真紅〆一つで高得点を取れる泣きゲー
全クリするのに3ヶ月もかかりました。
それは別に自分が読むのが絶望的に遅いとかでは無く、単にシナリオがつまらないと感じていたから。無駄に長い説明文に加え設定があまりにもSF過ぎることがあり、途中何度も破棄しようとしましたが、他のレビューで真紅〆は見とけ、とほぼ全部で言われていたのでめげずに真紅〆まで達成しました。
今は、破棄しなくて良かったと思えます。
まず全体的に言わせてもらうと、シナリオの出来事態は悪くありません。展開は読みやすかったのですが。ただ、世界設定の説明などに入ると何故か同じ事を何度も、何度も、言い方を変えて書いているのでシナリオが無駄に長く感じてだるくなったりしました。もうわかったから先に進もうぜ、みたいな。スキップしても良かったのですが、こういう構成のゲームは所々に大事な情報や伏線などが隠されているので、物語を完全に把握したい場合は全て読みつくさなければなりません。それに加え、全体的に重いムード故にゲームを進めるのにあたって何度も苦痛を感じました。
そしてこのゲームのテーマは「幸せは誰かの犠牲の上に成り立っている」。これはしっかりとゲーム全体に通っており、「みんなが最後には幸せになる」ルートなどは無く、必ずしも誰かが犠牲になります(この場合の「犠牲」は死に限らず)。そしてそれはトゥルーエンドである真紅〆も例外ではありません。なぜ自分が犠牲にならなければならないのか。或いはなぜ自ら犠牲になろうとするのか。そう言った登場人物達の心情を読むのは個人的にゲームで最も楽しめた要素の一つです。
真紅ルートに関しては、やはりどちらかと言えば読み易い展開になるのですが、凄いと感じたのはシナリオの構成ではなくキャラ達の世界の終わりに近づくにつれ変わっていく心情、そしてそれに遅れを取らないつよい演出でした。無意味に死んでいく大切な人たちを助けられない無力感、世界に数人しか残されていない絶望感、そして犠牲になった大切な人々を助けるためには自分が犠牲にならなければならないと言う「意地悪」な世界の掟。臭いようですが、そんな無慈悲な世界の中で笑い、喜び、嘆き、泣くキャラ達の演出はなにかグッと胸に来るものがありました。その中でも真紅と主人公悠馬が繰り広げる、「恋してはいけない」事を前提とした儚いプチ恋愛劇は二次元ながら応援したくなり、特に泣けます。真紅の健気さもそれに磨きをかけているというか・・・・・
SF過ぎる設定は個人的にあまり好みではないのですが、ここではそれも感じることはありませんでした。
因みに主人公は好き嫌いが激しく分かれるかと。簡単に言えば、「やれば出来る子」。行動力がありどこか大人びていて器も大きいのですが、なかなかやる気を出さない感じ。そしてやはりエロゲ主人公なだけあって優柔不断な所もちらちら。個人的に言わせてもらえば好きですが。主人公に遺憾を感じたのは真紅〆で少しのみでした。それ以外では良い主人公だったと思います。
プロダクション面は問題なし。CGは感情的で、BGMは盛大。声優陣の配置もグッド。異世界などの背景などがかなり手抜きなのは演出の為で、他意は無いと思いましょうw
シナリオの好き嫌いは個人それぞれですので、全体的に完成度が高いゲームですね。
流石FAVORITEでした。