感動はもちろん、日常シーンの面白さがダントツ 結局これは父親の物語なんですね
日常シーンの面白さが他のエロゲ…いやゲーム全般でも圧倒的NO1でしょう、これは。もともと主人公の笑いのセンスが光るKEYゲームだけど、今回は春原という最強の相方が加わって凄まじい破壊力になってますね。一歩間違えれば単なるイジメになりそうな主人公たちの容赦ないツッコミを、その個性で心から楽しい笑いに変えてくれる。そんで結局自分が一番輝くコイツはもう最高。
ストーリーや感動はもちろんだけど、それ以前に春原と岡崎のやりとりを見ているだけで楽しい。人間関係って絶対ヒエラルキーのできるものだから、こういう皆に笑われるキャラってのは絶対必要なんだ。世のイジられキャラは皆こいつに学ぶべき。KANONやAIRにも春原がいたらなあ。
春原だけでなく、とにかく会話でキャラの魅力を引き立たせて一気に感情移入させてしまうテクニックは素晴らしく、日常会話が面白すぎて何度も何度も同じシーンをプレイしてしまいました。
笑いで心を解きほぐされるので、不思議キャラたちの輪の中にもスッと入り込める。「おまじない」「風子への悪戯」など小ネタも一つ一つが面白い。みんな必死で全部見ようとしたはず。それだけの魅力がある。
主人公もほどよく男前で、そこそこにやさぐれていて、それなりに熱血という感情移入しやすい等身大のいいキャラだと思います。ギャグセンスだけは突出していますが。こいつと春原は「不良生徒だからうとまれている」という事になっていますが、「変人だから関わらないほうがいい」と思われているとしか思えないですな。
ストーリーについて。もう感動ゲーもずいぶん出尽くした気がするし、この作品についてはある程度前知識があったうえ先が読めてしまうところもチラホラ。しかしそれでも感動してしまう。最近「斬新なストーリー」よりも「ベタな話を面白く見せる」ほうがずっと素晴らしいな、と思うようになってきました。ただ、結局これも日常シーンの面白さとの落差であって、このゲームの真の魅力はやはり「楽しさ」にあると思うのですが。
ひとつ新しかったのは「父親」に大きなスポットが当たっていること。まあギャルゲなんだから当たり前ですが。終盤の岡崎と父親のやり取りのあたりではあり得ないほど涙が止まりませんでした。
プレイ時間はかなり長大ですが、自分はこれでもまだ「全然足りない!もっともっとこいつらと楽しい学生生活を過ごさせてくれ!もっと春原をイジらせてくれ!」という気持ちでいっぱいです。