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houtengagekiさんの魔界天使ジブリール4の長文感想

ユーザー
houtengageki
ゲーム
魔界天使ジブリール4
ブランド
FrontWing
得点
78
参照数
5562

一言コメント

かなり優秀な抜きゲーです。こういった普通に萌えゲーの絵みたいな絵柄で寝取られとかガチ陵辱やってる作品というのは、なかなか貴重なのではないかと思いますし、良いですね。可愛らしい絵柄でありつつ、しっかり肉感的なエロさもあるのが素晴らしい。あと、なにげに純愛ものとしてもそれなりに出来が良かったのが好印象でした。特にももルート。惜しいのは、変身ヒロインものとしての作り込みがイマイチ甘かったことかな。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

・エロについて
Hに関しては、陵辱、羞恥プレイ、輪姦なんかが5割ぐらいで
触手とかカエルとかのゲテモノ系が2割ぐらい、あとは主人公との和姦。
処女だけはきっちり主人公がいただいちゃってるので、その辺が気になる方には安心です。

シリーズの過去作の評判を聞いて触手が多いのかと思っていましたが
そんなに多くはなかったので少し意外でした。
どっちかというと陵辱にウェイトが置かれていますね。
敵の悪魔っ娘二人組が、主に人間の男を使った方向でヒロインたちを責めたててくれます。
見事に罠にはまり、いやらしい目にあうヒロインたちの姿は、実に眼福。

特に、ヒロインたちが見た目汚らしいおっさんに犯られまくる内容のが結構あるので、
そういう、美しいものが醜いものに蹂躙されるようなのが好きなら、実用性はかなり高いでしょう。
中には浮浪者とHさせられるという鬼畜すぎる物もあって、容赦なく嫌悪感を煽るなーと感心しました。
ヒロインの心理描写については快楽堕ちの展開がかなり多く、嫌悪感を抱きつつも体は感じてしまって
イッてしまうとか、それがヒロインたちの敗北感を増幅して表現してくれている感じで、なかなか良いですね。
そのへんが寝取られエンドの伏線にもなっているし。

ちなみに犯られるのは3人のヒロイン達だけで、敵の悪魔っ娘二人とラヴリエルには
エロシーンは一切ありませんので、それらのキャラに惹かれて購入検討されている方は要注意。
悪魔っ娘はヒロイン達と違った可愛さがあるし、おしおきエロシーンとかあって欲しかったなぁ。
ヒロインはさんざんエロい目にあうというのに、あの二人が性的にひどい目にあうシーンが無いから、
物語的なカタルシスの面でも物足りないし。
こういう題材のゲームは敵側の掘り下げも大事だと思うので、少し残念ですね。



・シナリオとヒロインについて
シナリオ全体は、変身ヒロインとの恋愛アドベンチャーとしては、まっとうな作りでしょうか。
ヒロイン全員幼なじみなのですが、独特の気安さというか
幼なじみらしい仲の良さをしっかりと表現できているテキストで、日常シーンから結構読んでて楽しい。

ももルートは思春期の恋愛の葛藤を正面から描いており、純愛物語として見ても、まともに面白かった。
まったりとした空気のラストは、心が暖かくなります。なんだろうね、この読後感の心地よさは。
このシナリオは七烏未奏さんの担当じゃないかと思いました。
なんとなくテキストの味わいが過去作と似てると感じたので。
とか言ってハズレてたら恥ずかしいなw

葵については、一番しっかりしてて頑張り屋なのに、ジブリールとしてはいつもやられ役
というあたりが実に萌えます。こういう、努力した結果として優秀なタイプの娘が
理不尽に踏みにじられたりするのは、征服感をおおいに刺激されますから、見ててドキドキしますね。

ユズハに関しては、最初から主人公に対して好意を隠さずベタベタしてくるタイプですが
こういうストレートな好意を向けられると実際気分がよくなるなぁ、と感じます。
三人ともそれぞれの可愛さがあって、キャラクターの立て方は充分に合格点でしょう。



