──今度は、今度こそ、仲のいい兄妹として、兄妹らしく過ごそう
“兄妹らしさ”とは何なのか。近作の佳津美ルートは、疎遠型の兄妹が絆を取り戻す物語である。
絆を取り戻そうと手探りで歩み寄る二人がとにかく可愛い、可愛すぎる。兄妹二人揃って反則級の可愛さ。
物語開始時点では過去の儀式の罪悪感から、兄の清澄を冷たい態度で避けていた佳津美だが、
それでも歩み寄ろうとする兄につい甘えてしまう。
佳津美:「兄さんは。今・・・・・・久々に、わたしの頭を撫でてみたくなっていますよね」
清澄:(そうだ。俺は妹の頭を撫でてみたかったんだ)
たどるように、何度も撫でる。
(・・・・・・可愛いな。可愛いんだな。佳津美は。俺の、妹は。)
佳津美には『口にしたことを本当にする』という儀式で得たギ○ス能力があった為、頭を撫でたことについては実は操られた結果だけれど、
長年冷たくあしらわれ苦手意識すら感じていた妹に少し甘えられただけで、清澄の頭の中は「妹かわいい」で一杯。実にちょろい。
しかしお兄ちゃんなんて生き物はそんなもの。清澄君の中のシスコンが産声を上げた瞬間である。
清澄:(なんだ、今までの俺は底抜けのバカだったのか?俺の妹めちゃくちゃ可愛いじゃん。妹って超絶可愛いじゃん!)
その後、兄妹としての時間を過ごそうと奮闘するが、兄妹らしい接し方を知らない二人は、
『仲のいい兄妹なら、これくらいは普通』を言い訳に、時に過剰なスキンシップで急速に距離を縮めていく。
個人的には、本作の最大の見所がこの、兄妹としての関係を取り戻す過程。
エロゲらしく恋愛モノらしく、恋愛的な触れ合いもありつつ、根底にはしっかりと“兄妹としての二人”が描かれている。
作中で恋愛的な意味で結ばれて以降も“兄妹”としての関係は軽視されないのも評価したい。
恋人として付き合い初めで無防備に眠る妹を前にし、他作品なら襲いかねない場面でも、
清澄:(こんなかわいい寝顔を見せられたら・・・・・・なあ?)
(襲うどころか、庇護欲が勝ってしまう。)
(ま、今日は彼氏よりも、兄を優先ってことで)
清澄君は男としてではなく、お兄ちゃんとしての顔を見せてくれるのだ。
終盤の展開はご都合主義に過ぎて少し興ざめはしたものの、兄妹が仲良くあろうとする姿に悶えるタイプの人間には文句の無い良作。
最後に、作中一番萌え転がったシーンを紹介。
佳津美の手作り弁当を前にして、しかし佳津美の頭を撫でるのに夢中で食べる事が出来ない清澄君。
清澄:(今は佳津美を撫でてやりたいしい・・・・・・ああでも、佳津美のお弁当を食べて感想も言ってやりたいし・・・・・・どうにかできないものか・・・・・・)
佳津美:「おにい、ご飯食べたいんですか?」
「で、でしたら、おにいっ」
「あ・・・・・・あ~ん」
「これなら、頭を撫でながら、おにいはご飯を食べれますよ・・・・・・?」
この兄妹は可愛すぎますね。俺を殺すつもりなんでしょうか。