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hinotoriさんのうみねこのなく頃に Episode1 Legend of the golden witchの長文感想

ユーザー
hinotori
ゲーム
うみねこのなく頃に Episode1 Legend of the golden witch
ブランド
07th Expansion
得点
100
参照数
2031

一言コメント

個人的にはひぐらしより好きです。主人公かっこいいですし。オタク色もひぐらしと比べるとかなり薄くなっていました。完全に「一般向け」を狙って作られていますね。良いことです。ネタばれしていないので、気になる方は良かったら長文感想も見てください。下の方にネタバレとして推理も追加しておきました。

長文感想

・・・にしても、難易度高いですね。これで標準レベルって、二話以降一体どんな話になるのやら・・・
EP1における犯人や、殺人のトリックなんかは意外と簡単に解けるのですが(もちろんあっている保障はないですがw)、碑文など、残り半分の謎の説明が困難を極めます。

とりあえず、現時点では「超常現象」はあるのだと考えざるを得ません。
ただし、それが事件の推理に関わってくるのかどうか、そこが解く上でのポイントになるのでしょうね。
ひぐらしの時は超常現象抜きにして事件を説明できましたし、この作品でもその可能性が高いでしょう。

ただ、信じたくはないのですが、時間ループ(これは確定らしい)以外において、超常現象が全くない可能性もあります。
その場合、現時点で低評価をしている皆さんのこの作品に対する評価は恐らく一変するでしょうね。
そして、俺はその可能性は実は結構高いのではないかと思っています。
なぜなら、もしも超常現象が存在するなら、主人公が「敗北」することになってしまうからです。

「ひぐらし」における圭一の扱いを見る限り、竜騎士07氏が主人公を敗北させて物語を終えるとはどうしても思えないんですよね。
また、読者に対する煽り文句の数々もそれを裏付ける思います。

例えば「ひぐらし」において、唯一「暇潰し編」だけは超常現象無しに説明はつきませんでしたが、その点において作者は冒頭で「解けるように作っていない」と明示してありました。
それを踏まえて考えるならば、少なくとも最後に「解けるものなら解いてみろ」と提示されたいくつかの「謎」は「犯人人間説」で説明できる、ということになるのでしょう。

以上の考えから、あえて「犯行に関してだけはトリックで全て説明がつく」ものとしてこの作品を読んだ場合、震えますよ、ほんとに。
「この謎を解けってか!?」って思う度に正直何度も武者震いしました。
一人声を出して「ありえねぇ!!」って笑えました。
とことん楽しめること請け合いです。
なんせ、最低2年は答え無しで考えなければならないんですからね。ほんと、それまでに正しい答えに辿り着けるのかどうか……それを思うと楽しくって仕方がありません。

作品の楽しみ方はひぐらしとは大分異なりますね。
ひぐらしは推理よりもホラーの要素がつよかったのに対して、この作品は完全に推理物になっています。
ひぐらしは単純に「雰囲気を感じるだけ」の楽しみ方もできましたが、それだとこの作品の良さは半減してしまうでしょう。
あくまでも「知的挑戦」として楽しめば、ひぐらしの数倍満足できるはずです。
作者も「正解率0パーセントを目指して作った」とのたまっているように、難易度はひぐらしよりも数段上ですから。
正直、鬼隠し編はしっかり考えさえすれば意外と簡単に正解に辿り着けますからね。もちろん俺も普通に解けましたし。

ちなみに、ひぐらし問題編では前半のギャグに辟易していたのですが、この作品のギャグは普通に楽しめ、笑えました。
ひぐらしは本当にいい作品なのですが「オタク臭がかなりきつい」ことが唯一の欠点だったのに対して、それが見事に改善されていました。
絵もとてもすばらしい出来だったと思います。
これだけのクオリティなら充分納得いくレベルでしょう。ひぐらしの「四本指」は正直きつかったっすからね。

