妹モノの純愛ゲーですが、わりと抜きゲー寄りの内容でした。終わり方が唐突なのを始めとして全体的に完成度は微妙な感じですが、エロシーンにそこそこの変態性があって、実用面で見ると結構いい感じ。ネガティブでうじうじした主人公が性欲に暴走する描写は見てて面白かった。
卑屈でネガティブな性格の少年を主人公に据えた妹モノのエロゲー。
スポーツ、勉強をはじめとして何でもこなす優秀な妹を持ち、
彼女と比べて何をやっても平凡な主人公は、自分に自信を持てない性格になっており、
そのため、かなりおどおどしていて、年下の女の子にすら強く物を言われると逆らえなかったり、
迫られると簡単に流されてしまったり、かなり押しに弱い受け身のキャラになってます。
やや情けないですが、主人公がこういう性格なところが、この作品のポイントと言えるかと。
妹に対する劣等感や、兄妹でエロ行為に及んでしまうことなど、
妹ゲーならではの葛藤を楽しませてくれそうな要素は色々ありますが、
ストーリー面にそうしたものが活かされているのは序盤だけで、
基本的に個別に入ってからは、そういうものはエロのために活かされています。
いわゆる純愛抜きゲーというものですね。
全体的な雰囲気としては、近親相姦ながら、あまり深刻な話にはならないので、
鬱要素は薄くて気楽に楽しめますが、反面、背徳感はそんなにありません。
日常では、唯というキャラが、咲姫と比較しながら兄の情けなさを馬鹿にしてくることが多く、
そこらへんは日常描写としては正直不快に感じる要素ではあるのですが、
主人公にとって憧れのお姉さんである泉美というキャラが、主人公にあからさまに好意を向けてくれて
優しくしてくれたり励ましてくれて癒されるので、相殺されて我慢できる感じ。
それに実際主人公がかなり性格的にダメなので、唯の罵りもハッパかけてるように思えるのも大きいし、
何より、唯ルートではそれまでの罵倒がすべて伏線であるかに思えるような、
とても気持ちのいい展開が待っていますから、
日常で不快に思ったとしても、唯ルートをプレイする価値はあると思います。
個人的には唯のルートが一番面白かったと思いましたし。
ヒロインは妹が一人と妹でないヒロインが三人。
主人公がどうしても妹の脚に欲情してしまうことに悩み、
それを知った非妹ヒロイン達が、主人公を更生させようと話し合い、
監視役として主人公宅に泊まりこむことになる、というのがおおまかな流れですが、
妹以外のヒロインは妹要素がほぼ無く、多少変態性の強めな純愛抜きゲーという感じの読感であり、
このゲームで妹ゲーらしさを味わえるのは妹のルートだけとなっています。
ルート分岐は序盤の大変分かりやすい選択肢一回だけで決まります。
選択肢は上から順に
・泉美(憧れのお姉さん。主人公に甘々な癒し系)
・唯(妹の親友。軟弱な主人公にキツく当たる水泳娘)
・湖(小○生、ただし巨乳。お姉さんの妹)
・咲姫(妹)
となっており、下に行くほど背徳度が上がっていくわけですな。
四人中三人が年下キャラですし、湖はもちろん唯と咲姫も結構ロリっぽいので、ロリ度の高めな構成です。
合宿として一つ屋根の下で寝泊まりするヒロインと
ハプニング的なエロイベントなどを通して、主人公のそのヒロインに対する性的な興味が
心理内で高まっていく過程を描いていくのが基本的な展開となります。
誰かが風呂に入ってたらうっかり扉を開けてしまう決まりでもあるのか?
