面白すぎた
『創作彼女の恋愛公式』、ただの恋愛ものじゃなかった。
これは、クリエイターという“めんどくさくて、頑固で、真っ直ぐな人間”たちが、それでも自分の矜持を貫いて表現しようとする、魂の物語だった。
正直、共通ルートを終えた時点では「逢桜√だけ見られたら満足かもしれない」と思っていた。
それくらい彼女のテーマ性に惹かれていたし、ロックされているのがもどかしかった。
でも、エレナ√を始めた瞬間にその気持ちは完全にひっくり返された。
どのルートも「創作とどう向き合うか」というテーマに真剣に向き合っていて、どのヒロインも主人公になれるだけの物語を背負っていた。
ゆめみ√は「感情を作品に昇華する強さ」、桐葉√は「夢と現実の狭間で信念を貫く意志」、逢桜√は「物語を完結させるための覚悟」。
すべてに芯が通っていて、決して一人のヒロインに物語が集中しているわけではない。
そして個人的には桐葉に一番心を持っていかれた。不器用でまっすぐで、あんなに強いのにあんなに弱い、惚れるに決まってる。
逢桜√の「夢は覚めるもの」という言葉には心をえぐられたし、
「私は奇跡なんていらない。欲しいのは、物語を終わらせるための時間だけだから」というセリフには、本気で涙が出た。
そして主人公が「書けるかじゃない、書く」と言い切るあの瞬間──これほど創作に誠実な物語が、どれだけあるだろうか。
一つだけ惜しかったのは、逢桜√終盤のHシーン。あのタイミングでそれを入れるのは、個人的には雰囲気を壊された感が強い。
けれど、それを含めてもこの物語から伝わってくる“創作に向き合う姿勢”は本物だった。