絵だけでなく、キャラ設定もひぐらしよりも好きな者が多いです。
ひぐらしでは最後までサトコは鬱陶しかったですし。
自分は未だに「萌え」の意味が分からないので……
ひぐらしのキャラって、何だか非現実的だったんですよね。年齢不詳な上に変な口癖が多すぎて。現実には絶対にいるはずもないような人物ばかりだったじゃないですか。
でも「うみねこ」においてはどの人物も(一人を除いてw)現実味があり、共感でき、そして好きになれました。年齢がはっきりしているのも高評価です。
個人的に特にお気に入りのキャラは、「戦人」はもちろん、「譲治」、「絵羽」、「熊沢」あたりですね。ほんと、人間味が溢れていて愛着が持てます。

そしてもちろんシナリオは神レベル。
俺には「退屈だった」なんて言っている人たちの気持ちが分かりませんでした。
少々説明的過ぎる部分もあったものの、全体的に見てそれは瑣末な問題だと思います。
最後まで緊張感が途切れることなく存分に楽しめました。
ただ、少々難しい話も多いので、年齢の低い方や読書量の少ない方には厳しい場面もあるかもしれません。
興味本位で聖書を読んだことがあり、ヘッセの「デミアン」(←これがこの物語にどう関係するのか現時点では何とも言えませんが、本格的に謎に挑みたい方は読んでおくことをお勧めします。それに関係なかったとしても普通にいい本ですし。)を人生の一冊とする自分にとってはこんなにも面白い物語は他にないのですがね。
あと、言うまでもなく音楽も神レベルです。
やはりdaiさんは天才だ……
特に「hope」は「you」に並ぶ神曲と言えるでしょう。
無論、daiさん以外の方の音楽も非常に素晴らしい出来になっています。
繰り返し聴く価値のある曲が盛り沢山です。

点数は文句なく100点とさせてもらいます。
さぁて、早速二週目でもやりますかね。
推理を固めるとしましょう。


これより下はネタばれ感想、推理なのでまだ本編に触れていない方は読まないことをお勧めします。
まぁ、推理といっても完全に固まってはいないので、一度読破した方なら、読んでも問題ない程度のものにしておきます。
また、ひぐらしのネタについても触れていますので、ひぐらし未プレイの方も読まないことをお勧めします。











とりあえず、「ベアトリーチェは存在しない」という前提の元で推理しても問題はないでしょう。
裏シナリオで「ベアトリーチェはルールが擬人化した存在」であると言っていますので。
「擬人」というからには、その存在が否定されたに等しいからです。
ただ、犯行と関係なしに「ベアトリーチェ」に当たる人物が存在する可能性は否定できませんが。その場合、もちろん年齢を考慮してあの人ということになるのでしょうけどね。
裏シナリオにある「コマの役割」というヒントからもその可能性を伺うことができます。
なにしろ作者は、読者を裏切りたくて仕方がないようですしw
そうなると一番いい裏切り方は「ベアトリーチェはいる、でも魔女はいなかった」ってことになるんじゃないですかね?


とにかく、まず確実に言えることは、単独犯であることはほぼありえない、ということでしょう。
自分は「犯人は二人」であるとして推理を進めていますが、場合によってはそれ以上である可能性もあると思います。
そうして犯人を絞っていくと、「消去法」だけでもかなりの人物を削除できます。
今回の謎において、これはかなり有効な手段であると思います。
100%犯人であり得ない人物が何人もいますので、それを見つけることが先決でしょう。
犯人の独白によって除外できる人物もいますし。
夏妃なんかはいい例ですね。それさえなければもっとも疑わしい人物です。
逆に(チェス盤思考的に)言うと、「独白」のシーンがない、もしくは薄い、人物はかなり怪しいと言えるのではないでしょうか。

最初の生贄の誰かが主犯という線も消せません。
そうなると、顔を完全に潰されている二人は特に怪しいですが、様々な可能性の考慮から他の者の疑いも残ります。
ここを突き詰めればかなりいいところまで踏み込めるのは間違いないでしょう。