と思ってしまうぐらいベタなラッキースケベイベントが多かった気がしますが、
ともかく、攻略対象のヒロインへの興奮が高まっていく中、
ふいに二人きりの特殊な状況下に置かれた際、性欲が爆発して興奮を抑えきれなくなった主人公が
ヒロインを半ば強引に襲ってエロ行為をするという展開が含まれているのが特徴的でした。
単なる受け身鈍感のヘタレ主人公の純愛モノだろうと思っていると結構ビックリします。
例を挙げると、とあるルートでは
我を忘れてほぼ性犯罪に近い強引なエロ行為をする
↓
事後、俺はなんてことをしてしまったんだ的な主人公の懊悩
↓
ところがヒロインはまんざらでもなさそうだったりドキドキしていたり
↓
その後はエロ中心に関係進展
という具合で、女の子は強引に迫られたい時だってあるんだよ
みたいなメッセージ性がなんとなく伝わってくるような感じですが
こうした展開がまあ、普段が卑屈でうじうじ気味の性格をした草食主人公なだけに、
我を忘れてヒロインを襲う様は、見ている方としては、彼がこのような大胆な行動に出るというのが
実に意外性があって面白く、ドキドキしながら見ることができて良かったです。
序盤から「妹をエロい目で見るのを我慢しよう」という性的抑圧が心理描写として描かれていたこともあり、
弱気や抑圧から開放された感のある暴走は見ていて爽快で、これが女の子を襲う征服感が倍増してくれていた気がします。
おかげですごくエロい気分になれました。
また、事後の人間関係だとかそういうことを一切考える余裕もなく性的衝動に突き動かされるまま
よく知っている女の子を押し倒すという行動それ自体が、プレイヤー側としては実にうらやましくて感情移入しやすく、
現実世界では色々な意味で到底実行できないことであるだけに、それを楽しめるのは高い興奮が得られました。
このへんの描写はなかなか純愛ゲーのエロシーンとしては個性的で、本作の大きな見どころだと思います。
もちろんルートによって展開に違いはあり、
ロリ巨乳のルートなどは、ほぼ全編にわたってヒロインから主人公を誘惑してくる展開が続き、
他のルートみたいなレイプまがいのシーンは見られませんが、
やはり主人公が性的衝動に折れていく過程はしっかり描いてくれていますし、
どのルートもヒロインのエロさは充分に味わえるようになってます。
ちなみに、我を忘れてヒロインを襲うようなシーンが印象に残りはしたものの、
たいていのエロシーンは和姦です。
でも和姦も含めてフェチ度が高くて、全体的になかなかエロい。
ロリ巨乳のヒロインなら、ロリならではの柔らかくすべすべとした肌の感触、
水泳部のヒロインなら水着の日焼け後、など、
4人のヒロインそれぞれに備わった女性的魅力を、主人公が真に迫った心理描写で
どうエロいのかを大変興奮しながら伝えてくれるので、すごく感情移入できます。
見ているこっちもつられてエロい気分になってしまう良い心理描写。
それに絵も可愛らしく、このブランドの塗りともよくマッチしていたと思いますし、
この絵とテキストの合わせ技はなかなかに実用性があります。
シナリオが短くてプレイ時間は短めですが、エロシーンの数はそれなりにあるので
実用面を見ると、このゲームはそう悪いものではないなと思いました。
とまあ、エロに魅力的があるゲームではあるんですが、しかし完成度は決して高くありません。
特に物語的には、どうも終わり方が微妙で読後感がスッキリしない。
一応、話としてはどのルートも終わってはいるのですが、
最後にたたみかけるようにエロシーンが連続して終わるので、なんだか詰め込まれたような印象を受けるし、
そもそも内容的に抜きゲー寄りとはいえ一応純愛モノなのだし、エロシーンが最後のシーンになっているのはどうか。
少しは物語が終わったという感覚を味わわせてくれるような締めくくり方にして欲しかった。
まるでエピローグが省略されているかのような感じで、終わり方に唐突感があります。
内容的にも、泉美ルートを除けば、わりと主人公とヒロインの関係についての結論をあいまいにしたまま終わってしまうので
もやもやしたものが残るし。
あと、ルートクリア時にスタッフロールなどが流れることなくタイトル画面に戻ったり(これも唐突感の原因)、
背景グラフィックの大半が姉妹ブランド作品の『Master×Re:master』からの流用だったりしたのがすごく気になる。
(各キャラの自宅内はさすがに描き起こされてる様子ですが、街中や学園内などの背景は大半が流用)
まあ背景に関しては同じ街設定ということなのかもしれないですけど、
このゲームの場合、発売までの延期の繰り返しとかの事情もありましたし、
