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hoshikenさんのプラマイウォーズの長文感想

ユーザー
hoshiken
ゲーム
プラマイウォーズ
ブランド
ASa Project
得点
80
参照数
1115

一言コメント

探り合う兄妹の距離感が心地良い

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

ASa projectの作品は初購入。前作のひとつ飛ばし恋愛の妹をひとつ飛ばすという暴挙で避けようと思っていたのだけど、双子の姉+妹という組み合わせに負けて本作を購入。我ながらチョロイ。

プレイしての印象。このブランドの作品は合わないかもしれない。
作中でメタ発言を連発するのだけど、漫画やアニメの他媒体と違いエロゲーは主人公に憑依する感覚で楽しむ派なので、これは萎える。

キョウダイ物としては不満点も多い。

・鏡子(双子姉)/千早(双子弟。主人公)/メイ(次女)/たかし(次男。サブ)の構成なのだけど、たかしの扱いが酷すぎる。
 姉2人のたかしへの接し方が余りにぞんざい。そのせいで家族としての愛情が薄っぺらく感じ、鏡子とメイの千早への感情が家族愛を伴わないただの異性愛に感じてしまう。
 たかしを相手にメイの姉としての側面も描いて欲しかった。
・シェアハウスという舞台設定。家というキョウダイの聖域に他者が乱入するので、特別感が薄れる。
・メイは主人公をお兄ちゃんと呼ばず、千早君と名前で呼ぶ。名前呼びそのものは問題無いが、上2つの要素と併さり兄妹感が薄れる。(これに関してはメイ√で理由が明らかになり、むしろプラス点となる)
 
鏡子に関してもあまり双子を感じず、共通&妹以外の√ではハズレだったかなと思いながらプレイしていた。
ところが、妹が可愛ければいい程度に考えていたメイ√が予想外の出来。

出来が良く、だから素直に甘える事が出来ない妹のために、わざと大げさにシスコンぶる千早。
兄に良いところをみせたくて、本当はお兄ちゃんが大好きな気持ちも抑え、何事も一人で頑張ろうとするメイ。
兄としては、頑張る妹を応援したいけど無理はして欲しくない。追い抜かれるのは焦るけど、妹の成長は兄として自慢でもある。 
(この辺の気持ち、とても共感出来る)

妹を可愛がる兄と良い子の妹の関係が続いていたが、シェアハウスで同居の女の子に対し妹の様に世話を焼く千早の姿に嫉妬を覚え、抑えていたメイの気持ちが溢れ始める。
「・・・・・・ボク以外の女の子に、優しくしないでっ。ボク以外の子を妹扱いしないでくださいっ・・・・・・」

あくまでも兄妹愛と心の中で言い聞かせ馴れ合いの日々を続けようとするが、メイの部屋の床が抜け修繕が済むまで千早の部屋で同棲の様に過ごすうち、感情の抑えが効かなくなっていく。
妹として兄に甘える事を我慢するのをやめたメイは千早にべったりになり、兄妹だからセーフと互いに言い訳を重ね、恋人の様に接するようになる。

探り合う様に兄妹と恋人の境界線をさまよう2人だが、そのままの関係で満足出来るはずも無く、周囲の助けもありメイは千早に想いを伝える事に成功する。
「お兄ちゃんと恋人になってえっちするのおおぉぉ~~!!!」
作中一番の名台詞ですね。コレ。

恋人関係になってからのHの流れも、個人的にツボ。シーンは4枠で、

1回目:ゴム有りだが途中で外れ、中出し。メイに怒られる
2回目:ゴムを用意せずにHを迫り怒られるが、最終的には中出しOKに
3回目:ゴムを用意するもメイに捨てられ、中出し
4回目:危険日に中出しを迫られる

妹に中出しはしたいけど、最初は駄目って言われたいし、妹に怒られたいし諭されたい。でも、最終的には求めて欲しい。
俺の欲望を完璧に満たしてくれてます。メチャシコパリジェンヌ。

・・・・・・メイの可愛さはもちろん、千早君が妹をとても大切にするお兄ちゃんとして描かれていたのが好印象。
メイが千早を「お兄ちゃん」と呼ばすに名前呼びするのは、幼い頃に兄妹の仲の良さを周囲にからかわれため。千早に恥ずかしい思いをさせない様に「千早君」と呼ぶようになった。
でも千早はそうやってからかわれた時こそ、むしろ妹の手を繋いで歩きまわり、自分の妹がどれだけ可愛く、可愛がって当然かを周囲にアピールする。

成長し恋人になった現在の時間でも、妹にべったりな兄と思われるのを心配するメイに、千早は言い放つ。
「恥ずかしいと思ったことなんかねえよ。世界一可愛い妹だぜ」

濡れるわ。本当に最高の主人公だな、コイツ。


予想外に兄と妹の距離感が絶妙で楽しめた作品。兄妹が好きなら買って損はしない。