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hina4160さんの恋愛教室の長文感想

ユーザー
hina4160
ゲーム
恋愛教室
ブランド
UnN/A
得点
65
参照数
235

一言コメント

共通ルートは及第点、個別ルートやシステム面大きな問題あり

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

本作品はヒロインが多数登場し(その数なんと16名。そのうちメイン4人サブ12人)、主人公が転入してきたところからゲームは始まる。ユーザーからの人気投票によりメインヒロインが決まるというコンセプトの下、制作された作品であった。

冒頭の通り、共通ルートに関しては特段大きな問題はない。主人公転入の際の質問を逐一選択肢として出すので、冒頭から10近い選択肢があったり、最初の選択肢からいきなり誤字があったりするが些細なことであろう。クラス全員がヒロインであるので(正確には先輩後輩のヒロインもいる)開始してすぐに多数のキャラが一気に登場することになるのだが、各ヒロインの個性は各々確率されており登場頻度も相応に用意されているので、割と短い共通ルートでありながら、16人(+男の娘1人)ものキャラに個性付けが為されているのは見事と言わざるを得ない。

本作品自体の問題点としては個別ルートに集約しており、システム的な問題も体感的には個別に入ってから目立つように感じた。
まずストーリー面の問題から述べていくと、メイン4人の内ステラ及び歌恋ルートの構成に問題がある。詳しく述べていくと、他の多くの作品同様、終盤にシリアス展開に移行するが本作品の場合はシリアス展開の話が出た瞬間にエンディングとなり、そして数年後の出来事がちょろっと語られて終わりを迎える。前述のシリアス展開はステラの場合、親の意向で転校させられそうになる、歌恋の場合は主人公と恋仲であることを親に認めてもらえないといった展開にそれぞれなっているのだが、どちらも主人公がヒロインに対して「おれにまかせてくれ」といった旨の発言をしているが、どちらの問題も一介の学生風情がどうにか出来る問題には思えない・・・そう突っ込まれるのを想定してか主人公の後ろ盾・・・つまり親に前述の問題を解決してもらった・・・らしいが、この親というものが作中においてほとんど触れられることがなく終盤にいきなり話が出てくる。主人公が自身の旧姓を忌まわしい苗字と言うなど、作中において親との確執があったことを示唆する言葉自体はあるが、それが活かされる場面も明かされる場面も存在しない。ちなみにこの主人公は歌恋とのえっちの際に寝ている間に処女を奪おうとしたり、歌恋のことを物扱いしたり、あまつさえ病弱な妹を夜間に外にほっぽり出したりするなど、主人公もあまり良い人物ではないことが伺えるだろう。(子は親に似るということでもあるかもしれないが・・・)

ちなみに残りのヒロインである彗及び和羽に関しては展開としてはえっちして終わりである。問題点として認識されるかもしれないが、前述のステラと歌恋のルートが上記のあり様なので純粋にヒロインとの恋愛を楽しむことが出来るのは評価点であろう。(ステラと歌恋に関してもイチャラブ自体はしっかりと描写されており、シリアス展開も上記の通り一瞬で終わるので最後の最後でケチがついてしまっているのはもったいない)

ではもうひとつの問題点であるシステム面について述べていこう。個人的にはシナリオの問題よりこちらのほうが気になった。こちらも個別に入ってからよく目に付いた印象であるが、共通にも少なからず存在している。
まず共通で同じイベントが二回繰り返されるようになっている。放課後に珠希と下校するというイベントが二日続けて発生する。これは会話の内容も全く同じであるので純粋にバグとみなしていいだろう。共通での目立ったシステム不備はこれくらいである。あとは上記の通り誤字脱字や後述するテキストとボイスの食い違いであり共通では比較的不備は少ない印象である。
個別に入るとシステムの不備は多く目に付くようになってくる。前述のテキストとボイスの食い違いやキャラの立ち絵が複数重なったりする。またおま環の可能性もあるが、ゲーム起動時にデータ消失が発生するなどシステム面の不具合は細かいものも含めるとかなりの数になる。

上記が本作品における大きな問題点であるだろう。
その他、私が感じた細かい問題点としてはキャラの相槌や驚きの声を上げる際に一人一人反応するので、非常にテンポを悪くなっている。ちなみにゲーム冒頭の質問タイムも同様の理由で非常にテンポが悪い。

結局、本作品は完成することなくメーカーが消失してしまったので前述の主人公の過去などは語られる予定自体はあったのかもしれないが・・・それが叶うことはなくなってしまった。(メイン4人以外にもルートが追加される予定だったらしいがメーカー消失により頓挫)
冒頭で述べた通り、16人のヒロインは各々魅力あるキャラとして描写されていただけに非常に惜しい作品である。ななよや愛奈美などは個別イベントも多かったのでサブヒロインで終わってしまったのは個人的には残念に思う。ユーザーアンケートによってヒロインを決定するという企画自体は非常に斬新なものであったが、何分その企画を実現するのにメーカーの体力が付いていけなかったということだろう。
特段不快なキャラはおらず(主人公除く)、メインヒロインであるステラ、歌恋、彗、和羽などもイチャラブの描写は出来ていたので、この呪われた作品の登場人物であるということを悔やまざるを得ない・・・

いつか奇跡が起きて、この作品が再び陽の目を浴びることが来ることを切に願う。

「クソゲーでもヒロインに罪はない」by桂木桂馬

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