ひょっとして何らかの事情でいくつかの要素は完成させられなかったんじゃないかという邪推をしてしまいます。
もし、しっかり作られていたらストーリーにはもう少し続きがあったんじゃないかと思うので惜しい気分になります。
●まとめ
わりとフェチ度の高いエロシーンはポイントが高く、純愛抜きゲーとしてはそれなりのもの。
ただ中身がちょっとフルプライスにしては薄めで、これならミドルプライスが妥当だったんじゃないかと思うし、
基本的にはあんまりオススメはできませんけども。
物語としての面白さにはあまり期待しないほうがいいですし。
絵柄が好みならぎりぎり満足できるかも? という感じ。
それにしても発売に至るまでの経緯を見ると、これでシルバーバレットが終わりなような気が
すごくするのですが、そうなったら寂しいものです。
このゲームの開発が特別グダグダだっただけで会社自体はこれからもエロゲーを出してくれる
という展開になることを祈りたい。
↓以下、各ヒロインについての詳細な感想。
まず妹ゲーなので妹について触れておきますと、かなり可愛いキャラではあると思います。
本作の妹はその心理を分かりやすく見せてくれることはほとんどないのが特徴でした。
主人公に対して厳しめの物言いをするものの、それは主人公がやればできる人間だと思っていて
ハッパをかけたいという気持ちから来ていることは序盤から察することはできます。
なので、軽蔑混じりに駄目だしをしてくる唯などと比べると、不快感を覚えることはないのですが
しかしみんなの前で主人公をハッキリとフォローしてくれることはあまりなく、
恋愛感情的に主人公をどう思っているのかも、終盤になってもうかがい知れないところがあり、
そこが結構やきもきさせてくれるヒロインなのですが、
最後の最後に本音を吐いてくれて、一気に可愛くなるので、そこは素晴らしかったと思います。
それだけに、純愛ゲーらしいエピローグでもあれば、もっと萌えられた気がするのでもったいない。
しかしエロに関しては四人の中では一番微妙かも、せっかく脚に興奮している設定なのだから、
もうちょっと脚に対する興奮を濃く描写してくれたり、
脚中心のエロシーンを色々入れてくれても良かったのではないか。
泉美については一番上の方で触れた通りなんですが、まあ甘やかしてくれるお姉さんとして魅力的でした。
このゲームでは唯一と言っていい癒し要素かと。
エロシーンも、新体操のレオタードや黒タイツといった着衣エロスがなかなか良い感じでしたし、
事後のシーンも、強引に襲われたのにまんざらでもない的な態度を取ってくれるのは非常に可愛かったです。
湖はロリ巨乳でしたし、主人公を誘惑してくるのは素直に可愛かった。
主人公がパンツをのぞいていたことを察知しておいて、あとで指摘する小悪魔っぷりは
小さくても女の子なのだということを思い知らされる感じで、なかなか萌えました。
しかしエロでは素材をいまひとつ生かしきれてなかった感が。
もうちょっとパイズリのシーンで、ロリならではのすべすべした肌触りと巨乳との組み合わせが生み出す感触
というものをねちっこく描写してくれれば、実用性がもっと上がってたと思うので惜しい。
最後に、妹の親友である唯について、このキャラは特にエロかったので詳しく感想を述べておきます。
彼女は水泳部に所属するスポーツ少女で、体育会系気質を持ち、
軟弱な主人公を蔑み、咲姫と比較していちいち貶めてくる、あからさまに主人公への好感度の低いキャラなわけですが、
このルートのエロシーンは結構なものでした。
彼女の裸体の日焼け痕に健康的エロスを感じて興奮を抑えきれなくなる主人公の心理描写が
かなり真に迫る勢いなので、見ているこっちまで興奮してくる。
個人的にはべつに日焼け痕に興奮する趣味なんてなかったのに、主人公に釣られて興奮してしまいました。
シチュも、日焼け痕のくっきり出た裸体に向けて精液をぶっかけるシーンだとか(このシーン主人公興奮しすぎw)、
水着にイチモツをこすりつけての射精だとか、
唯の持つスポーツ少女属性を良い具合に活用したエロスを表現できており、実用性が高いです。
それに、ややありきたりではありますが、序盤から主人公を手厳しくなじっていた女の子を
半ば強引にエロの道に引きずり込んで、主人公のもたらす快楽の虜にしていく展開は、
素直にカタルシスが刺激されて達成感が大きいので、読後感的にもわりと良かったと思います。
それにしても、唯ルートは快楽のみの結びつきによるカップルを純愛エロゲーで描いているわけで
恋愛モノとしても、なかなか新鮮な読感を味わえる内容だったので興味深かった。