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hontoraさんのマルコと銀河竜 ~MARCO&GALAXY DRAGON~の長文感想

ユーザー
hontora
ゲーム
マルコと銀河竜 ~MARCO&GALAXY DRAGON~
ブランド
TOKYOTOON
得点
90
参照数
166

一言コメント

長いだけのギャルゲーは沢山あるけど、この短いボリュームで瞬間風速で駆け抜けるような楽しさ、面白さの数はこちらが圧倒的に上。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

まず、プレイしていてとても楽しかった。
今までやってきたどのギャルゲーよりも、「楽しさ」という一点では非常に抜きん出ているものがあると感じた。
細々とした演出やキャラ同士の掛け合いなど、全体的にセンスがいい。
テキストだけを評価して面白いと感じることはちょくちょくあるけども、他の要素すべてひっくるめて楽しいと思える作品はあまり出会えないと思う。
惜しい点は、シナリオの広げた風呂敷を回収できていないことや、説明不足な点がチラホラあったことだ。
しかしながら、肝心の大筋のシナリオはよく描けていて、込められたテーマに関しても、感情を揺さぶられるようなシーンがあったので満足している。

シナリオについて
当作品では、登場人物の「唯一の存在」をテーマとして描かれていると感じた。
友達や家族に近い概念だが、例え別の存在が自分がいた居場所をとってかえてしまったとしても、その人の幸せをただ想う事ができるような存在のことだと考えられる。

マルコは母親に自分を思い出してほしいという感情を抱きつつも、母親にとって自分の居場所であった場所が弟に代わってしまったけど、母親にとっての唯一の存在であるからそれは大切とする相反した感情を持っている。
そんな二つの感情で、弟にプレゼントを贈ることから、後者の感情を優先することができる強さがマルコの魅力で、非常に思いやりのあるパーソナリティを持っている。

そんなマルコをみて、アルコもマルコが「唯一の存在」だと気づく。
自分に置き換えて考えてみたら、僕も同じことを思った。
君に元気にいてほしい、君と君のかかわるもの全てに笑っていてほしい。と。

この物語にとって、宝を見つけるというのは、「唯一の存在」を見つけるということなのかなと感じた。
アルコとマルコは、この旅でそんな銀河の煌めきのような存在を沢山見つけられたんだなぁと振り返ることができるシナリオだった。