また、密室トリックに関しては、「チェーンロックの隙間から殺害した」という先入観を捨てさえすれば問題ないと思います。
むしろ、その逆の可能性を追求するべきでしょう。

後は碑文の謎ですが、これも劇中のミスリードに騙されないことが肝心でしょうね。
「川」とは一体何なのか、「里」とは一体何なのかってのがポイントになるのでしょう。
「抉りて殺せ」の意味は未だに理解不能ですが、第一話で全ての謎が推理可能なように創られてはいないでしょうから、これに関しては考えるだけ無駄かもしれません。

ただ、一つだけ言えることは「この作者は小賢しい真似だけは絶対にしない」ということです。
それはひぐらしでも証明されています。
まぁ、あの謎を「反則」であるなんて言っている方たちにとってはどうかと思いますが...

とにかく今回は「病気による精神異常」というトリックは使えませんので、それ以外の特殊なトリックが仕込まれていると思って間違いないでしょう。
ひぐらしでミスリードしておきながら、そのままになっている「二重人格」というのが、今回のキーではないかと俺は疑っています。

また、全ての殺人が同一犯だと思わないことも重要でしょうね。
別の事件が一つの舞台で起こっていると考えるのが妥当だと思います。
でないと、八話まで引張る余地がなくなってしまいますし。

動機に関しても考慮するに値しないと思います。これは恐らく真相編まで推理不能と思っていた方がいいでしょう。
ただし、これもチェス盤思考で考えると、作者である竜騎士07氏が「全ての登場人物が救われて物語を終える」のは間違いないと思いますので、推理にこの点を考慮するのもありだと思います。

また、魔女の存在は別にして、超常現象は「ある」として推理する方がいいでしょう。
でないと説明のつかない謎もありますし。それも込みで推理した方が楽しいですし、推理の幅も広がりますからね。
ひぐらし本編や、漫画の「宵越し編」からも、作者がそれを台本に入れることに対して抵抗がないことが伺えます。
まぁ、所詮は物語なのですから、面白味を増すためのスパイス程度としてならば、俺は全然問題ないと思います。
ひぐらしの時も普通に納得できました(推理に関係なかったからというのもありますが。精神異常に気付ければ、羽生の存在など取るに足りませんからね)し。
この物語に限ったことじゃありませんが、要は「楽しんだ者勝ち」ってことでしょう。

かなりはぐらかしましたが、自分の現時点での推理は以上のようなものです。
特定を避けているのはそれだけ自信がない証拠です。許してくださいw
さらに推理が進むことがあれば、また修正します。


9月8日追記

現在3週目に突入しましたが、いやはや、上記の推理の間違いが既にいくつか発見されました。
そして、新たにいくつかの推理が固まりつつもあります。

それにしても、「推理不能」なんて全面降伏されている方が多々いるようですが、とんでもない。
いたるところにあらゆる謎のヒントが、絶妙に隠されていますね。
3週目にして、物語の構成の深さに驚かされ続けています。
絵や文章力はともかくとして、この作者の「構成力」がピカイチであることは既に分かっていたこととはいえ、完全に脱帽です。
そういった点では、るーすぼーい氏と似ているかもしれません。

とにかく分かっているのは、「一つの事件であっても、その経緯が単独グループによるものあるとは限らない」ということ、すなわち、「一つの犯行も複数の意志によって成立している可能性が高い」ってこと。
また、原作者曰く「ひぐらしとは別物と考えた方がいい」ってこと。すなわち、「救われない存在がいるかもしれない」、そして「すべての事象において、超常現象が全くないかもしれない」ってこと。

いやぁ、楽しいです。
ほんと、わくわくしますね。
しかも、第二話は一話よりも遙かに苛烈な話になるそうですし。
この推理を放棄するなんてもったいなさすぎます。

皆さんも是非チャレンジしましょうよ。