・寝取られ等について
エンディングは純愛エンドと寝取られエンドが三人それぞれに用意されており、
それに加えてストーリー途中の選択肢によって、悲惨な終わり方をする敗北陵辱バッドエンドが
多数用意されている、といった具合です。
陵辱バッドエンドはその場での陵辱の延長ではなく、一度捕らえられてから
別の異次元空間みたいな場所で、あらためて別の陵辱をする終わり方ばかりだったので、
個人的にそこはちょっと惜しいなと思いました。
主人公の目の前でヒロインが壊れていくのとか、もっと見たかったので。


ところで、寝取られに関して、この作品の大きな特徴だと思ったので、細かく感想を書いてみます…
まず、寝取り役がおっさんであって主人公のライバル的な意味合いは薄い上に、
寝取られルート自体は終盤でわりと唐突に始まるため、
寝取られていく過程がじっくり描写されているとは言いがたく、
醍醐味自体は残念ながらやや弱めでしょう。
でも、しっかりと純愛が描かれた後での寝取られだけに、
プレイヤーに来るダメージはそれなりのものです。
主人公は別にへたれすぎるわけでもなく(ルートによって多少の変化はあるけど)
やるべきことはしっかりやってる奴なので、それなのにヒロインたちがおっさんの元へと
走ってしまう姿は、なかなか理不尽さを感じさせてくれて良いと思います。
心は主人公のことをしっかり好きなのに、快楽的な意味で主人公とでは物足りなくなってしまう、
といった主人公の男としての無力感を煽る描写や
ヒロインが主人公の知らないところで調教されて心を壊されていく感じは、なかなかよく書けています。
まあ、それでもやはり本格的な寝取られゲーよりはソフトな感じですから、
寝取られに興味がある人が入り口として体験するのに向いているかも?

ちなみに、純愛ストーリーをじっくり描写してから、最後の最後で
純愛エンドか寝取られエンドかに分岐するつくりなので、
両方のエンドを見るには、同じストーリーを二度プレイすることになります。
で、やはりどうしても初プレイの方がストーリーに対しての印象が強くなるため、
後から見たエンドの方は感情移入が薄くなってしまうな、と感じました。
なので、純愛を楽しみたいなら素直に純愛エンドを、
寝取られの悔しさとか虚しさをしっかり味わいたいなら、最初から寝取られエンドを目指して
プレイするのがいいだろう、と思います。



・まとめ
全体的に見ると、純愛モノとしてそれなりのシナリオが仕上がっている上で、
陵辱、寝取られがほどよく配置され、抜きゲーとしても実用性の高い、バランスの良い一品。
OPムービーのポップさと内容のギャップが結構すごいですがw
ともあれ、キャラクターさえツボに入れば、一粒で二度も三度もおいしいと言える作品ですし
萌え絵で陵辱が描写されているゲームがやりたい方には、素直にオススメできる佳作です。
自分はジブリールシリーズ初プレイでしたが、過去作もやってみたいと思わされました。


ところで、全体的にまとまったゲームだなという印象がある作品ですが、欠点もあります。
ちょっと演出がしょっぱいのが残念なのですよね。
バトル時の演出、テキストがしょぼくて、変身ヒロイン物としての臨場感に欠ける感じ。
変身シーンが1枚絵だけだったり、その方面の作り込みは正直甘い。
せっかく、これだけキャラのCGは出来がいいのだから、もう少し演出は頑張ってやって欲しかった。
OPムービーが気合の入ったアニメで、凄いなあと思わされてから
本編でそんな調子の物を見せられては、落差のせいもあって結構ガッカリさせられますね。
まあコスチュームがイマイチ地味なのもあるから、絵師にも多少は責任あるかもしれないけど。

正直、変身ヒロインを題材にしただけの陵辱抜きゲーというだけで、
変身ヒロイン物としてはレベルは高くないなと思います。
変身ヒロイン物としてしっかり出来ていてこそ、敗北して陵辱されるヒロインたちの姿に
そそるものを感じることができるというものでしょうから、このあたりは実に惜しいですね。