これじゃないロボ
プレイするに当たってどうしても、たびたび出てくる大人理論が目に付く
社会的な観点からすれば、大人の条件とは社会的責任を果たせる人物である
このゲームの社会は近未来+絶滅寸前の人類と制限のある物資からくる共産主義
この世界での社会的責任は生産性のある人間になること
つまり労働力の提供こそが大人とされている節がある
しかし宇宙に上がった後は生産性のあるロボットがあるため、さして労働力は必要とされないだろう
またロボと未来技術の機械が生み出す十分な物資と共産主義という社会システムから、衣食住だけで満足するならばむしろニート天国になるのではないか
種の繁栄や他の動植物の復元、未来のテクノロジーの解析、宇宙に上がった後も課題は多いと思われるが
いずれにせよ社会から求められるもの、ひいて大人の基準は180度変わるだろう
では精神的な大人、このゲームでは相手を慮り相手の真に求めるものを与えることができる人間と言ったところか
果たしてそれができている登場人物はいただろうか
口では与える人間にといいながら、いざ求められると逃げ出すへたればかりではないか
大人の定義なんて個人個人においても違うものだ
それを登場人物が雁首そろえてライターが乗り移ったかのように同じような主張をし始めると没入感なんて消えうせる
さらに言えば、先に書いたように時代や社会が変わればがらりと変わるものを、
現実と違う価値観の世界で人間とはかくあるべきだと述べられても響いてくるものがない
ファンタジーではなく自己啓発本でも書いていたほうがいいんじゃなかろうか
それでも読み物として面白ければ不満はなかったのだが
各ヒロイン√は総じて救いのない話、他のエロゲであればバッドエンドといった内容
現実は救いがないのだからこれでええんやというライターの意図が見え隠れするが
ユーザーはフィクションの世界でまでわざわざ苦いものを食べたくはないのだよ
ロボット物としては無駄に戦闘機ばかりが活躍する展開
アエリアルはひたすらパイロットの不調や制限から十全の力が出せない+出せたとしても演出が一瞬なため全体を通して見せ場がない状況に陥っている
ウルトラマンで例えるなら、ひたすら宇宙警備隊の活躍を見せられ、いざウルトラマンに変身したかと思えば登場した次の瞬間にはスペシウム光線を放って、番組が終わるようなものだ
四次元殺法コンビじゃないが、王道が何故面白いか理解できない人間に面白い話は作れない
総評としてユーザーが求めていたものはこれじゃない
どれだけ高尚なものを作ろうとエロゲであり、エンターテインメントであるということを忘れたクリエイターには次回も面白いものは作れないだろう