンタジー展開もすっと受け入れることができた感がある。